世界一周:A君の旅

先週はボーナスが出たのであったが、オレはというと田舎の病弱な母の医療費の為に仕送りをしてほぼお仕舞である。
いっそ清々しいくらいである。
親孝行ぐらいしないでどうするんだ、である。


とネットには書いておこう。


ちなみに仕送りして残った分はブラ子とmomokoにお洋服を買ってあげる予定である。
しかし…他に楽しみ無いのかよオレ!
ああいいんだよ!


さてわが事務所のA君。
オレが「Aよ、ボーナス貰ったら何に使うんだ」とさり気無く訊いて見ると、俯きながら「キシシ」などと思い出し笑いなどをしているではないか。
なんだかムカつく。
それでオレはAを紳士的に首締めするとAのこめかみを平和的に拳でグリグリし、「あんだよー、笑ってねーで言いやがれオラ。」と優しく恫喝してあげたのである。
するとA、窒息しながら「指名ですよ指名!」などと言っているではないか。
「あんだそれは。」
首締めを解いたオレはAに詰問した。
「いやあのー、新しいコが…。」と一言。
ほう。
彼お得意のフーゾクだったのか。
「また南国フィリピンか。」
「いやー。」
「まだボーナスは出てないから額によって今日のメニューが変わると言うことだな。」
「いやあのー。」
「少なくとも3人はキープしたい、と言う事だな。」
「いやいやいや。」
「額によってはあわよくば4人…などと考えてるな。」
「いや、そんなには」
「しかも今回は南国フィリピンだけではない。中国も、ロシアも攻めるつもりだな。」
「ええええええっ。」
「そして思ったよりボーナスの額が良かったら、もう1名コスタリカあたりを狙っているのだな。」
「いや、違いますよ!」
「この欲張りめ!」
「一人で十分ですよ!」
「夜の飲み屋で世界一周とは贅沢なヤツだな!」
「だから違いますってば!」
「野望は世界征服か!」
「そうじゃなくて!」
「目指すところは夜の帝王だな!」
「違ううううううっ!」
そして今日もオレの事務所には雄たけびが鳴り響くのである。