餃子60個大作戦

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「今夜は餃子にしようぜ」とオレの相方は言ったのである。おお餃子。挽肉やらキャベツやらの餡がみっしり詰まったもちもちの皮をパリッとカラッと香ばしく焼き上げ、それを酢と醤油とラー油が絶妙のバランスで配合されたタレでこれでもか!これでもか!と食いまくる至宝の料理、あの餃子であるか(もちろんここでオレは日本では一派的な餃子である焼き餃子を指しているのであり「いや本場では水餃子が一般的な餃子ですよ?」などという小賢しい意見は1ミリたりとも求めていない)。

「いいねえ餃子。餃子いいねえ」オレは同じ内容の言葉を倒置法(?)を使い二回相方に告げた。早速近所のスーパーでもろもろの具材を購入し餃子作成に取り掛かるオレと相方だ。そういやオレん所では料理は殆ど相方が作るが、洗い物はオレが担当ということで分担している。オレも料理は作れないことも無いのだが、レパートリーの幅と料理慣れという部分ではオレは相方に太刀打ちできないのでこういう分担になっている。ちなみにオレが作る料理では麺類が相方には主に好評だ。しかし餃子の様な同じものを大量に作る作業となるとこれは二人一緒にやった方が早いし、なにより楽しい。

相方はキャベツをフードプロセッサーにかけ挽肉と混ぜ、オレは腕力を買われて生姜とニンニクの摺り下ろしを担当だ。そして出来上がった餡を餃子の皮に包んでゆく作業が開始される。この日作成する餃子は60個。なんで60個かというと30枚入りの餃子の皮を二つ買ったからだ。オレが大食いなので60個ぐらいの餃子なら二人で平らげられる筈だ。この日も「中国の餃子作りの職人の動画を見たことがあるがあれは早くかつ正確過ぎてスゴイ、しかし真似するのは無理だ」とか「知り合いに中華屋に嫁いだ友人がいて店で使う巨大な餃子製作マシーンを見せてもらったことがあるがもうホントにオートメーションだった」などなどの四方山話をしつつ餃子作成は進んでゆく。

この日の餃子は通常バージョンと紫蘇の葉入り、あと変わり餃子としてチーズ入りなども作ってみた。しかしサクサク餃子を包んでゆく相方と比べオレの餃子作りはあまり慣れないせいで拙く、餡の量も多かったり少なかったり、時々餡を入れ過ぎて皮を破いてしまったりする。まあこんなのもご愛敬だ。さて60個の餃子が作り終わり次は焼き上げである。実はここが一番緊張する場面だ。なぜならフライパンに餃子をくっつかせて皮を破いてしまったり焼き過ぎて焦げてしまったりという事件が度々起こるからだ。しかしこの日餃子焼きを担当した相方選手は抜群の集中力でこの難関を突破し巧みに餃子を焼きあげてくれた。なにしろ量が量なんでこの日は3回に分けての餃子焼き作業である。

そして出来上がったのが写真の餃子60個だ。この日はご飯も炊き味噌汁も用意された。そして餃子といえば当然ビールだ。二人でいただきますをしてビールで乾杯、そしておもむろに餃子に特攻する。おお!皮はもちもち餡はジューシー、出来上がりは上々じゃないか。ちなみにオレは餃子のタレを混ぜる時には醤油少々に酢は多め、ラー油は程々だ。なにしろ酸っぱい酸っぱいタレで食べるのが好きなのだ。

餃子を中華料理屋で食べる事はあるが大体は5個一皿とかそんな量で、なかなか心ゆく迄餃子を食べまくるというという訳にもいかない。冷凍のもあるが、ピンキリだとしても何か一つ納得のいかない味と量だ、量というのは個数ではなく中身の餡がスカスカでとても寂しい思いをする事がある、これじゃあ餃子を食べてるのか寂しさを噛み締めてるのかわかったもんじゃない、その点家で作る餃子は確かに手間は掛かるが納得のゆく量と味を楽しみ事が出来る、おまけに最もリーズナブルだ。やはり餃子は手作りに限る、そんな餃子談義を相方と交わしながら着々と餃子を攻略してゆくオレだ。しかしこれらの餃子談義は家で手作り餃子を食べている時にオレがいつも持ち出している話題で、相方はきっと耳にタコができるほど聞かされているとは思うのだが、美味い餃子を食べているのでニコニコしながら聞いている。

とまあそんな感じで食べ進めていったのだが、半分ほど、つまりは二人で30個ほど食べたぐらいでなんだかもうお腹がくちくなっていることを意識し始めた。むう?昔は60個ぐらいの量(というか相方と二人なので大食いのオレならその3分の2、40個ぐらい)ならペロッと平らげられたのになあ?と首をかしげる。相方も既にお腹いっぱいになってしまったようで、結局3分の1ぐらい残してしまう。ビールも500缶1個しか飲んでいない。うーむ多分敗因はご飯とみそ汁だな。ご飯の炭水化物成分とみそ汁の水分は意外と腹に溜まるのだ。そこにさらにビールだと胃の中に餃子が入る余地などなくなってしまうではないか。しかし最大の原因は昔と比べて食が細くなったからなのかもな、オレも年取ったもんだなー、とちょっと寂しい気分になる、とはいえ食が細いとは言いつつ普通の人の1.5倍は食べてるような気もするが。

次作る時は二人で30個ぐらいで十分かもね、そうだねえ、と話しながら結局二人でギブアップ宣言ということになった。残った餃子は冷蔵庫に入れて明日の朝飯にでもしよう、と話してお互い食い過ぎたー食い過ぎたーと喚きながらぐったり食休みする。そして翌朝、冷蔵庫を開けた相方が「冷蔵庫の中が餃子クサイ―!!」と困った顔して笑っていた。