旧『バットマン』4部作を観返していた

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久しぶりに旧『バットマン』4部作を観返してみた

突然『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』を観たくなったのである。理由はよく覚えていないが、全身キンキラキンにシルバーなシュワルツェネッガーを拝みたくなったからなのかもしれない。 じゃあついでに旧『バットマン』4部作を一気に観返してみようじゃないか!となし崩しに思い付き、衝動に身を任せたままBlu-rayセットをアマゾヌでポチヌしてしまった罪深いオレなのであった。衝動買いばかりしているから貯金がなかなか溜まらない。これは老後に向けて由々しきことである。まあしかし買っちまったもんはしょうがない!ということで旧『バットマン』4部作を1作目から順繰りに観始めたオレなのであった。 

バットマン (監督:ティム・バートン 1989年アメリカ映画)
バットマン [Blu-ray]

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  • 発売日: 2016/02/24
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 当時、バットマン映画化!と知った時には大いに盛り上がった。バットマンに興味があったというよりは、サントラを手掛けていたのが当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったプリンスだったからである。プリンス・ファンだったオレは既に発売済みのサントラを朝に夕に聴きながら映画の公開を楽しみにしていた。また、監督であるティム・バートンはこの頃まだ『ビートル・ジュース』をヒットさせたばかりだったが、『ビートル・ジュース』の摩訶不思議な世界が結構気に入っていたので、作品自体にも期待はあった。しかし実際劇場で観たオレの感想は「???」だった。いろんな部分で中途半端に感じたのだ。

バットマン役のマイケル・キートンが見事にでくの坊で、ジャック・ニコルソン演じるジョーカーは奇矯すぎ、ヒロイン役キム・ベイシンガーは何しに出てきたのかよく分からなかった。物語それ自体も、ティム・バートンの持ち味が上手く活かせておらず、シリアスさとブラックなユーモアは噛み合ってなく、物語運びの混乱ばかり伝わってきた。プリンスのサントラは気持ちほどしか使われておらず、さらに雰囲気に全く合っていなかった。後からティム・バートンと製作側の意見が噛み合っていなかったという事を知り、それでバートンは伸び伸びと作れなかったのかと思った。

さて今観返してみると、実は意外とバートンは健闘していたのではないか、と思える映画だった。この辺オレはあまり詳しくなくて断言できないんだが、バートンはアニメ版のバットマンの雰囲気を出そうとしていたのではないか。そう思うと全体の演出や雰囲気が合致するのだ。ただし当時目を引いたセットは張りぼて感満載で、美術それ自体は古臭く感じてしまった。逆に、大昔観た時に辟易したジャック・ニコルソンの演技が実に面白く、さすが大俳優だなと思わせた。キム・ベイシンガーも、こうして今いい年のオッサンになってみるとその魅力が大いに伝わってきて、いい女優だったのだなあと改めて認識した。マイケル・キートンは今観てもでくの坊だった。ロマンス展開はやはり必要に感じなかった。ロマンス展開期待してバットマン観てるわけじゃないし。

バットマン リターンズ (監督:ティム・バートン 1992年アメリカ映画)
バットマン リターンズ [Blu-ray]

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どうにも食い足りなかった1作目と比べると、この『リターンズ』はバートン監督の得意なテーマとする「フリークスの悲しみ」が十分に描かれ、さらに美術も”バートンらしさ”が花開く傑作として完成していたように思う。1作目の興行的成功がバートンに自由な制作態度を許したからなのだろう。バートン作品としても評価が高かったのではないか。

だがこうして今観直してみると、バートンのダークファンタジー風味がどうにももっさりして感じられ、「ダークヒーローのアクション活劇」としての爽快感に乏しく、美術や造形は優れていたものの、アクションとしては見るものがないように思えた。マイケル・キートンは相変わらずでくの坊で、首の回らない作りのバットマンスーツはそれをさらに誇張して見せていた。悪徳市長役クリストファー・ウォーケンはそこそこに役をこなしていたが、ペンギン役ダニー・デヴィートは大いになり切ってはいたものの、やはり1作目のジョーカー並にトゥーマッチなキャラで、観ていて少々胸焼けした事は否めない。

