未知との遭遇

以前渋谷の道玄坂を歩いていたら、身長180㎝はあろうかというほっそりとした女性外人モデルの一群に出くわした事がある。何かのイベントか撮影があったのかは知らないが、デザインされた薄衣のような洋服を身に纏い、5、6人はいただろうか、偶然進行方向が一緒で、オレは彼女らに取り囲まれる形で歩く羽目になったのである。
いやあ。居心地悪かったですねえ。そこは勿論モデルさんですから、何れ劣らぬ美形揃い、本来なら男の端くれであるオレは法悦の表情を浮かべていても良い所でしょうが、人間離れした美しさを持ち頭一つ違う背丈をした方たちに取り囲まれてしまうと、なにか自分が捕まった宇宙人になったような、人間の中に一匹の猿として紛れ込んでしまったような、そんな卑屈な劣等感が頭をもたげてしまい、理由もなく自らの存在を恥じ入ってしまった所為でございます。その時のオレの表情と云ったら多分パキパキに氷付いていたでありましょう。
一方モデルの皆さんは真ん中にいるオレの事など存在などしないかのように和やかに何語かわからない外国語で囁き合い笑いさんざめいていました。そこから抜け出したときは本当にほっとしましたよ。気持ち悪い汗かいてたなあ。ハァハァゼィゼィ言ってたなあ。
あの時のあたかもUFOから開放された実験材料のような気持ち、今でも忘れないであります。