「ねがい」

ねがい (ビッグコミックススペシャル 楳図パーフェクション! 2)

ねがい (ビッグコミックススペシャル 楳図パーフェクション! 2)

タイトル作は少年時代の儚い妄想と願望が、少年が大人になりそれを捨てることにより逆襲してくる、という短編作品。怪奇さ、異常さ、テーマの明確さで楳図作品でも1,2を争う傑作短編ではないか。
その他の短編は長編「14歳」「神の左手 悪魔の右手」を彷彿させるハイパー・スプラッター・コミック!例えば日本のホラーはどこか情緒性が底流に流れているが、楳図のホラーは徹底した即物性と暴力性を兼ね備えている。つまり情緒を一切廃した楳図のホラーは日本人の描く物としては異質なのである。ハリウッド製ホラー映画に対する日本のホラー・キングの返答と言ってもいい。
ラストの短編「鎌」のブルドーザー並みに暴走する恐怖はサム・ライミの処女作「死霊のはらわた」を思わせる死と破壊と哄笑に満ちた悪魔的な作品。怖いって!マジ怖いって!!
「DEATH MAKE」も死の化身と言う他無いモンスターに次々と嬲り殺される少年少女たちの情け容赦ないスプラッター描写がナイス!
「プレゼント」ではクリスマスになるとセックスしか頭に思い浮かばないワカモノ達を、激怒したサンタのオジサンが鎖鎌でズタズタの肉片に切り刻んで歩くというハートウォーミングでラブリーな一篇!ひゃっほう!殺っちまえ!