食神

食神 [DVD]

食神 [DVD]

少林サッカー」「カンフーハッスル」でその人気を不動の物にしたチャウ・シンチー、1996年の作品です。監督・主演。ビデオで以前見ていて確かに面白かったんですが、最近の2作品を観てからもう一度観るとまた別の発見があって楽しめました。
「食神」としてグルメ界の帝王として君臨していた周(チャウ・シンチー)は実は料理の事よりも金と権力にしか興味の無い下種野郎だった。しかし側近の裏切りにあい、その帝国はあっさり崩壊、裏街の屋台で無心するような屑に成り果てる。まあ、もともと屑だったんだけどな。しかしそこでぶん殴られ、ドブネズミの住む立小便の跡で汚れた路地裏に捨て置かれた彼を拾ったのは、かつて「食神」をヒーローとあがめていた屋台の不細工な女主人、カレンだった…。一念発起した周の新たな料理の戦いがここから始まる。
ひとことでいうと爆笑格闘グルメムービー、といったところでしょうか。いや、料理はいろいろ出てきますが、単にネタでしかありません。料理の腕というよりはカンフーの腕のほうが勝負の決め手になっちゃったりしているからです。料理のシーンも凄いですが漫画チックで現実味などこれっぽっちもありません。料理の美味しさを表現するシーンなんてそれこそ漫画!怖い顔したヤクザのおっさんが天女の格好をしてソフトフォーカスかけられ砂浜を駆け巡り、「ウマーーーーーーーーーーッ!!!」と叫ぶんですから。素敵過ぎる…。
そしてネタはバラしたく無いけど、なんなんだよあの近田春夫そっくりの夢精大師と少林寺十八鉄人ってのはよぉ!十八鉄人、単なるツルピカハゲの金粉ショーじゃねーかよ!頭悪すぎ…素敵…。そしてあの戦いの最後に訪れる馬鹿馬鹿しすぎるクライマックス。いいのか?本当にこれでいいのか?これオチなのか?
それとチャウ・シンチー映画独特の義理人情や変な恋愛情景。突然ミュージカルになっちゃう所。この頃からシンチーの面目躍如ぶりがうかがえます。綺麗な女優さんを思いっきり不細工にして使う所とか。案外照れ屋なのかもしれない。
あと「カンフーハッスル」のレビューの時も書いたけれど、香港の俳優って田舎臭いけど暖かくていい顔してるなあ。全員が「お笑い系」の顔をしているとも言えるけど。なんか、全員カッコよくない所が、カッコいい。