Concrete: In Concert at the Mermaid
- アーティスト: Pet Shop Boys
- 出版社/メーカー: EMI Europe Generic
- 発売日: 2006/10/23
- メディア: CD
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収録時間は90分ほどで、これは短いような気もするけれど、この程度だと全体の構成も締まってて、いいぐらいの時間なのかなあ。もっと聴きたい曲もあったんだけれど。選曲はデビュー作『West End Girls』から最新シングル『Numb』まで幅広く押さえていますが、オーケストラ有りということでPSBお得意のディスコチックでダンサンブルなものよりもどちらかというとしっとりしたものが多いように感じました。いやあ、それにしてもこの生オーケストラがいい。もともと彼らの曲はサンプリングを駆使したストリングス&ホーンが非常に美しい楽曲が多いので、これがアコースティックだとさらに映えるんです。客演のロビー・ウィリアムスら3人はそれぞれ1曲づつボーカルのリードを取りますが、これらもPSBのニール・テナントが歌うのとはまた違った極上のポップスとして完成されています。
気に入った曲目を紹介すると、まずCD1M2、「ツイン・ピークス」で音楽を担当したアンジェロ・バダラメンティがオーケストラ・アレンジした『Rent』のオーケストラ・ヴァージョンでぐっときます。もとはPSBによってライザ・ミネリの為に書かれた曲ですが”愛してるわ、あなたはいつもお金を払ってくれるから”というあまりにも皮肉な歌詞が寂しげに響きます。CD1M6の『After All』はPSBの製作したサウンドトラック『戦艦ポチョムキン』のもののようですね。アルバム持っていなかったので初めて聴きました。CD2M2の名曲『It's Allright』は80年代、ヒップ・ハウスと呼ばれたシカゴ・ハウスのアーチスト、タイリー・クーパーがオリジナルですが、”どのように世界が悲惨でも 音楽が鳴り続ける限り 全てはきっとよくなるはず”というメッセージの籠められた感動的な作品です。
ハイライトはCD2M4、『Nothing Has Been Proved』。これは映画『スキャンダル』のテーマソングとしてダスティ・スプリングフィールドの為にPSBが書き下ろした曲。疎外と孤独について歌われたこの曲もニール・テナントのボーカルだとなお一層悲しげです。ラスト、CD2M9は『West End Girls』。今更言うまでもないPSBの出世作となった曲ですが、世界の果てのような行き止まりの街で生きる、少年と少女の虚無感とやるせなさを歌ったこの曲は今聴いてもやはり胸に迫ります。
というわけでとっても懐かしいPSBの『West End Girls』のPVを貼っておきます。
■Pet Shop Boys / West End Girls
http://www.youtube.com/watch?v=dNG8djMG_44:MOVIE