ウォーッ!!インド超絶アクション作『WAR ウォー!!』が超絶面白かったぞウォーッ!!

■WAR ウォー!! (監督:シッダールト・アーナンド 2019年インド映画)

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ウォーッ!!インド超絶アクション作『WAR ウォー!!』が超絶面白かったぞウォーッ!!うぉうぉうウォーッ!! 

暑い夏の到来に合わせ、熱い思いを抱いた男たちが熱く激突するとことん熱い映画が公開だ!その名は『WAR ウォー!!』、インドで2019年に公開され大ヒットを飛ばしまくったアクション映画なんだ!それがいよいよ日本でも公開されるというわけだからこりゃもう観るしかないぞ!

映画『WAR ウォー!!』はジャンルで言うならスパイ・アクションだ!主人公はイスラム過激派テロリストを追うガチムチな若手インド諜報局員カリード(タイガー・シュロフ)!彼に課せられたミッションはテロリストに寝返ったガチムチの上司カビール(リティク・ローシャン)を追う、というもの!カリードは恩師として尊敬していたカビールを討つことが出来るのか、そしてカビールはなぜ寝返ったのか!?こうしてガチムチ敏腕スパイ同士がガチムチの肉体をぶつけ合う戦いが始まるんだ!

監督のシッダールト・アーナンドはトムクル主演のハリウッド映画『ナイト&デイ』のリメイク作品『Bang Bang !』をリティク・ローシャン主演で撮っていて、この作品がまた日本のインド映画ファンに大ウケしたこともあって、期待値の高まった作品でもあるんだね!展開するアクションは文句なしの出来栄え!銃撃戦に肉弾戦、カーチェイス、バイクチェイスが畳みかけるように炸裂する!ミニガンが身体を引き裂きRPGが全てを破壊し、巡航ミサイルが大虐殺の狼煙を上げて打ち上げられる!どれもが予算のたっぷり掛けられた息もつかせぬハイクオリティなアクションの連続!おまけに主演の二人のガチムチな肉体と身体能力の高さがよりアクションを華麗に魅せる!ハリウッド映画の引用もあちこちで見られ、バイクシーンでは『ミッション:インポッシブル』シリーズ、氷上対決では『ワイルドスピード ICEBREAK』を彷彿させていたが、オリジナルに決して引けをとっていない!なにしろ、どのシーンもカッコイイ!

一方物語は陰謀と裏切り、過去の因縁、思いもよらない大どんでん返しと、スパイ・アクションに必要な要素もたっぷり盛り込まれている!そしてこれは尊厳と誇りの物語であり、それを為す事の出来なかった悔恨と償いについての物語でもある。そんなドラマが熱く熱く語られ、感情が大きく揺さぶられること必至だ!そしてこれら全てが決して緊張感を途切れさすことなくひたすらエモーショナルに描かれてゆくんだ!まあ、「そんなの知らんがな!」とツッコミをいれたくなるような唐突で強引な展開もあるんだが、「面白いから全部許す!」って気になっちゃうんだな!

主演のタイガー・シュロフは今インド映画界で最もキレッキレなアクションと踊りを見せる若手映画スターなんだ!なにしろガチムチだ!目つきがちょっと爬虫類っぽいけど笑うと可愛くないことも無い!日本ではアクション映画『タイガー・バレット』がDVDとサブスクでリリースがあるから『WAR ウォー!!』を気に入った人は是非観てみよう!

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そしてこの作品の最大の魅力は、裏切った上司を演じるリティク・ローシャンがカッコよすぎるということ、これに尽きる!リティク・ローシャン、インド映画界でも重鎮の男優であり、日本ではスーパーヒーロー映画『クリッシュ』がDVDやサブスクでリリースされている!

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カッコよすぎる男リティク様

 甘いマスク、鍛え上げられた肉体、さらに踊りは抜群! リティク主演の映画は今まで何作か観たことがあるが、それらよりもお歳の召したリティクのいぶし銀の魅力に、画面を見ながらもうウットリ!オレは男だが!こんなリティクになら抱かれてもいい!いやオレは男だが!神様に願いを聞いてもらえるなら、こんなリティクになって自分に見惚れてみたい!とさえ思ってしまった!いやあアホだなオレ!