しかし驚いたのはキャットウーマンを演じたミシェル・ファイファーだ。バットマンを含めモンスターだらけのこの作品で、正気と狂気の狭間で揺れ動く彼女の悲しみは、この物語で唯一人間的要素を見せつけていたのだ。キャットウーマンという奇矯なキャラも楽しみながら堂々と演じていたように見えた。ミシェル・ファイファー、大昔観た時にはまるで気が付かなかったが、こうして観ると彼女もまた優れた女優だったのだ。 

バットマン フォーエヴァー (監督:ジョエル・シュマッカー 1995年アメリカ映画)

これまで監督だったティム・バートンが製作に回り、新たにジョエル・シュマッカーを監督に迎えて始動した旧4部作第3弾である。また、バットマン役がマイケル・キートンからヴァル・キルマーに変更されている。劇場で観た時はそれなりに楽しみつつ、実のところまるで記憶に残らなかった作品ではあったが 、今回観直してみても、やはりせいぜい凡作といっていい作品ではある。しかしティム・バートンの暗く重苦しい世界観を払拭し、もっと間口の広い娯楽昨に仕立てようとしたのであろう、見た目の騒々しいキャンプな作品にしようとしたシュマッカーの意図(というか製作者側の意図なのだろうが)は分からないでもない。2作を通じ延々バートン節を披露させられるのも少々鬱陶しく思えてきたからだ。

しかし凡作なりにこの作品、配役が豪華だ。ヒロインにニコール・キッドマントゥーフェイストミー・リー・ジョーンズリドラージム・キャリー、さらに悪の手下としてドリュー・バリモアまで出演しているではないか。特にニコール・キッドマンの美しさは旧4部作ヒロインの中でも群を抜いていた。トミー・リー・ジョーンズは単なる怪物演技で、ほとんど漫画のようなノリだったが、問題なのはジム・キャリーで、役を演じているというよりも、単にいつもの鬱陶しいジム・キャリーなのである。こいつさえいなければまだなんとか観られる映画だったのではないか。ヴァル・キルマーマイケル・キートンよりはましであったと言っておこう。 

バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲(監督:ジョエル・シュマッカー 1997年アメリカ映画) 

旧4部作最後の作品は、あまりの不評のためにこの後のバットマン映画製作が一時頓挫してしまったほどの失敗作として知られている。しかし実は、旧4部作を観直してみて一番楽しんで観られた作品だった。まず美術や特撮がとりあえず一番新しく、見られるものになっていること、シリーズ4作目・シュマッカー2作目という事で余裕や遊びのある演出であったこと、ロビンやバットガールが参戦し見た目が賑やかで楽しげであること、そして今作のヴィランMr.フリーズを演じるアーノルド・シュワルツェネッガーとポイズン・アイビー役のユマ・サーマンが思いのほか素晴らしく、味のある演技を見せていたことだ。

Mr.フリーズのその暴力性とは裏腹の深い悲しみの在り方は存在感に厚みをもたらしており、旧4部作で一番好きなヴィランかもしれない。まあ大仰で馬鹿馬鹿しいルックスのキャラだが、この「大仰な馬鹿馬鹿しさ」こそが今作のコンセプトとも言えたのではないか。ポイズン・アイビー役のユマ・サーマンはナードな素の顔と妖艶なヴィランのキャラクター両方を演じ、『パルプ・フィクション』ですっかりユマ・サーマンに熱を上げていた当時のオレにとっても眼福であった。そしてこのMr.フリーズとポイズン・アイビー、これまでのバットマンヴィランが実の所「変な衣装を着た頭のおかしい犯罪者」でしかなかった部分を、それぞれにユニークな特殊能力を持ち、バットマンを究極の危機に陥れる強敵として登場している部分は着目すべき点だ。

バットマンジョージ・クルーニーは線が細く小柄ではあったが、マッチョさを否定した甘いマスクの容貌は、世間で言われるほど悪くなかったはずだ。ロビンもバットガールも、若々しく溌溂としたキャラで好印象だった。それと、あのベインが登場してバカマッチョを演じる部分もまた楽しい。3作目から継承するギラギラとしたキャンプな映像は一層怪しく煌めき、それは監督シュマッカーの深層心理の発露でもあったのではないか。とは言え、旧4部作で最も遊びと余裕の感じられた本作は、バートンが監督し成功させた1作目2作目があったからこそだということも忘れてはいけないだろう。

