ソウ2 (監督:ダーレン・リン・バウズマン 2005年アメリカ)

怖かったぁ…。何が怖いって隣の席に座っていた男の子が座席のドリンクホルダーにソフトドリンクの紙コップにストロー挿して置いていたんだが、先端恐怖症のオレは映画の間中、目の隅に映る白いストローの先っぽが気になって気になって頭の中がグルグル廻ってたのであった…。ああ。怖かった。
そんな話じゃなくて。衝撃の前作から一年余り、期待の続編が早くも登場!である。「1」面白かったなあ。ただのホラーで終わらないパズル的な要素が楽しくて、二転三転するドラマは作った人間との知恵比べみたいな要素があってね。スピード感溢れるストーリー展開と廃物趣味溢れる美術も素晴らしくて、作った連中は只者じゃないなあ、という雰囲気をプンプンさせていた。
というわけで二作目なんだけど、これも期待を裏切らない素晴らしい出来栄えでした!なにより前作の良い所をそのまま踏襲、しかしトラップに掛けられた人間達を増やすことで前作とは別次元のお話になっていた。オレは『キューブ』の1作目や『パイ(Π)』、『スクリーム』三部作みたいな手の込んだホラー・サスペンスの正当な後継者だと思うけどなあ。しかも今回は映画内時間は二時間あまり、上映時間も94分、と、登場人物が多いにも拘らずてんこもりしたサスペンスをこれでもかと仕掛け、かつこれほどまでに短い時間にまとめた手腕はさすがです。おかげでのっけからテンション上がりまくりの極限状態を1時間半飽きさせることなく持続して見せあげ、さらに後半はどんでん返しに次ぐどんでん返し、観客は考えている暇もないまま驚愕のラストへと導かれるのです!
前作の精緻なパズルのような要素は人間関係を多く描く事で押さえ目になってしまいましたが、逆にこの人間的要素の介入でドミノ倒しのように起こるパニックの様がこの二作目の新たな要素と言えることが出来るでしょう。
そして今回も廃墟感覚、廃物感覚溢れる美術と中世の拷問具を思わせるゴシックなからくり仕掛け、それと対比する迷宮じみた雑多なハイテク機器の混沌とした様子が素晴らしかった。パンフレットなどを読むとこのビジュアル・スタイルは「レンブラント絵画、ヤン・シュバンクマイエルクエイ兄弟などのアート・アニメーションにセンシビリティを刺激された」とあり、なるほど、あの濃淡の濃い色調はレンブラントの脂(やに)色を主調としたくすんだ色彩感覚からきたのか、とか、腐食し瓦礫と化したような美術はシュバンクマイエルやクエイ兄弟からのインスパイアされたものだったのか、などと知ることが出来て大変興味深かった。オレもあの辺のアート・アニメって好きなんですよ。
なにより、今回も大変才能を感じることが出来た製作スタンスであり、またもや次作が気になって仕方ありません。次も『ソウ3』、行っちゃってください!