エヴリシング・バット・ザ・ガール、デトロイト・テクノ、そしてジョイ・ディビジョン

個人的にEBTG祭りになってます。
いい。いいわ、EBTGは。
Amplified Heartは1994年作、彼らの最盛期のアルバムじゃないでしょうか。明るすぎでも暗すぎでもない、地に足が着いたような淡々とした歌声とメロディは、逆に強い意思や想いを内包しているような気がします。切ないし、寂しいけれど、それに負けないタフさも併せ持っているような。ヒットしたMissingは一番好きな曲ですが、アルバムの中では異色な気がします。

Walking Woundedは1996年作、前作よりクラブ寄りの音になってますが、結局アレンジの問題でしかなく、やはりEBTGはEBTGだと思います。ただ、打ち込みを多用するほど強い情緒性が薄れ、時として聴き続けると重い気分になってくるEBTGが実にマイルドに聴きやすくなっています。昔からのファンは嫌いかもしれませんが。実はワタシは、このアルバムに続くハウス調全開のTemperamental(1999年作)がEBTGのアルバムの中では一番好きだったりする変わり者のEBTGファンだったりします。(いや、Night and Dayを歌ってた頃も好きだけどさー。)

Back to Mineは変り種のアルバムです。トレーシー・ソーンとベンワットがセレクトした他のミュージシャンの曲をベン・ワットがミックスしている、いわゆるDJミックス物の作りになっています。これがDJ Camで始まり、Model500やCarl Craigらのデトロイトテクノで進行していく、という驚きの選曲。(ハウスもあり)全体の雰囲気はスムースでスモーキー。

デトロイト物のテクノ好きなんですよー。でもラストの曲をDonny HathawayのR&Bで締めるのはEBTGらしいか。しかし何より驚いたのはCarl Craigの曲を『自分たちがかつて好きだったJoy Divisionを彷彿させる曲(そしてアルバムWalking Woundedの"Big Deal"に影響を与えた曲)』とスリーブで評していたこと。Joy Division、荒ぶり苦悩する魂、オレの心のトラウマになってる伝説のバンドです。

Joy Division、EBTG、デトロイトテクノ。繋がらない様でしかし、それらの音を思い浮かべるなら、どれも寂寥感溢れるクールで翳りのある音だといえませんか。ああしかしこんな繋がりは想像した事が無かったので驚嘆しました。音楽って聴くもんですねえ。それにしても曲のセレクトがセンスいい。Mixもうまい。当たり前ですがいい耳してますねえ。ある意味EBTGの一面を見ることが出来る好アルバムです。
それにしても、新譜の噂全然聞きませんが…何故?