死霊のはらわた 3 キャプテン・スーパーマーケット

死霊のはらわた [DVD] 死霊のはらわた 2 [DVD] 死霊のはらわたIII キャプテン・スーパーマーケット [DVD]
死霊のはらわた」は「スパイダーマン」でお馴染み、サム・ライミ監督のデビュー作であり、出世作です。やっとDVD3作揃えることができました。
公開時に有楽町の小さめな映画館で観たんですが、なにしろ上映中はわあわあきゃあきゃあと劇場が大騒ぎでした。怖い、というよりも後ろから「わっ!」って驚かされるみたいなショック・シーンがとても多いんです。あるシーンではあまりにびっくりして観客みんなが席からぴょんっ!と飛び上がったりして、もう、映画というよりは遊園地のアトラクション状態でした。ジェット・コースターに乗ってるみたいなスリルとサスペンスと体液と臓物!そして死霊の皆さんのメイクのばばっちいことばばっちいこと!でも、みんな、「わっ!」と驚いたあと、「クスクス…」って笑うんだよね。「なんだか馬鹿みたい、馬鹿みたいで楽しい」ってみんな思ってたんだと思う。ホラー映画で観客全員が一体感を覚える、という面白い体験をした映画でもありました。
気持ち悪いと言えば気持ち悪いけど、基本的には笑える作りなんです。特に「死霊のはらわた 2」ではゾンビと化した主人公の恋人が、切り落とされた自分の首を使って新体操しちゃうし、右手だけに死霊が取り付いた主人公がその自分の右手と掴み合い(そりゃもう「手」だけに)の死闘を繰り広げたり。その後切り落とした右手首にチェーンソーをアタッチメントして、主人公はライダーマン状態です。さらに左手には銃身を詰めたショットガンを構え、「やってやるぜ!」みたいに大見得を切る姿はホラーというより変身ヒーロー物です。で、ラストは「2001年宇宙の旅」になっちゃうし。
死霊のはらわた 3」では異次元へ通じる光の穴から中世の暗黒時代に飛ばされた主人公が、仲間と一緒に恐怖の悪魔軍団と戦います。もう、乗りはロール・プレイング・ゲームですよ。そしてもちろん武器はチェーンソーとショットガンですよ!この「3」でも、手のひらサイズぐらいの主人公の分身が出てきて、これが実は死霊の手先なんですが、こいつと「トムとジェリー」そのまんまのスラップスティックな死闘を繰り広げるシーンが笑えます。あと、ある呪文を唱えなければならない主人公が、途中で忘れてしまって「うにょうにゅうにょ…」と誤魔化した挙句、「さあオレは言ったぞ!どうだ!」とか開き直って大変な事態になるシーンとか。本当、馬鹿馬鹿しくて「もう好きにしてくれ!」と叫びたくなります。こうなるともう監督の思う壺ですよ。
「1」「2」あたりはSFXも今見るととても拙いものなんですが、逆に手作りの暖かさ(ってホラーで暖かいってのも変だが)、楽しさがあって、今見ると逆に新鮮です。SFXだけならインディペンディントのアート作品みたいにも見えないこともない…って訳でもないか。
サム・ライミ監督作品ではこの3作品がダントツに楽しいです。なにしろ「とことん観客を楽しませたい!」という心意気が素晴らしいです!他作品でお勧めは「ギフト」というタイトルの映画。これは実にしっとりと作られたホラーサスペンスで、心に残る奇妙な切なさ、暖かさが◎。あとスラップスティックでブラックな「XYZマーダーズ」、一風変わった変身ヒーロー物「ダークマン」も○。逆にオレ的には「スパイダーマン」、「クイック&デッド」は△、「シンプル・プラン」は×。
余談ですが。女優の緒川たまきという人がこの映画を評して「ホラーの形を借りたコメディの最高傑作」と言っていて、(http://www.discas.net/d/d/s?ap=c_interview_004_1)この人自体には興味は無かったんですが、こういうものの見方できる女っていい女だよなあ、とちょっと思いました。ていうか以前「タクシードライバー」と「ファイトクラブ」が好きだ、という女の子と出会ったことがあったけど、「判ってるなあ、この女」とあの時は萌えましたねぇ。