- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2005/12/21
- メディア: DVD
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ジュネの映像の特徴は短いカットの小気味良い連続、そこに差し挟まれるポップなガジェットと徹底的なファニーフェイスのアップ、スチームパンクテイストのSF的な小道具、エスプリの効いたおどけた調子の台詞、これらが軽快なテンポで映像のリズムを生み出すことでしょう。この絶妙なイメージの連なりを生み出す手腕はその辺のミュージックビデオ監督が束になっても敵わない優れたセンスを感じさせます。
それぞれの作品を紹介してみます。
『僕の好きなこと、嫌いなこと FOUTAISES』
ジュネ映画でおなじみのドミニク・ピノンが演じる『僕の好きなこと、嫌いなこと』。ナレーションで挙げられてゆく”好きな物・嫌いなもの”それ自体がなんだか可笑しくて素敵です。詩的でもあり、単なるぼやきでもあり。そして、このテーマはそのまま映画『アメリ』へと紡がれていきます。ほらほら、「ああ、あれか!」と思い当たりませんか?『アメリ』ファンならニヤリとする事請け合いの楽しい快作。
『ビリー・ブラッコに休息なし PAS DE REPOS POUR BILLY BRAKKO』
監督デビュー当時共同監督もしていたマイク・キャロのコミックが原作とか。次から次へと引用・コラージュされる映画、コミック、アニメのイメージが楽しい。
『最後の突風の砦 LE BUNER DE LA DERNIERE RAFALE』
一転して白黒で撮られた近未来の世界。台詞無し。この世界ではどこかの国同士が戦争しているらしく、地下壕の中でナチスドイツ風の重苦しい雰囲気な軍人たちが闊歩しますが、それなのにどこかコミカル。『デリカテッセン』の地下パルチザンの原型でしょうか。SF的でもあり廃物趣味的でもある小道具が目を引きます。でも30分はちょっと飽きるかなあ。
『回転木馬 LE MANEGE』
人形アニメーションによるダークなファンタジー。クエイ兄弟やヤン・シュヴァンクマイエルのアートアニメのテーマや鮮烈さと比べるとどうしても見劣りしてしまう。習作と見るべきかな。やはりジュネは変な顔の人間の俳優を使ってナンボ、なのかもしれない。