新・もうほう紀行2

なにやらUがニコニコしているのだが、取りあえずどうでもいいので放って置く。すると訊いて貰いたいらしくオレに話しかけてくる。「ねえ、fumoさん、専務って優しいんですよ…」。
ここで少し「専務」について解説しよう。「専務」は以前は役職として専務であったが、定年退職されて現在は顧問としてオレの事務所にいる方である。つまり現在は役職としては専務でもなんでもないのである。即ち「専務」と云う呼び名は実際は通称でありニックネームなのである。これはもう夫人でないにもかかわらず「デヴィ夫人」と呼ばれていたり姉妹でもないのに「叶姉妹」と呼ばれていたり「社長」でもないのに「社長!1時間2000円ポッキリ!お安くしときますよ!」という安キャバレーの呼び込みの口上と一緒なのである。あとマンガのキャラと似ても似つかないのに「ヤワラちゃん」と呼ばれている女がいるが、あれは別問題である。
さてU。「専務って優しいんですよ…。」とかいってうっとりしている。既に法悦の表情である。もう誰にも止められない、といった雰囲気である。通称専務は禿頭の70近い老人であるのだが、どうもUのハートを射止めてしまったらしいのである。そうか、そうだったのか。Uよ、お前「老け専」だったのか…。まあ他人の好みに文句は言うまい。まして他人の恋路になぞ。U、幸せになるんだぞ…。