味噌路

会社の後輩が今日で三十路に入るというので大いに大いにからかって、いや励ましてあげる。そもそも昨日の夜の段階で、「ああ、お前の二十代もあと残り僅か○時間なんだなあ…。」などとおちょくって、いや同情してあげていたのである。「二十代最後の数時間…どうやって過ごすつもりだい。」「…ええ、多分残業です…。」などと哀切極まりない会話がそこで繰り広げていたことは誰にも言うまい。
オレ「二十代を振り返ってみてどうだったでしょうか。」
そいつ「そうですね…十年間の三分の二は…仕事でしたね…。」
オレ「そして残りの三分の一は…。」
そいつ「寝ている時間です…(涙声)。」
オレ「つらい二十代だったな…。」
そいつ「えっえっ(しゃくりあげる)。でもこれが将来の肥やしになればと…。」
オレ「ほう…。前向きなところ悪いんだが…。」
そいつ「えっ(不安げに)。」
オレ「次の十年も肥やしで終わるかもな…。」
そいつ「ええええそんなああ!(絶叫)」
オレ「そしてその後の十年も…。」
そいつ「四十代も肥やしっすか!」
オレ「いや、そうではない。」
そいつ「はあ…。」
オレ「君の人生は一生肥やしなのだ!!」
そいつ「いやああああああああっ!!(人格崩壊)」