いや実はこの作品、ちょっと前に英語版ブルーレイで観てたんだが、映画館で観るとやっぱり違うね!なにが違うって、なにしろ重低音効きまくった音響がとてつもなく素晴らしかったんだよ!銃撃戦や大爆発の効果音、そしてサウンドトラックが臨場感たっぷりに迫ってくる!歌と踊りのシーンの音楽もサイコーさ!やっぱり映画は映画館だな!みんなも映画館にgoだ!

(※このエントリは以前英語版ブルーレイで視聴したときに書いたものを日本公開に合わせ内容を変えてお送りしました)

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暗黒の海底洞窟で人喰い鮫に追い掛け回される!?/映画『海底47m 古代マヤの死の迷宮』

海底47m 古代マヤの死の迷宮 (監督:ヨハネス・ロバーツ 2019年イギリス・アメリカ映画)

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4人の女子高生がマヤ文明遺跡の眠るという海底洞窟にダイビングしたら人喰い鮫が出てきてサア大変!入り口は崩れてしまい迷宮となった海底遺跡を4人は逃げ惑う!闇に包まれた海底遺跡、大口開けて迫り来る人喰い鮫、残り少ない酸素量、果たして女子高生御一行様は生きて陸地を拝めるのか!?鮫パニック映画『海底47m 古代マヤの死の迷宮』の始まり始まり~~ッ!!

はい、鮫映画でございます。 世に溢れる鮫映画はピンからキリまでありますが、オレ自身はあんまり得意ではありません。なぜなら怖いからです。しかし今作、邦題にある「古代マヤの死の迷宮」ってェのに惹かれるじゃありませんか。鮫が襲ってくるだけじゃなくて「死の迷宮」なんですよ?鮫映画ジャンルに『ディセント』や『サンクタム』みたいな洞窟ホラー・サスペンスが加味されるという訳です。これは新しいかな?と思い観に行く事にしました。

物語の舞台となる「マヤ文明遺跡の眠るという海底洞窟」ってのは実は海に近い内陸部にありまして、鬱蒼と茂るジャングルの中に水に満たされた大穴が開いており、そこが入り口となるんですよ。そこから水中に入ると洞窟になっており、その先に遺跡がある。そして海底洞窟はどこかで海と繋がっているようなんですな。ここに女子高生たちがこっそり訪れてサマーバケーションを兼ね海底洞窟探検を開始するんですが、今回このようなオソロシイ出来事に発展したのには幾つかの「迂闊ポイント」があるんですな。

まず最初に、主人公が友人たちに「洞窟潜水は危険だから止めた方がいいよ?」と忠告したにも関わらず誰も聞かない。ここがまず「迂闊ポイント1」ですな。次に、「遺跡をさっと見て帰る」筈だったのに、一人の女子が水中で見つけた何かを追い掛けてしまう。ここで「迂闊ポイント2」。それは小魚だったんですが、驚いた女子は遺跡を倒して入り口を塞いでしまう羽目となる。これが「迂闊ポイント3」となります。これらの「迂闊ポイント」が重なり海底洞窟に閉じ込められた女子高生たちは最悪の事態、即ち人喰い鮫との遭遇を果たしてしまうという訳なんです。

いちいち「迂闊ポイント」なんて書いたのは、オレは「登場人物が迂闊さによって危機に至る」というお話があんまり好きじゃないからなんですよ。なんかこう、「要するにお前らがバカでドン臭いからこんな目に遭うんだろ」と思えてイラッとするんですね。登場人物が女子高生だから仕方ないかもしれませんが、パニックに至って全員ワアワアキャアキャア喚きまくるのにも若干イラッとしましたね。それとこの映画、「音楽を大音量で聴いていたので危機を予測できなかった」というシーンが二つもあって、それもイラッときましたよ。

ただし導入部のこういった「わざとらしい迂闊さ」をやり過ごせば、その後は割と楽しめる鮫映画となっています。そもそもあんな閉環境の海底洞窟で、たいした食い物もなさそうなのに、なんであんなデッカイ鮫が成長してるんだ?と思わないことも無いですが、そういう細かいことは忘れましょう!やはりこの作品のキモは「出口無しの暗黒の海底洞窟で、酸素も尽きかけてるのに怪物に追い掛け回される!」という設定にあるわけで、その辺りのサスペンスをとことん味わえればよろしいんではないかと。前半部は鮫との追いかけっこばかり続いて若干暇なんですが、中盤からどんどん飛ばしてきてクライマックスまでいい具合に盛り上げてましたね。