確かに今観るとTVドラマの1作程度にしか感じないチープさはあるが、しかし非常に充実したキャラクターを提示した本作の、その続きが製作されたなったのは少々惜しかった気もする。なにより、明るさと希望に満ちたラストが素晴らしい作品だった。そして『バットマン』シリーズはその後クリストファー・ノーランによる伝説的な新3部作が始動するするまで、8年間の沈黙へと突入するのだ。

二つの場所にいた一人の人間。そしてさらに衝撃的な事件が起こる /スティーブン・キング最新長編『アウトサイダー』を読んだ

アウトサイダー(上)(下) / スティーヴン・キング(著)、白石朗(訳)

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その1:ネタバレなし感想 

スティーブン・キングの最新長編『アウトサイダー』を読了した。これは本国では2017年に刊行された『The Outsider』の翻訳版となる。

物語は11歳の少年の惨殺死体が公園で発見されることから始まる。現場に残された指紋と目撃者の証言から犯人は教師でありリトルリーグコーチでもあるテリー・メイトランドと断定、刑事ラルフ・アンダーソンは衆人環視の中彼を逮捕する。しかしテリーは事件当日遠く離れた別の街におり犯行は不可能、彼と同行していた者の証言も確かだった。二つの場所にいた一人の人間。そしてさらに衝撃的な事件が起こる。

猟奇犯罪を巡る食い違った目撃情報と状況証拠。これはトリックなのかそれとは別の”なにか”なのか?不可解な矛盾を抱えたまま平行線を辿る捜査はやがて恐るべき真実へと近づいてゆく。謎に満ちた物語はその後驚愕の展開を迎え、キングならではの恐怖の深淵を垣間見せながら暴走列車の如くひた走る。ページを繰る手が止まらない、とはまさにこの作品のことで、恐るべきリーダビリティの高さでひたすらグイグイと読ませるのだ。分厚いキング長編を1週間足らずで読み終えるなんてオレも初めてかもしれないな。それだけストレートに読みやすく引き込まれる物語だった。

いつものキング手腕といえばそれまでだが、今作でも生き生きとした人物描写と彼らの語るエピソード、それら多数の登場人物が絡み合いながら様々な人間関係を生み出してゆく様が実に素晴らしい。猟奇犯罪と謎の存在を巡る緊迫した物語の中にもふざけたセリフや心和むドラマがある。これらの緩急の術が絶妙だ。そして登場人物たちが段々と好きになってくる。彼らの悩みや悲しみを目の前にいるかの如く受け止め、そんな彼らを応援し危機に至れば気がかりで矢も楯もたまらなくなる。本作の魅力はこれら登場人物の愛すべき姿でもあると言っても過言ではないだろう。

本作の読み易さは作者キングが乗りに乗って一気呵成に書き上げたからではないかと勝手に想像している(違うかもしれない)。筆致が軽快なのだ。だから綿密な構成が施された熾烈な運命を描く重量級の問題作というよりは、謎と恐怖を程よくマリアージュさせながらスピーディーに展開する、サクッと読めてサクッと楽しめるエンタメ作品として接するといいだろう。

今作は前情報一切なしで読み進めたのだが、そもそも一般の作品紹介でもほとんど内容が触れられていない。これがミステリーなのかホラーなのかも明らかにされていないのだ。だからこそ中盤からの新展開では大いに驚かされつつ諸手を挙げて歓迎したのだが、この新鮮な衝撃を保持するにはやはりここでも多くは語らないほうがいいのだろう。なのでこのレビューでもここまでを「ネタバレなし感想」しておく。 ↓ のアマゾン書影の後に「ネタバレあり感想」を付記しておくのでもう既に読んだ方限定で眺めてくださればと思う。

アウトサイダー 上 (文春e-book)
 
アウトサイダー 下 (文春e-book)
 
 その2:ネタバレあり感想

今回のキング、『ダークハーフ』のような事件を『ミスター・メルセデス』のように捜査し始めたら『IT』みたいな邪悪存在が登場し、『眠れる美女たち』のような強い女性が現れて『デスぺレーション』の如き地の底で対決する、という物語だった。ある種かつてのキング作品のモザイクっぽくもあるが、それでも二番煎じに感じさせない筆力はさすがだと思わされた。

