夢を見る

眠っている時は殆ど夢を見ない。見ていても多分憶えていない。寝つきが良いのか夜毎の深酒で気絶しているのかどちらかなのだろう。そんなオレなのだが、昨日久しぶりに夢を見た。それも妙に長い夢で、筋道だっていて、おまけに総天然色だった。まるでTV番組でも見ているような鮮やかな夢だ。ただ、問題は、それが、ちょっと前にオレを振ってくれた女性の夢だったということだ。
目覚めてヘコむ事などそうそうあることじゃない。しかし今回はヘコんだ。もうかなりいい具合に忘れかけていて、このまま全部忘れた振りをして、何もかも無かったつもりでヘラヘラと生きていこうとしていた矢先だったのに、まさか夢に現れるとはオレも迂闊だった。もうこの段階でオレという男にとって、恋愛とは呪いとか祟りとかとかとたいしてかわりがない。近づけば不幸と苦業が待っているのである。惨いもんである。
レストランのテーブルの、柔らかな天然木の色あい。テーブルに反射する、落ち着いた間接照明の光線。そして、そのテーブルの向こうで、静かに微笑んでいる彼女。彼女は何に笑っていたんだろう。この、デジャビュのような、ジャメビュのような、どの記憶かに似ていて、しかしどれとも似ていない、有り得ない/懐かしい体験。二人で歩く夜の公園の、街灯に照らされた緑はどれも黒々としていて、感じないほどの微風にゆっくりとたゆたい、なにか深海の底の有様のようにもみえた。夢の中の彼女の笑顔は烙印のように記憶にこびり付いて、そして切り傷のようにひりひりと痛んだ。忘れるはずだったのにな。
書いてて具合悪くなってきたな。とまあ、オレもおセンチになる事もあるんである。そもそもこのはてなの日記もこの感情にかかわずらうのが辛かったんで始めたんだけどね。
あー、でもあいつ今何やってんのかなあー。