再び腐れ外道な日々

オレの会社のY女史は上原多香子似の美形なのだが、上京して何年か経つのに未だに郷里の広島弁が時々顔を出し、しかし逆にそれが可愛い、という素敵な女性だ。
ワインと映画とドライブとお好み焼きをこよなく愛する彼女のたった一つの欠点はウルトラセブンみたいな眼鏡だ。オレは時々仕事に飽きてくると彼女の席に行き、五月雨のような心地よい音を立ててキーボードを叩いている彼女の耳元で「シュワッチ!」とか「ジュワッキ!」とか呟いて彼女の仕事の邪魔をする。すると彼女は、とろけたバタータフィーみたいな笑顔を浮かべて「もう!ウルトラセブンネタは止めて下さい!」と怒ってみせる。オレがいつも彼女の眼鏡を「ウルトラセブンのウルトラアイ」といってからかってるから、まだ20代の彼女もウルトラセブンを覚えてしまったらしい。
彼女のニックネームは「ワッキー」。会社で始めて会ったその日にオレがつけた。「今日から君はワッキーと呼ぶから。皆さんもそう呼んであげてね。」事務所のみんなにオレがそう告げると、実は冗談のつもりだったにも拘らず定着してしまい、以来彼女は皆から“ワッキー”と呼ばれている。なんか自分には妙な影響力があるらしい、と言うことが判って少しびっくりした。
オレはよくこのワッキーと、彼女の上司であり、そしてオレの下僕とM奴隷を兼ねているⅠとの3人で談笑する事が多い。
オレはこの日記を読んでもらえば判るように、お下劣な上、知性のほうも危ない男なのであるが、このワッキーと話している時も突然飛び道具を使うがごとくにお下劣な話題を持ち出し、彼女を呆れさせては喜んでいる。いやー、…サイテーですな。だって彼女、最初は凄い生真面目な子だったんで、からかいたくなってしまったんだよ。
以前も誰だかオレ並に下品な人間と会話してて、「亀甲縛り」の話が出たらしい。で、彼女はその言葉の意味が判らず、誰彼なく「ねえ、亀甲縛りってなに?なに?」と訊いていた、という伝説がある。(ていうかオレも訊かれた)世の中悪い奴もいるもんである。いやー自分のこと棚に上げるのは芸術的に巧いよねオレは。
でもそんな彼女も最近ではすっかりオレのお下劣話に慣れてしまい、一緒になってゲラゲラ笑うようになったばかりかオレとボケと突込みの掛け合いが出来るまでに成長した。この間なんか、オレの話のオチまで読まれてしまった。「で、その話のオチは「俺の子供を生んでくれ」ですね?」正解。しかしそれにしても「俺の子供を生んでくれ」って、いったいどーゆー会話のオチなんだっつーの、オレ。すいません、ホント、品性下劣な人間なんです…。
「私にセクハラで訴えられたら100回は刑務所入ってますよ」と笑う彼女。でもさ、判って欲しいんだよな、いつも綺麗な顔を強張らせて、忙しくて人と話す余裕も無く、乱れた髪を直す暇も無く、いつも偏頭痛に悩まされてて、「こんな会社、長くいたくない」とかボソッと言ってた君に、オレはちょっとでいいから笑ってほしかったんだよ。
(…いや、だからって婦女子に下ネタばかりかまして良い訳ねーだろ、オレ!という訳で、全て自己弁護だったというオチなのか?)
あ、言っておきますがオレとはロマンスのロの字も無いです。