それにしても中盤(上巻の終り頃)で驚かされたのは今作がビル・ホッジズ・シリーズの世界観にある物語だった!ということである。『ミスター・メルセデス』3部作の最後で主人公ビル・ホッジズは世を去るが、ビルの片腕として探偵社で働いていたホリー・ギブニー女史が登場し、快刀乱麻に事件を解決してゆくのである。なにしろこのホリーの人物造形がよくて、エキセントリックな性格でコミュ障であるという弱さを持ちながら、すわ事件となると驚くべき綿密さで捜査を開始し、猟奇犯罪にも臆さないという強さを持っているのだ。この人間的陰影がなにしろチャーミングで、読んでいて彼女のことが好きになってしまうこと請け合いだ。

なにしろミステリーなのかホラーなのか分からないまま読み始めたのだが、結果的に「前半ミステリー後半ホラー」といったような構成で、「一粒で二度美味しい」と言いたくなるような、なかなかいい具合の折衷だった。今作では謎も曖昧さも思わせぶりも残さず、何もかもきっちり説明して終わせているのが印象的だ。後半登場人物全員が古典推理小説みたいに集合し推理を披露しあう場面があったり、「例のアレ」ですら自分の事を説明してるのである。この辺徹底的に分かり易さを目指した結果なんだろう。だから物語には含みや余韻は無いにせよ、実に裾野の広いエンタメ作法だと思って感心した。この辺、ビル・ホッジズ・シリーズで培ったミステリ小説のノウハウが応用された結果なのだろう。

「邪悪なる存在」の正体も、実際陳腐と言ってしまえば陳腐なのだが、この辺りはキングならではのB級ホラーテイストなのだな、と思ってみればさして気にならない。むしろ伝説に残るというこんな化け物をよく探し出してきたよな、とも思う。超自然の化け物ではあるが全知全能という訳ではなく、きちんと弱点が設けられ、しかもこれが説得力がある。この力の弱まった時期に人間の「使い魔」を使役するというアイディアも面白い。この「使い魔」が後半大いに邪悪な行動に出てくれるが、逆に親玉の化け物の印象が薄くなってしまった事がちと残念か。

壮絶な戦いの後に物語は傷だらけのハッピーエンドを迎えるが、キングも丸くなったなと思いつつ、ロートルファンとなった自分自身も、このぐらいのハッピーエンドがやはり安心するんだよなと感じた。スティーヴン・キングの最高傑作の一つとまでは言わないが、十分に楽しませてくれる、読んで損のない良作である事は間違いないだろう。

地下世界に蠢く異形の群れ/ ストップモーションアニメ『JUNK HEAD』 を観た。

JUNK HEAD (監督:堀貴秀 2017年日本映画)

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クリエイター・堀貴秀が少数のスタッフのみで7年の歳月を費やし製作したSFストップモーションアニメ『JUNK HEAD』が話題になっていたので観に行くことにした。この作品で堀貴秀は原案、絵コンテ、脚本、編集、撮影、演出、照明、アニメーター、デザイン、人形、セット、衣装、映像効果など殆ど全てを担当したのだという。

《物語》環境破壊により滅亡に瀕していた人類は地下世界に版図を広げたが、労働力として開発された人工生命マリガンが反乱を起こし地下は乗っ取られてしまう。それから千数百年後、人類は遺伝子改良により不死を得ていたものの生殖能力を失い、マリガンの遺伝子を研究することで活路を見出そうとしていた。そして地下世界に一人の男が派遣されることになる。しかしそこで男が見たものは、異形と化したマリガンたちの蠢く不気味な異世界だった。

ストップモーションアニメとして有名なのはレイ・ハリーハウゼンによる、神話世界のクリーチャーが生々しく動き回る『シンドバッド』シリーズをはじめとした数々の特撮映画だろうか。『ロボコップ』や『スターウォーズ』でストップモーションアニメを担当したフィル・ティペットの名も忘れることはできないだろう。近年ではストップモーションアニメの手法も洗練され、トラヴィス・ナイト率いるライカの作品群(『コララインとボタンの魔女』『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』など) はストップモーションなのかCGなのか判別できないほどに洗練されている。