興味深かったのは主人公であるミア(ソフィー・ネリッセ)がもともと気の弱そうないじめられっ子で、こういった物語の主役にありそうなサバイバルの意志満々なキャラじゃないって部分ですかね。そういった女子が危機を乗り越えて成長する、という事を描きたかったのかもしれませんが、あまり上手く生かせていなかったように思います。冒頭ではスクールカーストとして憎たらしいいじめっ子が登場しますが、この辺のエピソードがきちんと回収しきれていないんですよ。最後にこのいじめっ子がxxされなきゃダメだろ。

また、物語は「親同士の再婚で姉妹になった二人」が中心となっており、それがドラマを盛り上げた反面、足も引っ張ていたということですかね。誰が生き残るのかだいたい想像付いちゃうじゃないですか。それと観終った後にあれこれ調べて知ったのですが、この作品実は2017年製作の『海底47メートル』という鮫ホラーの続編だったんですね。また、ジェイミー・フォックスの娘であるコリーヌ・フォックスと、シルベスター・スタローンの娘のシスティーン・スタローンが出演しているのもちょっと見所かな。ゴツイ親父と違って素敵な女優さんたちでしたよ。

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海底47m [Blu-ray]

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中華SF小説の新たなる収穫・『時のきざはし 現代中華SF傑作選』を読んだ

■時のきざはし 現代中華SF傑作選 / 立原透耶・編

時のきざはし 現代中華SF傑作選

本邦における中華SF紹介の第一人者たる立原透耶氏が、数多ある短編作品から十七篇の傑作を厳選。 劉慈欣と並び「中国SF四天王」と称される王晋康、韓松、何夕の三大家をはじめ、台湾SF界の長老・黄海から、ハードSFの江波、詩情に満ちた作風の潘海天、清朝スチームパンクの梁清散ら中堅・ベテラン作家、日本でもおなじみの陸秋槎、さらには糖匪、昼温ら、若手・女性作家の作品までを収録。全編本邦初訳。 表題作「時のきざはし」は、ここ数年次々と大きな賞を獲得している期待の新鋭、滕野の代表作のひとつ。 個性豊かな物語の紡ぎ手十七名による、多彩な現代中華SFを、存分にお楽しみください。

今、SFといえば中華SFである(オレ以外誰もそう思っていないかもしれないが)。なにより新鮮で、勢いがある。 多少の粗さがあったとしても、その勢いで許せてしまう。中華SFのパイオニアといえば中国系アメリカ人のケン・リュウだが、それを後押ししたのが『三体』シリーズの劉慈欣ということになるだろう。そして彼らのみならず、他の作家による中華SF作品は少しずつリリースされるようになってきた。

この『時のきざはし 現代中華SF傑作選』は作家であり中華圏SFの紹介をライフワークにされているという立原透耶が、満を持して送る中華SFアンソロジーだ。「中華SFアンソロジー」というとケン・リュウにより編集された『折りたたみ北京』『月の光』という傑作アンソロジーがあるが、それらとはまた異なる趣の芳醇な中華SFがここには収められている。だから、「ネームバリューのあるケン・リュウ版だけ押さえておけば足りるんじゃない?」などと思わず是非このアンソロジーにも挑んでほしい。

この『時のきざはし』では「中国SF四天王」と呼ばれる4人のうち劉慈欣を除く王晋康、韓松、何夕の作品、台湾SF作家・黄海の作品、さらに中堅・新進気鋭、そして多くの女性作家の作品、合わせて17作が収められている。実に網羅的にセレクトされた、中国SFスターターガイドとしても良心的なものとなっている。扱うSFジャンルも多岐に渡り、ハードSFから異星人、仮想歴史、時間旅行、テクノスリラー、ファンタジイ風味のものから諧謔に満ちた作品まで色とりどりだ。ショウケイスとしてこれほど懇切丁寧なものもないだろう。

