天高くフモ肥ゆる秋

この間のコメント欄でも書いたが、秋深まり「天高く馬肥ゆる秋」とでも言うこの季節にオレはというと「フモ肥ゆる秋」状態である。夢も希望も愛さえなくとも食欲だけはある、という人生の理不尽さをひしひしとこの身に感じる今日この頃である。
思い返してみるならばこれまで生きてきて”食欲が無かった”時期などあっただろうか。”食欲だらけだった”いやむしろ”食欲しかなかった”時期なら山のようにあったような気がするが。風邪などの病気をして昏々と寝込んでしまい、メシさえ食わなかったことあるにせよ、そういう時でさえ寝ててメシを食わなかったなどという事実に己の非を恥じ自らの不甲斐無さに呆れ慟哭し項垂れる始末なのである。
基本的にオレは人生とは「食ってナンボ」なのだと思っている。様々な困難や障害がこの身に起こったとしてもとりあえずメシ食っとけば大丈夫だ!食って寝りゃあなんとかなる!と思っているような単純な人間なのである。
胃の調子が悪い時のオレの治療方法は「もっと食う」であるが、これは柔らかいモノを食うと胃酸過多になってしまうからなんである。例えどんな消化に良いものであっても全力を挙げて消化しようとする、決して手を抜こうとしない胃の成せる業なのだ。そう、オレの胃は武闘派なのだということが出来るだろう。例え相手が兎あっても、全身全霊を掛けて倒しにかかる獅子の如き胃なのである。『獅子搏兎』という言葉があるが、これはオレの胃の為にある言葉であるといえるだろう。
だからこんな時はさらに消化するものを与えなければならないのである。繊維質を含んだものが最も良い。食物繊維の多く含んだ食物はお通じの為に多くとるのが良しとされるが、オレの場合猛り狂った胃を鎮める為に食物繊維を摂る、ということなのである。
つまりオレの胃にとって消化とは即ち戦いなのである。そして闘うからには勝たねばならない。その為にはたゆまぬ鍛錬が必要なのである。だからこそ常日頃辛い辛いペッパーソースや脂っぽいピザや強い酒を胃に流し、常に臨戦態勢であることを確認しておく必要があるのである。
だから基本的にオレは硬いものが好きである。食った後顎の筋肉がハードな運動の後のように痛くなり、胃が総力を挙げて硬いものという強敵と戦っているのを感じる時、オレはメシを食うことの喜びに打ち震え、今日もまた充実した食生活であったと神に感謝するのである。
俺より強いやつと戦いたい、それは勇者の本能。そして今日も新たなる戦いを求め、オレの胃は戦いの荒野へと旅立つのだ。


(などと与太を飛ばしているが…実はちょっともたれ気味で…。)(おい。)