片腕ドラゴン

続編の『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』のほうが先にDVDリリースされたまま、なぜかずっとお蔵入りになっていた正編がやっとこさリリース。あれかなあ、観てて思ったんだが、映画全編にハリウッド映画である『黒いジャガー』のテーマが使われてるんだけど、実は無許可で使ってて、これの権利問題で揉めてたのかなあ?

映画のほうは、実はオレ、劇場で観てるんですよ。ブルース・リーの『燃えよドラゴン』が世界を席巻し、クンフー映画が大流行だった時分に公開されてましたね。小学生の頃だったなあ。ただあの頃って、子供のオレからすると、ブルース・リー以外のクンフー映画はどれもバッタモンにしか思えず、一応あれこれ観たけれど、「取りあえずクンフー映画流行ってるから観てた」程度でしたね。他に観たので覚えてるのは『荒野のドラゴン』とか『ドラゴンと7人の吸血鬼』とかかな?そんなでしたから、その後の香港映画ブームも、ジャッキー・チェンも、どれも乗ることができず、あまり思い入れが無かったりします。

そんな頃に観た『片腕ドラゴン』でしたが、小学校の同級生達は結構皆観てましたね。それだけ話題だったんですよ。そしてよく”片腕ドラゴンごっこ”をして遊んでましたよ。単に片腕隠してクンフーの真似事するだけでしたけどね。そして話題の中心になるのはやっぱり、「いくらなんでも片腕で勝てるかよ!」というものでしたね。つまり小学生でもそう思っちゃうほど、設定に突飛なものを感じさせたんですね。突飛とは言っても、映画の中で残った片腕を鍛えるシーンは圧巻で、殆どストーリーなんか忘れてましたが、医者の先生に「神経を焼き切るのじゃ!」とか言われて片腕を火の中に突っ込んだり、重い石を手に打ち下ろしたりなんていうシーンはずっと覚えていましたね。それだけ壮絶なシーンだったんですよ。今観ると「鉄じゃねえんだから火の中に手ェ入れて鍛えられるかよ!」とか突っ込みまくりですけどね!

今こうして観て思ったのは『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』同様に”異種格闘戦”へのこだわりということでしょうか。そして敵役がどれもマンガチック。空手、テコンドー、柔道、ムエタイ、ヨガ、チベット密教武術、といった連中が出てくるんですが、最後の採石場みたいな場所での戦いは、なんだか仮面ライダーを髣髴させてます!ということは敵役はショッカーの怪人だったのか!?確かに全員素の顔のままでも怪人っぽかったからな!あとクンフーの動きはごく普通の殺陣にしか見えなくて、子供の頃思っていたほど「クンフースゲエ!」とは感じられないんですね。これは格闘映画が当時よりもずっと進歩してきたから見るほうの目も肥えちゃったという事なんでしょうね。そして『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』と比べたら戦いは割とオーソドクスなんですが、終盤片腕ドラゴンが突然意味も無く人差し指で逆立ちしてピョンピョン飛び始めたあたりで、一気に荒唐無稽化した次作への布石を感じました!

全体として、”片腕”という設定だけで既に勝っている実に優れたアクション映画でした。しかし、やはりまだ観ていない人には『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』を観て欲しい!なにしろ、スゲエんです!
片腕カンフー対空飛ぶギロチン [DVD]

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