- 作者: 楳図かずお
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: コミック
- 購入: 2人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
蛇になっていく、爬虫類に変身してゆく、という恐怖は何なのでしょう。子供にとって最も身近な存在である母親が、「人間ではないもの」であるという恐怖。これは優しい母さんが持つもうひとつの女としての側面、性的な部分に対して、性的に未分化な子供が「異質なもの」として恐怖を抱くと言うことなのかな。例えば同時出版された《ねがい》の中のヘビ女譚「蛇」では、ヘビが変身した女が留守番中の子供の家にやってきて…と云う話なのですが、この変身したヘビの女の姿というのは、物語のラストで現れる、この少年の継母の姿と酷似しているのです。血縁の無い母とは父親とのみ性的な関係で結ばれた他者であり、そのセクシャリティのみの異質さが子供にとっては「性的存在という自分には理解できない属性を持った存在」として忌避の対象となるのでしょうか。つまり蛇へと変身した母や女友達への忌避は、セックス/成熟への忌避であり、未成熟でありたい、ということへの願望なのではないでしょうか。
また、安易ではありますがフロイト的解釈をするならば幾らでもセックスの暗喩を読み取ることは可能でしょう。
…長くなりそうなので2回に分けます!