石田徹也遺作集

石田徹也遺作集

石田徹也遺作集

物と合体し物と化した青年の絵が延々と続く。青年は表情が無く目は虚ろだ。何故ならそれは自分がもはや人でなく、そして自分が生きているとは感じられないからだろう。作者は31歳で夭折したと聞くが、この絵を見ると、きつい人生だったんだろうな、という気がふつふつとしてくる。ここで見る事のできる作品の数々があまりにも痛みに満ちたものばかりだからだ。下世話な話だがどんな死に方だったんだろうか。自死とかだったら救われないな。
石田徹也は若者達に絶大な人気があり、それは若者達の生き辛さを代弁しているからだ、という言葉をどこかの日記で読んだ。でも思うに、青春期というのはとかく葛藤や逡巡に満ちたもので、生き辛いものなのだと思う。オレはここで負けるなとか頑張れとか偉そうなことは言えないのだが、世の中と言うのはどんな文明的で文化的に見えたってジャングルと大差ない野蛮な部分を持っていて、それは我々が人であると同時にケダモノでもあるからなんだが、油断すると食いつかれるからサバイバルするテクニックとタフに生きるテクニックは磨いておいたほうがいい、ぐらいのことは言ってあげたい。
繊細な青春期があったとしても、それは青春期でしかないんだと思う。そしていつまでも青春期に拘っていては前に進めない。死んだり病気になったりする観念って、結局ダメだしつまらないもんなんだ、だからそんなものさっさと捨てるべきだ、とオレなんかは思う。

作品ギャラリー : http://www.hirabayashiisamu.com/ishidatetsuya/ishida.html