ケン・リュウ版とどう違うか?というなら、ケン・リュウのそれは中国系アメリカ人としてアメリカのSFファンに同胞のSF作品を矜持を持って紹介しようとしたもののように思える。さらに『月の光』序文では「中国SFの代表的な作品を集めるという意図はないこと、つまり、いわゆるベスト選集を編もうとしたのではない」といったことがあらかじめ告げられている。網羅的なものではなく私的に楽しめたものを優先したということなのだ。 

一方、立原透耶は一人の熱烈なSFファンとして発見した、まだ知られぬSF作品を日本人SFファンに紹介したいという思いがあり、そしてそれがたまたま(編者が言語として得意とする)中国SFであったということなのではないかと思う。つまり両者において「中国」「SF」の力点が違うのではないかと思うのだ。それが両者のアンソロジーの性格の違いとなって現れているように感じた。どちらがいいか、と言うことではない。要は、どちらであろうと、面白いSFが読めれば大歓迎ということではないか。

それとこれは記述がないんでちゃんと確認したわけではないが、ケン・リュウ版はケン・リュウが中国語を英語に翻訳した版を日本でさらに翻訳したもので、『時のきざはし』は中国語に堪能な日本人翻訳者が中国語から訳したものなのではないか。その部分で、原文のニュアンスがより伝わりやすいものになっているのではないか(あくまで想像でモノを言ってるのだが)。

ざっくり作品を紹介。まずオープニング、「太陽に別れを告げる日」 江波「異域」 何夕「鯨座を見た人」 糖匪あたりはまだウォーミングアップといった感じだ。しかしここで気を抜いていると「沈黙の音節」 昼温でいきなりジャブを食らう。なんと「音響SF」という特異なジャンルなのだ。続いて、日本でも人気を博す中国人ミステリ作家・陸秋槎「ハインリヒ・バナールの文学的肖像」の、 「ナチスにかかわった架空のSF戯曲家」という設定に度肝を抜かれる。そして傑作SF『荒潮』の翻訳もある陳楸帆「勝利のV」 のサイバーSFですっかり目が釘付けとなるのだ。

VR空間を扱う「七重のSHELL」 王晋康辺りでアンソロジーは波に乗りまくる。「宇宙八景瘋者戯」 黄海はお下劣な雰囲気も漂う諧謔宇宙SF!ふざけてる!「済南の大凧」 梁清散は歴史の闇に埋もれた架空の科学技術者の謎を追うスリリングな作品。「プラチナの結婚指輪」 凌晨、対異星人コミュニケーションを扱った作品だが、中国の世情もこめられた切ない物語は強烈に心に残るだろう。異星人SF「超過出産ゲリラ」 双翅目は難民異星人の心情と特異な生態を瑞々しく描く。

「地下鉄の驚くべき変容」 韓松は「止まらない地下鉄」を描く不条理SFだが後半の展開に驚嘆させられる!「人骨笛」 吴霜はファンタジックな味わいの幽玄な作品。「餓塔」 潘海天、うおお、なんだこの情け容赦ない展開は!?「ものがたるロボット」 飛氘は「千一夜物語」とレムのロボットシリーズを合体させたような逸品。「落言」 靚霊、これも異星人とのコンタクトを描く作品だが、そこに親子の情をきめ細やかに描き出し、胸を打つ作品となっている。そしてラスト、アンソロジータイトルにもなっている「時のきざはし」 滕野。 これは時間SFだが、「こんな切り口があったのか!」と驚かされた。悠久の時を次々と経巡ってゆくその物語は、かつての小松左京SFを思わせる強烈なSFの醍醐味に満ちていて、流石と唸らせる傑作だった。

【収録作品】
「太陽に別れを告げる日」 江波
「異域」 何夕
「鯨座を見た人」 糖匪
「沈黙の音節」 昼温
「ハインリヒ・バナールの文学的肖像」 陸秋槎
「勝利のV」 陳楸帆
「七重のSHELL」 王晋康
「宇宙八景瘋者戯」 黄海
「済南の大凧」 梁清散 
「プラチナの結婚指輪」 凌晨
「超過出産ゲリラ」 双翅目 
「地下鉄の驚くべき変容」 韓松
「人骨笛」 吴霜
「餓塔」 潘海天
「ものがたるロボット」 飛氘
「落言」 靚霊 
「時のきざはし」 滕野