さあ、気ちがいになりなさい/フレドリック・ブラウン

星新一訳!てか星新一ってそれほど思い入れないんですが…。こっちはSF風なお話しが多くて取っ付き易かったですね。ってかフレドリック・ブラウンは『火星人ゴーホーム』しか読んだ事ありません…。(でもあれはSFの名作だったなあ。)全体的にはSFとミステリが折衷された感じで、古いながらも”古き良き”といったのんびりしたペースは読んでいて安心感あるかも。割とどの作品も普通に面白かった。作品の作りとしては「誰もが知る由も無い恐るべき世界の秘密をたった一人の人間が知ってしまう」というのが多かったと思う。『みどりの星へ』『おそるべき坊や』『シリウス・ゼロ』『ユーディーの法則』の懐かしいSF風味、『ぶっそうな奴ら』の小粋なミステリ、どれも及第点です。『雷獣ヴァヴェリ』の”世界の静かな終末”は味わい深い。『ノック』は有名な「地球上で最後の男の部屋をノックするのは誰か?」という怪談を扱ったSFだし、『沈黙と叫び』も同様に「誰も聞くもののいない森で倒れた木の音は存在するのか?」とい形而上的命題を扱ってて、どちらもSFファンには有名なものだけれど、これらの命題って彼の生み出したものなのかな。だとしたらやっぱり凄いかも。表題作『さあ、気ちがいになりなさい』は読む人間の予想を次々と裏切っていく展開で、そしてこのラストは、そりゃありかよ!という破天荒なもので、ああ、こりゃ確かによく出来てるなあ、と感服いたしました。解説は坂田靖子
さて、20冊刊行予定の2冊を読んだからね。で、次回はスタージョンマティスンですか。こちらも楽しみです。