S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl (輸入版) (Windows) (その2)

S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl (輸入版)

S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl (輸入版)

昨日の続き。
■装備と戦闘
銃の種類は多いがスロットは二つだけで、それ以外と交換する際はいちいちインベントリ画面を開かなくてはならない。このインベントリをはじめマップやミッション内容は全てPDAで管理されているが、他のFPSと違ってインベントリ画面を開いている時もリアルタイムで時間が過ぎている。つまり、インベントリ開いている隙に撃ち殺されたりもする。というかインベントリを開いている時に限って敵が襲ってくるという意地の悪い仕様だ!また、装備やアイテムを取り替えることでパラメーターを上下させる事が出来、この辺もRPGっぽい。このアイテムというのが異次元の遺物のような謎の物質(Artifactと呼ばれる)で、装備すると能力値を上げる代わりに放射線被爆してしまったりするが、この辺がなんだかファンタジーRPGの”呪われたアイテム”っぽくて可笑しかった。装備や持ち物には重量の概念があり、重すぎると体力が落ちてきたり動けなくなったりする。その為昨日は持っていたウォッカ12本を捨ててしまった。ああ勿体無い…。
マップは常に画面端に表示されており、また、ミッションに沿った行き先が矢印で表示されてるので迷う事が無い。ミッションはかなり多数あり、選択可能ではあるが、選んでしまえば結構1本道でゲームを進行出来る。これはどうもゲーム世界全体が30平方㎞あるという広大なマップのせいもあるのだろう。広すぎて、迷っちゃたらゲームにならなさそうだ。選択するミッションによって敵や味方の勢力図も変わるのだそうだが、オレは英語が不自由なので何のミッションかも判らず適当に請け負って、矢印任せにうろついているだけである。でもそれだけでも楽しい。ただ、戦闘はリアル系に近く、バリバリぶっ放してバリバリ敵を倒す、といった爽快感は薄い。何しろ敵がカタイ。全員射殺のフラグが立つ事もあるが、戦闘を回避してもゲーム進行に問題無い場合もある。逆に、フィールド内の敵を全て掃討したと思っていても、全てが地続きになっているマップの為、戦闘の臭いを嗅ぎ付けた敵が後から後からフィールド内に進入してくる場合がある。これはミッションの進行具合を確認し、時には退却の必要があることも心得ておかなければならない。

ウクライナの荒野
そしてこの箱庭的なマップの廃墟と廃物、雑草だらけの平原の荒涼とし寒々とした光景がゲームの臨場感を上げている。世界には昼夜があり、時には雨が降り稲光が鳴り、どんよりとした雲の下では黒い野鳥どもが陰鬱に羽ばたき、晴れた日でも砂埃が舞い…と重苦しい雰囲気をなお一層重くする。広大だが閑散としたマップは逆にゲーム世界の寂莫感をひしひしと伝える。犬の吠え声に気付いて目を凝らすと平野の向こうでは畸形化した犬達が群れを作り、体の爛れた牛のような化物を追い回している。遠くから名も知らぬStalker達が疲れ果てた様子で歩いてくるが、擦れ違っても肩を落としたまま目を上げようともしない。
このようにモンスターや他のキャラクターはそれぞれ自律した思考ルーチンの元に世界の中に生きており、あたかも一つの生態系が存在しているかのような演出がこのゲームには成されている。プレイヤーはヒーローでもなんでもなく、記憶喪失であるがゆえに理由も判らずこの世界に居合わせ、そして戦い、世界の謎を解くこととなるのだ。この主人公をはじめとするNPC達のうらぶれた雰囲気がいい。放射能の残留する死の世界と化したウクライナの荒野を、冷酷な略奪者集団や残忍なモンスターを相手にさ迷い歩く、この孤独で冷ややかな雰囲気は今までのFPSに無かったものかもしれない。傑作の予感がする新作FPSです。

【公式HP/詳細】

■Stalker Shadow of Chernobyl GameplayTrailer (Mar 01, 07)