しかしストップモーションアニメとして個人的に愛着があるのは、ブラザーズ・クエイによる『ストリート・オブ・クロコダイル』や、ヤン・シュバンクマイエルの『アリス』『オテサーネク』といったアートアニメ作品群だ。これらはシュールレアリズムの系譜にある実験的な作品であり、どれも不気味で薄暗く、グロテスクかつ蠱惑的なもので、強烈な作家性と優れた美意識を感じさせるのだ。彼らの作品は以前「オレ的アニメ映画ベストテン」という記事で紹介してあるので、興味の湧いた方はご一読を。

さて今作『JUNK HEAD』はどうだろう。まず少数精鋭による7年の歳月を掛けた力作であるといった点は忘れよう。オレが『JUNK HEAD』を観て感じたのは、SF作品としてのポップで親しみ易い体裁と、時折クスリと笑わせる分かり易い物語を兼ね備えながら、ブラザーズ・クエイの廃物感覚とヤン・シュバンクマイエルのグロテスクさを併せ持った、実に今日的なハイブリッド感覚溢れる作品だったという事だ。切断された首で子供たちが蹴鞠するシーンなどは、デヴィッド・リンチ作品『イレイザーヘッド』をも髣髴させるではないか。そういって点で、監督である堀貴秀にはメジャーな匂いをさせたアートアニメ作家の片鱗が伺わせられるのだ。

全体的には、特にストーリーテリングの在り方としてまだ過渡的な部分や練りこみ不足、切り込みしたほうが良いと思われる部分も感じるが、これが長編第1作として考えるなら、十分に力を出し切った良作ではないか。ストップモーションアニメとしての技術的な部分においてオレは何か言える知識はないが、しかし後半のアクションとそのスピード感については「よくもまあここまでやったものだな」と感嘆した。ビジュアルセンスもオレの好みだ。続編の構想もあるという事らしく、確かに物語はまだ終わっていなさそうだったが、この続きがあるのだとすれば経験を生かしたより一層シャープで深化した物語とヴィジュアルを楽しめそうだ。監督・堀貴秀の今後の作品に大いに期待したい。 

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オレの超個人的20世紀古典ロック100枚!

オレの超個人的な古典ロックアルバム100枚なのだ

以前ワッシュさんのブログで「ロック好きなら聴いておきたい古典100」という記事を読んだのである。これははてな匿名ダイアリーの「ロック好きなら高校生までに聴いておきたい古典100」という投稿に対するワッシュさんなりのアンサーとして書かれたものだった。

これを読んで「オレもやってみたいなーでも100枚もアルバム並べるのはかったるいなー」などとゴニョゴニョ言いつつ、とりあえず何枚かピックアップしてみたところこれが面白い。そしてああだこうだと頭をひねって無理矢理100枚のロック・アルバムを並べてみたのである。今回のブログはそんな100枚を紹介するのである。

ただし注意してほしいのは、これはあくまで「オレの超個人的な古典100」であって、「ロック好きなら聴いておきたい古典100」では全くない、ということである。だからセレクトに文句付けられても困るし、同時に「ロック好きならこれを聴いておくべき」などと主張するつもりも毛頭ない。なにしろただただオレのオレによるオレのための100枚でしかない、ということをご考慮していただきたい。

セレクトに関しては20世紀中にリリースされた、オレが特に好んで聴いたロック・アルバムを選び、1アーチスト1作ではなく好きなアルバムを好きなだけ並べてみることにした(というかそうでもしなければ100枚も選べなかった)。

ジャンル的に一応「ロック・アルバム」とはしてあるが、テクノやレゲエがかすっているアルバムも何枚かある。ただそれらアルバムも、リリース当時はロックの延長線で語られたものだったはずである。ただし今回100枚の中に入れたかったプリンス『Purple Rain』やボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ『Exodus』もロックの延長線上にあるアルバムではあるが、それぞれにどちらかというならR&Bでありレゲエの文脈にあるものだろうということで泣く泣く外すことにした。

また、オレの20世紀ロック史はパンク/ニューウェーヴ登場の前後で180度変わるので、これを「パンク/ニューウェーヴ以前」「パンク/ニューウェーヴ以降」の2つのパートで分けた。では行ってみよう。 

(注:スマホだと全部表示されないかもしれません)

