MORE MUSIC FOR FILMS / BRIAN ENO

モア・ミュージック・フォー・フィルムズ(紙ジャケット仕様)

モア・ミュージック・フォー・フィルムズ(紙ジャケット仕様)

半日リピートにして部屋で流してました。聴いてる訳でも無いのに心地よいとはこれいかに。アンビエント・ミュージックを有難そうに語るスノビズムはオレには無いけれど、それでもブライアン・イーノの生む音の醸し出す雰囲気はやはり特別だと思う。邪魔にならず、何度リピートしてても飽きはこないが、耳に残る事も無い。アンビエント以降のイーノの音楽はいろんな形容詞で語る事は可能だけれども、この抑制と計算と自意識の薄さはイーノ的な職人技だというような気がする。
今や誰でも自宅で簡単にエレクトロニカが作成できるようになったけれど、同じ様な音のように思えて、テクノクリエイターの作るアンビエント・ミュージックとイーノのそれは決定的に違う響きのように感じる。イーノの音はウォークマンやパソコンのスピーカーで鳴らすのではなく、きちんとしたステレオ・セットで、できるなら極め細やかな音が再生できるクオリティをもったアンプとスピーカーで、抑えた音で鳴らす時が一番素敵に聴こえると思う。音楽的な事は判らないのだが、音がスピーカーから出た後の残響音や反射音まで計算されているのではないだろうか。
アンビエント1と付された「ミュージック・フォー・エアポート」はエリック・サティ的(サティの楽譜って、音符の並びが機械的で抽象画観てるみたいで面白かった。)な「家具の音楽」としての文脈で語られていて、単純ながら響きは美しい音を鳴らしていたが、アンビエント4の「オン・ランド」あたりから、もっとザワザワとして取りとめの無い、ある意味環境音に近い、楽器の奏でる音というよりは「物音」のような音をリリースしていた。
このアルバム「モア・ミュージック・フォー・フィルムズ」は、以前に発売されていた「ミュージック・フォー・フィルムズ」前後のイーノのアウトテイク/別バージョン集である。ただ、綺麗で楽曲としても輪郭の判る音の多かった「ミュージック・フォー・フィルムズ」に比べこの「モア・〜」は「オン・ランド」の流れの「ザワザワと取りとめの無い音」に溢れていると思う。別バージョンとは書いたが、フレーズが似通っているかもしれない、とちょっと思う程度の別の音楽だ。メディテーションでも癒しでも無い、音を流している部屋に空気清浄機みたいに効いて来る音。
でも、よく”ながら”で音楽流したりしますが、本読んでたり絵を描いてたり、本当に集中してる時って音楽って聞こえて無いか、もしくは煩くなって来るもんですね。
ミュージック・フォー・エアポーツ(紙ジャケット仕様)

ミュージック・フォー・エアポーツ(紙ジャケット仕様)

オン・ランド(紙ジャケット仕様)

オン・ランド(紙ジャケット仕様)

ミュージック・フォー・フィルムズ(紙ジャケット仕様)

ミュージック・フォー・フィルムズ(紙ジャケット仕様)