2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『カウントダウン・シティ』は世界の終りとハードボイルドなワンダーランドを描くSFミステリだった

■カウントダウン・シティ/ベン・H・ウィンタース 失踪した夫を捜してくれないか―元刑事のパレスは、知人女性にそう頼まれる。小惑星が地球に衝突して人類が壊滅すると予測されている日まで、あと七十七日。社会が崩壊していくなか、人ひとりを捜し出せる可…

”癒し”という名の芸術/映画『ホドロフスキーのサイコマジック』

■ホドロフスキーのサイコマジック (監督:アレハンドロ・ホドロフスキー 2019年フランス映画) ■ホドロフスキーによる心理療法「サイコマジック」 『エル・トポ』『ホーリー・マウンテン』などで知られるカルト映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーはオレ…

在日コリアン家族と北朝鮮から帰国した兄/映画『かぞくのくに』

■かぞくのくに (監督:ヤン・ヨンヒ 2012年日本映画) 映画『かぞくのくに』は大阪出身の在日2世であるヤン・ヨンヒが監督し2012年に公開された日本映画である。これまでドキュメンタリーを撮って来た彼女の初のフィクション作品であるのらしい。そして物語…

冥府魔道を突き進む父娘を描くバイオレンスアクション小説『拳銃使いの娘』

■拳銃使いの娘/ジョーダン・ハーパー 11歳のポリーの前に、刑務所帰りの実の父親ネイトが突然現われた。獄中で凶悪なギャング組織を敵に回したネイトには、妻子ともども処刑命令が出ており、家族を救うため釈放されるや駆けつけたのだった。だが時すでに遅…

ロックによる反人種差別運動/映画『白い暴動』

■白い暴動 (監督:ルビカ・シャー 2019年イギリス映画) オレのパンク・ミュージックの初体験は1977年、セックス・ピストルズのリリースホヤホヤのアルバムでだった。「今これが一番新しいんだぜ」と友人に聴かされたその音楽は、当時プログレッシヴ・ロッ…

最近聴いたエレクトリック・ミュージックその他

■Tunes 2011-2019/Burial TUNES 2011-2019 [輸入盤 / 2CD] (HDBCD048)_873 アーティスト:BURIAL,ブリアル 出版社/メーカー: HYPERDUB 発売日: 2019/12/06 メディア: CD UKダブステップ界の鬼才中の鬼才、burialがテン年代にリリースしたシングル全17曲を網…

最近観たインド(関連)映画3作

■ホテル・ムンバイ(監督:アンソニー・マラス 2018年オーストラリア・アメリカ・インド映画) ホテル・ムンバイ [Blu-ray] 発売日: 2020/03/03 メディア: Blu-ray 映画『ホテル・ムンバイ』は2008年、インドの都市ムンバイで実際に起きたイスラム過激派によ…

最近ダラ観したDVDやらブルーレイやらサブスクやら

■ジェミニマン (監督:アン・リー 2019年アメリカ映画) ジェミニマン ブルーレイ+DVD [Blu-ray] 発売日: 2020/03/04 メディア: Blu-ray 腕利き殺し屋が自分のクローンと戦っちゃう羽目に!?というSFアクション。劇場はスルーしたんだけどレンタルで観たら…

最近読んだコミックあれこれ

■死都調布南米紀行/斉藤潤一郎 【Amazon.co.jp 限定】死都調布 南米紀行(タトゥーシール付き) (torch comics) 作者:斎藤 潤一郎 発売日: 2020/04/10 メディア: コミック 前作『死都調布』 はガロ的なオルタナティヴ・コミックの画風に干乾びきったハードボ…

『バーフバリ』的超絶展開が巻き起こるインド・アクション映画『サーホー』!

■サーホー (監督:スジート 2019年インド映画) 近未来のインドを舞台に、警察・マフィア・大泥棒とが三つ巴となり虚虚実実の駆け引きを繰り広げあうというアクション大作がこの『サーホー』だ。主演にあの『バーフバリ』サーガでバーフバリ王を演じたプラ…

レイジーさんのこと

unsplash-logo Kerri Shaver こんなブログも16年も続けていると、オレの如きコミュ障の引き籠り野郎であっても幾人もの方と知り合うものだ。実際にお会いしたり、その後も懇意に付き合ってくださる方も何人かいる。実はオレの相方ともブログで知り合ったのだ…

バラエティ豊かな中国SFのショウケイス『月の光 現代中国SFアンソロジー』

■月の光 現代中国SFアンソロジー 国家のエネルギー政策に携わる男はある晩、奇妙な電話を受ける。彼のことを詳しく知る電話の男は、人類と地球の絶望的な未来について語り、彼にそれを防ぐ処方箋を提示するが……。『三体』著者である劉慈欣の真骨頂たる表題作…

学園ホラーコメディ映画『スローターハウス・ルールズ』を観た

■スローターハウス・ルールズ (監督 クリスピアン・ミルズ 2018年イギリス/アメリカ/カナダ映画) オレはサイモン・ペッグが結構割と好きである。『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ホット・ファズ』あたりの有名作、『ミッション・インポッシブル』や『ス…

30周年の男

オレのごとき誠にしょうもないオッサンであろうとも、一応はサラリーマンであり給与生活者であり会社員であったりはするのである。そんな真性プロレタリアートのオレであるが、このたびなんと勤続30周年を迎えたのらしく、勿体ないことにこの間会社にて表彰…

ブルースを聴いていた

最近たまにブルースを聴いている。これまで全く聴くことは無かったし、とりたてて興味も無かったのだが、ある切っ掛けからちょっとばかり聴いてみたら、「こりゃいいな」と思ってしまったのだ。 その切っ掛けというのはアッティカ・ロックのミステリ小説『ブ…

航空ミステリ『座席ナンバー7Aの恐怖』を読んだ

■座席ナンバー7Aの恐怖/セバスチャン・フィツェック 上空数千メートルを飛ぶ旅客機。そこに乗り込んだ飛行機恐怖症の精神科医クリューガー。彼を見舞ったのは想像を絶する悪夢だった。誘拐された娘を救いたければ、この飛行機を墜落させろ。それが犯人の要…