チーズ喰い

■好き嫌い

デパート食料品コーナーの輸入チーズがどうにも気になってしまい、つい買ってしまう。
オレ、子供の頃ってチーズが食えなくてね。不味くてしょうも無い食べ物だと思ってたけど、食えないのが悔しいんですよ。オレの親は好き嫌いに煩い人間ではなかったんですが、オレ自身が小学校上がる前から、「好き嫌いがある自分」が何故か許せなかったガキなんですね。なんとなく美味しくないものをちょっとづつ克服してゆく自分に陶酔してましたよ。人参やピーマンをクリアする度に、「やった」とか思ってたんですね。変わったガキでしたね。というか、親の教育とかではなく、「食べ物は残さない」っていうのがポリシーでしたね。6歳頃から。(爆)それで太ったって云う気もしますが…。
で、いろんな食べ物を克服しましたが(きゅうり、嫌いだった。ホワイトアスパラ、嫌いだった。おでんの大根、だ〜い嫌いだった)それは「その食べ物の美味しい所を探してみる」っていうことで克服したんですよ。でもこのチーズだけは何が美味しいんだか全く理解出来なかったんですよ。
ところがある日、美味しいチーズに出会うんですよ。(不味いとか云いながら懲りずに食べ続けるオレの粘着振りに注目してください)どんなチーズなのか忘れたけど、今まで食べて嫌いだったチーズと何が違うのかはその時きちんと確認した。
オレが美味しい、と思ったチーズはナチュラル・チーズだったんです。そして、オレがずっと嫌いだったのは、日本でよく見かけるプロセス・チーズだったんですね。ナチュラル・チーズは醗酵中のチーズで、プロセス・チーズは醗酵を止めたチーズということです。スモーク・チーズは多分プロセス・チーズだと思うんですが、これは例外的に好きだった。

■ブルー・チーズ

一般的なコンビニやスーパーに置いてあるナチュラル・チーズというとクリーム・チーズかカマンベール・チーズ位でしょうか。たまにダイエット食としてのカッテージ・チーズとか。ところがある日、ブルー・チーズというのを見つけるんですね。内部でアオカビが繁殖してるんですよ。これは最初見たときインパクト強かったなあ。だってアオカビですよ。お正月のお餅やみかんに繁殖して嫌がられるあいつですよ。悪役イメージ強いもの。でも好奇心に負けて買って食べたんですね。いや、臭気がキツイ。おまけにチーズなのに塩辛い。もう初体験の味覚ですよ。
「なんじゃこりゃ」と思いましたが、オレという人間は、物でも人間でも「なんじゃこりゃ」と思ったものを追求しちゃう所があるんですね。なんか、なんでこんなに変なのか考え込んじゃうんですね。で、最終的に「なんじゃこりゃ」な物・人を好きになるっていう妙な所がある人間でして、このブルー・チーズって奴が大好物になってしまうんです。ブルー・チーズのいいところは塩気がビールに合うんですよ。あ、書いてませんでしたが、オレにとって全てのチーズは酒のツマミです。
さてこのブルー・チーズ、いろいろ種類があるらしい。有名所でロックフォール、スチルトン、ゴルゴンゾラって呼ばれるもの。しかしこの辺になるとちょっとお高い。やっぱり100g¥500超えちゃうと贅沢品ですよ、オレの感覚だと。でも食べてみると、いつも食べてる安物(デンマーク産、ドッフォブルー。1個¥370。)よりもクリーミーで上品なんですね。塩気もそれほどきつくない。なるほど、高いのも頷ける、とは思いましたが、やっぱり安物のちょっと下品かもしれない味のほうが口に合うんですねー。これって性分なんでしょうねー。人間も物も、ちょっと下品なぐらいのほうがすきなんですよー。

■パルメジャーノ・チーズ

そして最近ハマッたのがパルメジャーノ・チーズ。要はパルメザン・チーズ、粉チーズでおなじみの物ですが、これ、「KU:NEL」とかのスローライフ系女性誌読んでたら、塊から直に下ろし金でおろす、っていうのをやってみたくなっちゃったんですよ。オレ、パスタはぺペロンチーノが好きでよく作るんですが、(って言うか簡単だし)、粉チーズいっぱいかけて食べるのが好きなんですよー。(しかもタバスコもドバドバ。…)
それで買ってきてみたんですが。ちょっと味見に端っこ食べてみたら。これが。
ンマイ!ビックリ!もう下ろし金で下ろして、なんて頭に無いの。速攻パルメジャーノ・チーズで酒盛り。シアワセでした。
調べてみるとパルメジャーノ・チーズはハード・タイプと呼ばれる長期熟成タイプのチーズだということ。2年ぐらい熟成させるんだそうです。そのため、醗酵によって旨味成分が多く、複雑な味をしているのでしょう。また、食べた時たまに「ジャリッ」ってくる独特の食感がまた良くて。高い(フツーに1個¥1000位*1)のでしょっちゅう買える物ではありませんが、冷蔵庫にこっそり忍ばせておいて、勿体無さそうにチビチビ食べるのもまたよいかと。
今度はウォッシュ・タイプのチーズに挑戦してみたいです。

■「臭いが違う!」

何時だったか、例によってブルー・チーズを買ったときの事。食べようと思い、フィルムを剥がしたら、臭いが何時もと違う。もともと臭いチーズなんだが、今回はちょっと様子がおかしい。どうも保存の仕方が間違っていたのかもしれない。でも、なんか嗅いだ事のある臭いだ。なんだろなー、とか思って臭いチーズの臭いをもう少し嗅いで見る…。判った!これは履き古してドロドロになった靴下の臭いだ!!
臭い靴下の臭いのするチーズ。ある意味感動した。(で、どんな味になってるんだろう、とちょっとかじってみたバカなオレ)

トムとジェリー

昔アニメ「トムとジェリー」を見ていた時憧れたのは、ねずみのジェリーが猫のトムの目をくすねてかぶり付く穴の開いたチーズでした。あれ、凄く美味しそうだったなあ。あの頃のアメリカのアニメに出てくる食い物って皆うまそうに見えたなあ。思うんだけど、子供の頃、美味しくないとか言いながらしつこくチーズを食べ続けてきたのは、トムとジェリーに出て来たあのチーズに出会いたかったからなのかもしれない。


*チーズの種類などはこの辺で参考にされてください。http://www.chesco.co.jp/encyc/grounding/type.html

*1:輸入チーズの関税は30%なんだそうです。どうりで高いわけで。やっぱり贅沢品って事なんでしょうかねえ。