PART:1 「パンク/ニューウェーヴ以前」

1-14:デヴィッド・ボウイロキシー・ミュージック、ブライアン・フェリー、ブライアン・イーノ

やっぱりねえ、オレにとって「ロック」といえばボウイ、ロキシー・ミュージック、そしてロキシーに在籍していたフェリーとイーノなんですよ。

ロウ <2017リマスター>

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ヒーローズ <2017リマスター>

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ジギー・スターダスト<2012リマスター>

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アラジン・セイン<2013リマスター>

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ストランデッド(紙ジャケット仕様)

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AVALON-REMASTERED

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These Foolish Things

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  • アーティスト:Ferry, Bryan
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Another Time Another Place

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  • アーティスト:Ferry, Bryan
  • 発売日: 2000/03/10
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  • アーティスト:Ferry, Bryan
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アナザー・グリーン・ワールド(紙ジャケット仕様)
 
Before & After Science

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  • アーティスト:Eno, Brian
  • 発売日: 2009/07/06
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15-22:プログレッシヴ・ロック 

ロックを聴き始めの頃はプログレも好きだったなあ。とはいえそんなに多くは聴いてなくて、ここに挙げたアーチストだけをとっかえひっかえ聴いていたんですけどね。

Dark Side of the Moon

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  • アーティスト:Pink Floyd
  • 発売日: 2011/09/26
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炎 あなたがここにいてほしい

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クリムゾン・キングの宮殿

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レッド(K2HD/紙ジャケット仕様)

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Yessongs

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  • アーティスト:Yes
  • 発売日: 1994/09/27
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フォックストロット

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  • アーティスト:ジェネシス
  • 発売日: 2018/06/20
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23-32:その他あれこれ 

ビートルズも、この2つのアルバムだけしかちゃんと聴いていないんですが、やはりマストでしょう。その他もやはりロック聴き始めの頃に愛着のあったアルバムです。

Strange Days

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  • アーティスト:Doors
  • 発売日: 2007/03/27
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American Prayer

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トランスフォーマー

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永遠の詩(狂熱のライブ)<2018リマスター>(2CD)

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  • アーティスト:LED ZEPPELIN
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キャプテン・ファンタスティック+3

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Trans-Europe Express

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  • アーティスト:Kraftwerk
  • 発売日: 2003/02/11
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PART:2 「パンク/ニューウェーヴ以降」

しかしそんなロック蜜月時代のオレにもパンクの波がやってきて、それまで聴いていたいわゆる「ロック」を全く聴かなくなり、その後のポスト・パンクへと突入してゆくわけです。

33-39:パンク&スカ
白い暴動

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ブラック・アンド・ホワイト

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香港庭園(ホンコンガーデン)

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A Message to You Rudy (2002 Remaster)

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TOO MUCH PRESSURE (DELUXE EDITION)

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  • アーティスト:THE SELECTER
  • 発売日: 2021/04/23
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I Just Can't Stop It

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  • アーティスト:English Beat
  • 発売日: 2012/09/18
  • メディア: CD
 
40-47:ジョイ・デヴィジョン、ニュー・オーダー、ファクトリー・レーベル

ポスト・パンクニューウェーブと言えばジョイ・ディヴィジョンニュー・オーダーは外せません。彼らの在籍していたファクトリー・レーベルのアルバムもお気に入りでした。

Unknown Pleasures (Bonus CD) (Reis)

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  • アーティスト:Joy Division
  • 発売日: 2007/11/13
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Closer (Reis) (Exp)

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  • アーティスト:Joy Division
  • 発売日: 2007/10/02
  • メディア: CD
 
Heart & Soul

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  • アーティスト:Joy Division
  • 発売日: 1999/10/15
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Movement

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  • アーティスト:New Order
  • 発売日: 2000/06/26
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Substance

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  • アーティスト:New Order
  • 発売日: 1999/10/05
  • メディア: CD
 
The Best of New Order

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  • アーティスト:NEW ORDER
  • 発売日: 1999/09/23
  • メディア: CD
 
Lc

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SEXTET

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  • アーティスト:A CERTAIN RATIO
  • 発売日: 2018/07/27
  • メディア: CD
 
48-53:インダストリアルその他

そして忘れてはいけないのがインダストリアル・サウンド。若かりし頃はこれら殺伐とした工業音楽世界にどっぷりはまってました。

Three Mantras

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Hai

Hai

 
Fuer Immer

Fuer Immer

  • アーティスト:Daf
  • 発売日: 2018/01/26
  • メディア: CD
 
Second Album

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  • アーティスト:Suicide
  • 発売日: 1999/05/04
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54-80:ポスト・パンクその他

ポスト・パンク以降の音は浴びるほど聴いていましたが、やはりPILのメタルボックス(Second Edition)が最高でしたね。他にもあれやこれやありますが、全部語っているときりがなくなるので割愛!

