- アーティスト: David Bowie
- 出版社/メーカー: Virgin Records Us
- 発売日: 2005/07/19
- メディア: CD
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あるアーチストに思い入れが深くて、ほとんどのアルバムを網羅して聴いてしまうと、案外そのアーチストのベストアルバムというのは、いわゆる名曲ばかりのセレクトなのにも係らず聴いていてつまらない物だったりします。アルバム単位での時代感覚とか集中力、プロデュース、曲の構成と統一感、そしてそのアルバムが作られたときのアーチスト自身のドキュメントとして、包括的にアルバムを評価するのがファンとして楽しいからです。
D・ボウイはメタモルフォーゼを繰り返してきたアーチストですから、アルバム毎の名曲を繋げてベストアルバムを作っても、奇妙に分裂症的なセレクトにならざるを得ないじゃないでしょうか。いや、その分裂症的である所が、ボウイ自身の本質を映しているのでしょうが、それではショウケイスとして楽しめても掘り下げてボウイに触れることは出来ないのではないかと思うんです。もとより、ボウイはポップミュージックのヒットメーカーというスタンスにいた人でもないですから、シングルチャートの上位の曲を集めても、それは表層的なものなのではないかと感じます。
オレはボウイのベストアルバムは2種類持っていますが、全曲好きな曲で占められているのに、通して聴いても、先の理由からそれほど楽しめた覚えがありません。また、ある意味ベストセレクトということで聴くのならば、ライブアルバムを聴くほうが、「その時、その瞬間」のボウイのテンションで演じられる数々の曲に触れることが出来て、まだしも優れたパフォーマンスを感じ取ることが出来るのではないかと思います。
そこは選曲したボウイ自身も感じていたことなのでしょう。このアルバムの面白さというのは、通常のベストアルバムの選曲からどうしても漏れてしまうような個性を持った曲ばかり集められていると言うことですね。しかし、それはシングルヒットではないというだけで、通常のベストアルバムだけからでは零れ落ちるボウイの魅力を感じさせるのには十分の選曲だと思います。
でもね。これ買うのだったら、いつも言ってますが、ボウイ黄金期の主要なアルバムを買って下さい!