ドッジボール (監督 ローソン・マーシャル・サーバー 2004年 アメリカ)

スポーツジム「アベレージ・ジョー」は倒産寸前。期日までに5万ドル支払わなければ隣に建ってるもう一つのジム「グロボ・ジム」に買収され、そこの頭の天辺からつま先まで勘違いしまくってる低脳イケイケオーナー、ホワイト(ベン・スティーラー)に駐車場にされてしまう。そんな「アベレージ・ジョー」のオーナー、ピーター(ヴィンス・ヴォーン)はある広告を目にする。「ドッジボール大会で優勝したら5万ドル!」。これだ!これしかない!かくしてピーターはジムの客のイケてない負け犬達を集め、起死回生を狙うのだが、たった一つ問題があった。「誰もドッジボールをやった事が無い!」。果たして「アベレージ・ジョー」とイケてないメンバー達の運命やいかに!?
ええ。たっぷり笑わせてもらいました。アメリカ製のスラップスティック・コメディは日本では受け入れ辛い事が多いのですが、これは及第点なんじゃないかな。兎に角オレは大満足です。主演で敵役のベン・スティーラーは、「メリーに首ったけ」「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の出演があり、知る人ぞ知る、といった俳優ですが、彼のコメディの真骨頂はファッション業界を007的な国際陰謀組織が狙う!というストーリーの快作「ズーランダー」があり、ここでも濃すぎる上に勘違いしまくりのお馬鹿キャラを演じ、一部では絶賛の嵐でありました。かくいうオレもDVD購入、何度となく見返してはそのトホホなギャグに脱力しまくっています。でも濃すぎる事は確かで、誰にでも薦められる映画って訳ではなかったんですが、この「ドッジボール」では判り易いベタなギャグ満載で、笑える映画を観たい人には是非お奨めします。
基本的にスポコン物でありますが、スポーツとか教育をテーマにした映画って、そもそもがサクセスストーリーなんですね。負け犬たちが克己奮迅して、尊大で横柄で自分等を勝者だと思い込んでるクソ野郎どもに目に物言わす、というのがその物語の基調になっていると思う。この物語でも敵は資本主義社会では勝ち組みとか言ってるけれど、本質的にダサく無神経で想像力のかけらもない時代遅れで体制側の薄馬鹿連中として描かれます。オレ的にはそもそも「勝ち組」なんて言葉を使いたがる奴って、人間的に終わってると言うか、生き物のレベルが原生動物並みだと思っているのですけどね。そもそも「勝ち組」という言葉って、戦前南米に移住した日本人たちが、太平洋戦争は日本が勝利した、と信じ込んでいることを指しているんですけどねえ。その程度の歴史的知識もない連中が勝ち負けを論ずる事自体知能レベルに疑問を感じますが、本当は負けてるのに勝っていると思い込んでいる、というマヌケさを指すのならば「勝ち組」の方々はまさに「勝ち組」ではありますね。