SECOND EDITION

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エンターテイメント!(紙ジャケット仕様)

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Colossal Youth -CD+DVD-

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Nothing Can Stop Us

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  • 発売日: 2008/10/28
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キューピッド&サイケ’85

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Gentlemen Take Polaroids

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  • アーティスト:Japan
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白いレガッタ(紙ジャケット仕様)

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  • アーティスト:ポリス
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クロコダイルズ(紙ジャケット&SHM-CD)

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  • アーティスト:U2
  • 発売日: 2008/07/22
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Black Sea

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  • アーティスト:Xtc
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ドクター・ヘッケル・アンド・ミスター・ジャイヴ

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Q: Are We Not Men? We Are Devo

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  • アーティスト:Devo
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  • 発売日: 1999/08/18
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プレイ

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Lexicon of Love

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ミュージック・ファクトリー

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  • アーティスト:Massive Attack
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  • メディア: CD
 
Replicas [輸入盤CD] (BBL7CD)

Replicas [輸入盤CD] (BBL7CD)

 
The Pleasure Principle [輸入盤CD] (BBL10CD)

The Pleasure Principle [輸入盤CD] (BBL10CD)

 
Metamatic (Dlx)

Metamatic (Dlx)

  • アーティスト:John Foxx
  • 発売日: 2007/09/11
  • メディア: CD
 
人類零年+8(紙ジャケット仕様)

人類零年+8(紙ジャケット仕様)

 
Signing Off

Signing Off

  • アーティスト:UB40
  • 発売日: 1994/02/08
  • メディア: CD
 
Tropical Gangsters

Tropical Gangsters

 
North Marine Drive(+5) (紙ジャケ仕様/SHM-CD)

North Marine Drive(+5) (紙ジャケ仕様/SHM-CD)

  • アーティスト:Ben Watt
  • 発売日: 2017/11/22
  • メディア: CD
 
AMPLIFIED HEART(SHM-CD)

AMPLIFIED HEART(SHM-CD)

 
80-87:ダンス&エレクトリック・ポップ

そしてなんと言ってもPSBとの出会い!一時PSBの音は殆どオレの心象風景となっていました。

Disco

Disco

  • アーティスト:Pet Shop Boys
  • 発売日: 1988/01/04
  • メディア: CD
 
INTROSPECTIVE:FURTHER

INTROSPECTIVE:FURTHER

  • アーティスト:PET SHOP BOYS
  • 発売日: 2018/03/02
  • メディア: CD
 
AGE OF CONSENT

AGE OF CONSENT

  • アーティスト:BRONSKI BEAT
  • 発売日: 2015/11/13
  • メディア: CD
 
Hundreds and Thousands

Hundreds and Thousands

  • アーティスト:Bronski Beat
  • 発売日: 2000/01/01
  • メディア: CD
 
BLACK CELEBRATION

BLACK CELEBRATION

  • アーティスト:DEPECHE MODE
  • 発売日: 2013/08/02
  • メディア: CD
 
Lexicon of Love

Lexicon of Love

  • アーティスト:ABC
  • 発売日: 2002/02/05
  • メディア: CD
 
88-92:日本のバンド

日本のロックで聴いていたのはこの程度なんですが、どれも強烈に脳裏に残っています。

君と踊りあかそう日の出を見るまで

君と踊りあかそう日の出を見るまで

  • アーティスト:じゃがたら
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: CD
 
裸の王様(完全生産限定盤)(アナログ盤) [Analog]

裸の王様(完全生産限定盤)(アナログ盤) [Analog]

  • アーティスト:JAGATARA
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: LP Record
 
STILL ECHO

STILL ECHO

  • アーティスト:MUTE BEAT
  • 発売日: 2011/07/06
  • メディア: CD
 
イマジネイション通信 +2 (紙ジャケット仕様)

イマジネイション通信 +2 (紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:原マスミ
  • 発売日: 2007/05/23
  • メディア: CD
 
