ヒストリエ(3)/岩明 均

ヒストリエ(3) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(3) (アフタヌーンKC)

紀元前のマケドニアにおいて書記としてフィリッポス2世とアレクサンドロス大王に仕えたエウメネスという男の半生に迫る歴史ロマン。奴隷の子であることが発覚し生まれ故郷であるカルディアから別の土地へと売られていく事が決まってしまった少年エウメネス。しかし彼を買った男の船で一波乱あり…と、ドラマはゆっくりと動いていきます。1、2巻で血腥い展開を見せたこの物語もこの巻では一度落ち着きを取り戻すのですが、やはり安寧とした生活の裏には常に冷ややかな「死」の予感が漂っています。この決して拭い切れない冷徹な宿命論が作者の魅力でもあります。相変わらずのしっかりとした構成で、作者の頭の中では最終話までの骨子がもう完璧に出来上がっているんだろうなあとさえ思えます。派手さはないのだけれど、傑作の予感がひしひしと漂っています。これからもじっくり読ませて貰いたい。

参考/エウメネスと「ヒストリエ」の世界:http://pezetairoi.hp.infoseek.co.jp/history/Eumenes.html