オレとタバコ

会社ではタバコを吸う。そして会社の仕事が終わったプライベートではタバコは一切吸わない。
吸っているタバコは『Captain Black』という銘柄である。これは箱に"Little Cigar"と銘打たれている様に、タバコの様に紙巻になった“葉巻”である。そう、実は葉巻好きなのだ。この『Captain Black』はフィルターにバニラ風味の甘味料が塗られている上、味も甘ったるく、当然甘ったるい匂いがする。だから喫煙OKの場所でさえ吸うのがはばかれることもある。面白いのは、葉巻の葉にはそういう法律上の規制がないのか、このタバコの外箱にはニコチンやタールの量が記載されていない。その為どの程度強いのか他のタバコと比べようがない。ただ、オレはこのタバコ以外のタバコは全く吸えない。美味いとも思わないのだ。ただしこの『Captain Black』が特別に美味いと言ってるわけではなく、きっと探せばもっと美味いものはあると思うんだが、あれこれ探すのも面倒なので、ずっとこればかり吸っているのだ。価格は1箱¥380。
まあアメリカ産と言うこともあり、葉巻として考えるなら味のランクは下の下だろう。たまに普通の葉巻を吸ってみると、それらが上品な味と香りがするのが分かる。しかしオレはやはりこのタバコの下世話でチンピラ臭い味の方が好きだ。ネットで『Captain Black』を検索すると、日本でこのタバコ吸ってる奴って、「ブランド好きのヤンキー」が多いので笑った。なんだ、オレにぴったりじゃないか。
もちろん何処にでも置いてあるタバコではないので、売っている店は探さなければ分からない。一応、有楽町に洋モクや葉巻の品そろえが多いタバコ屋があり、いつもそこに取り置いて貰ってる。これを粉飾して表現すると、「銀座の行き付けの煙草屋に葉巻を取り置いて貰っている」となる。
ところで最初に書いたが、オレはこのタバコを会社にいる時しか吸わない。会社が終わって一歩外に出るとオレは全くタバコに興味がない人間になる。それだけではない。プライベートでタバコを吸うと、気持ち悪くなった上頭痛が止まらなくなるのだ。もちろん他人の吸ってるタバコの煙さえ嫌になる。こんな人間も珍しいだろう。
オレはかなりな二重人格らしく、職場にいる時は大声でよく喋る快活で強面な人間の振りをしていて、おまけにかなり躁状態である。しかしこれがプライベートになると結構な腑抜けな上に、なんでもダラダラとしかできず、他人に話しかけるのも嫌な暗い人間に変身する。会社にいるときというのは社会人として生きていく為に獲得したペルソナを演じているのだと思う。そしてプライベートでもとにもどる。このスイッチの切り替え一つで、一人の人間がタバコ吸ったり吸えなくなったりするのだから不思議なものだ。だがオレの中では辻褄は合ってるし、そして両方ともオレ自身なのだ。
*追記:どうもこのタバコ、葉巻の葉っぱじゃなくてパイプ用の葉っぱなのらしい。どう違うのかは分からないが。