これも、いつぞや、映画館に行った時の話。映画館2階に席を取って、1階のロビーにパンフレットでも見に行こうと思って階段を降りて行ったんですね。
階段は大人四人ほどが並ぶ位の巾。その階段を友人同士みたいなおばちゃん達が三人並んで上って来たんですよ。オレは、上ってくる彼女らの脇の、一人分空いたスペースから下に降りようとしたんです。そしたら。その残り一人分のスペースを、下から若いあんちゃんが小走りで上って来て通ろうとするではないですか。すなわち階段は横1列、下から上がってくる人で埋められてしまい、オレはそのままだと降りられなくなったんですよ。階段の手すりのほうに身を寄せましたが、下から上がってくるあんちゃんとガツーンッ!と肩ぶつかった訳ですね。そりゃぶつかりますよ。オレの逃げ場はどこにもないんだもの。それとも、横一列に隊列を組んで上がってくるおばちゃん&あんちゃんに合わせ、オレは階段を上まで後退ればよかったんでしょうか。マイコーのムーンウォークみたいなステップで。フーッ!
そしたらさあ、そのあんちゃん、銀縁眼鏡の狐目の若造でしたが、オレの事睨みやがるんだよなあ。肩ぶつけやがって、と言わんがばかりにさあ。でもよお、お前、考えろよ!この階段は上る人間専用じゃないんだよ!エスカレーターじゃねーんだから。上る人間もいれば下りる人間もいるんだ!すなわち人生ハイ&ロー、アップ&ダウン!おいおい、例えがおかしいぞ!そーじゃなくて、お前がそのスペース上がってきたら下りる人間が下りられない、ということがどうして簡単な目視で確認できないのだよ。ソーゾー力ないのかよ。
ってか、それより、なにより、なんでオレの方が睨み付けられなアカンのじゃあ!オレが何したってんだよお!階段を下りるという日常生活の基本的な行動をしてただけで、何故このオレが虫けらのように扱われなきゃならないんだよお!そもそも、睨んで、どーなるってんだ、何か現実や状況や環境が変化するとでも言うんかい。君がいかにしょぼくれたオヤジ(オレ)よりも力関係で上かという事を、このオレにアピールしたいんかい。アピールは可愛い女子のうふ〜んなアピールだけで十分じゃわい。銀縁狐目の野郎のアピールは現在お取り扱いしておりません。未来永劫お取り扱いする予定は御座いませんのですわい。
という訳で楽しく映画を観ようとやってきたオレは、なんだかいや〜んな気分になってしまい、大人に叱られたガキンチョのように肩を落として暫く映画館ロビーの椅子に座っていたとさ…。