悶絶する男

オレの日記では知る人ぞ知る”もうほうU”君が異動になり、新たにオレの右腕になって働く後輩はA君という名だ。
背中に板でも背負ってるのかと思わせるぐらいいつも背筋を伸ばし礼儀正しい喋り方をする好青年である。
チューハイ2杯で大魔神の如く豹変し、飲み会を草木も生えない瓦礫の山にするお茶目なところもあるけど。
ところでこのA君、仕事中妙な声を出すので困っている。
時々「うぅっ!」とか「あぁっ!」とか「うぉっ!」などとうめき声とも悶え声ともつかない、いきんだ声を出すのである。
しかし何事だ、と思って彼のほうを見ると何事も無かったかのように仕事をしている。
仕事中だというのに彼の頭の中でいったいどのような情景が展開されているのだろうか。
考えるだに恐ろしい。


さてその後輩A君の困った癖が発覚。
彼はその時その時に使用したペンだのマジックだのを全部胸ポケットに入れてしまうんである。
だから人の机で人のペンを使用したりするとそのペンは自動的に彼の胸に。
スケジュールの書かれたホワイトボードのマジックまで入れてしまうのでこっちが予定を書き込む時にはマジックが無くて慌ててしまうのである。
そして彼は胸ポケットに入れたペン類の存在を入れた瞬間忘れてしまうのである。お前の胸ポケットは4次元ポケットか。
そんな彼に、自分の拾った木の実を地面に埋めたまま忘れてしまうリスの習性になぞらえて『リス男』とあだ名をつけてあげる。
そして『リス男』クンの胸ポケットは今日もペンでパンパンなのであった…。