IN A MODEL ROOM (SHM-CD EDITION )

IN A MODEL ROOM (SHM-CD EDITION )

  • アーティスト:P-MODEL
  • 発売日: 2020/11/20
  • メディア: CD
 
93-100:ギターロック

これらを「ギターロック」で一括りにするのは違うとは思うんですが、並べてみたら収まりがよかったのでこのジャンルにしてみました。ザ・スミスレディオヘッドはある意味オレが心酔した最後のロック・バンドで、逆に心酔しすぎて疲れ果ててしまい、ロックから離れるきっかけにもなってしまいました。

Steve Mcqueen -Download- [12 inch Analog]

Steve Mcqueen -Download- [12 inch Analog]

  • アーティスト:Prefab Sprout
  • 発売日: 2019/10/29
  • メディア: LP Record
 
THE TRINITY SESSIONS

THE TRINITY SESSIONS

  • アーティスト:COWBOY JUNKIES
  • 発売日: 1994/02/07
  • メディア: CD
 
LOVELESS

LOVELESS

 
Hatful of Hollow (Remastered)

Hatful of Hollow (Remastered)

  • アーティスト:Smiths
  • 発売日: 2012/04/10
  • メディア: CD
 
The Bends [国内盤 / 解説・歌詞対訳付] (XLCDJP780)

The Bends [国内盤 / 解説・歌詞対訳付] (XLCDJP780)

 

ハーレイ・クイン誕生を描く危険な愛の物語 /『ハーリーン』

ハーリーン / ステファン・セジク (著)、石川裕人・御代しおり (訳)

ハーリーン (DC BLACK LABEL)

なぜ彼女は犯罪界の道化王子と恋に落ちたのか―― 若き犯罪心理学博士ハーリーン・クインゼル。お局サマにいじめられ、同僚とクダをまく平凡な研究生活を送っていた彼女だったが、その研究内容に興味を持ったウェイン財団のバックアップで、犯罪者の心理分析のためアーカムアサイラムに赴く事となる。そこで出逢ったのは、ゴッサムの凶悪なヴィラン達……そして犯罪界の道化王子ジョーカーその人だった。 次第にジョーカーの危険すぎる魅力に惹かれていくハーリーン。彼女を待つ運命とは……

ハーレイ・クインといえばジョーカーの恋人として知られ、映画『スーサイド・スクワッド』のみならず『ハーレイ・クインの華麗なる冒険』でも映画化されているDCコミック・キャラクターでありスーパー・ヴィランの一人である。オレも実は結構お気に入りのキャラで、フィギュアも持っているしDCコミックを題材にした格闘ゲームではハーレイ・クインを使っていたりするのだ。

DCコミック・ブラック・レーベルからリリースされた『ハーリーン』はこのハーレイ・クインが誕生するまでが描かれたコミックとなる。スーパー・ヴィランとなる以前、彼女はハーリーン・クインゼルという名の犯罪心理学博士であり、犯罪者の心理分析を行うためゴッサムの犯罪者専用精神病棟アーカムアサイラムで研究を始めるが、そこでジョーカーと知り合い、彼の蠱惑的な魅力と狂気に取り込まれてゆくのだ。

このコミックでハーリーンは非常に表情豊かで魅力的な女性として登場し、読者は容易く彼女に共感し好意を感じることだろう。そんな彼女が研究対象であるジョーカーに次第に魅せられてゆく過程は、危険であると同時に熱烈なロマンス作品を読まされているような気分になってくる。一方ジョーカーは単に彼女を利用しようとしていただけにも関わらず、ジョーカーなりの奇妙な愛で彼女を受け入れる。そう、この物語は、歪でありながらも一つの愛の物語であることに間違いないのだ。 

この物語のジョーカーがこれまたジョーカー史上最高のイケメンとして登場していてニマニマさせられる。まるでロックスターか映画俳優を思わせるような色男なのだ。凶悪な犯罪者である以上に強烈なカリスマ性を持った存在として実に巧みに描かれている。これじゃあ確かにハーリーンもイチコロだ。また、ハーリーンが狂気に至るその引き金となったのがトゥーフェイスと化したハービー・デントの存在であるといった展開もDCコミック的な面白さに溢れていた。

ハーリーン (DC BLACK LABEL)

ハーリーン (DC BLACK LABEL)