- 作者: BANKSY
- 出版社/メーカー: Century
- 発売日: 2007/06/05
- メディア: ペーパーバック
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まずは経歴などを。
バンクシー(banksy)は、イギリスのロンドンを中心に活動する芸術家。主に、グラフィティーアートを描く。ガーディアン紙によれば、1974年にイギリスのブリストル生まれ。メトロポリタン美術館や大英博物館などの館内に、自らの作品を無許可で展示するなどのパフォーマンスにより、一部の人々からは、「芸術テロリスト」と呼ばれている。ディスプレイにこだわって芸術活動を行っており、企業の商品とのコラボレートや、ミュージシャンのアルバムジャケットの依頼等は、ほとんど全て断っている。 断られた例としては、世界のトップ企業であるソニー・ナイキ・マイクロソフトや、トップミュージシャンのDavid Bowie、Orbital、Massive Attackなどの数知れない。
「バンクシー」Wikipedia
最近ではパリス・ヒルトンのCDが出た時に皮肉なRimixをして偽ジャケットを付け店頭に並べたのがこの人だったとは。*1美術館に入りこっそり自分が描いた作品を飾ってきちゃう男がいる、なんていうニュースは昔何処かで見かけたような気がしますが、これもBanksyの仕業だったんですね。ニュースだけ見ちゃうと単なる人騒がせな変わり者みたいに思っちゃいますが、これはきちんとマス・プロダクツやファイン・アートへの批評になっているわけだし、その他の所謂グラフィティを思わす落書き作品も、こうしてまとめて見ると彼独特の都市論を感じます。
そしてなにより『イスラエルの分離壁』でしょうか、これはイスラエルの”アパルトヘイト・ウォール”に描かれたもので、イスラエルとパレスチナ国家との無慈悲な断絶を象徴するこの壁に、絵という形ではあれ風穴を開け、そして描かれた穴の向こうに南国の楽園を描いているんです。それも監視の兵隊に威嚇されながらの命懸けの製作だったといいます。
このように彼のアートには強烈な批評性とメッセージを感じます。そしてまた、そのストリートへのこだわりからは、アートを好事家達の書斎に納めるものではなく、日常のシチュエーションの中に偏在させたいという強い欲望を感じることができます。その描かれるものはストレートで判りやすく、にんまりと笑ってしまいそうになる楽しさと、一般の大衆が理解しやすい体制への毒とが篭っているんです。
■BanksyのHP
■NY Times:Slideshow|Bansky's Art
■イスラエルの分離壁
■BANKSY事件簿
■作品紹介
■イスラエルの分離壁 製作風景