バンドデシネ・アーチスト、バスティアン・ヴィヴェス特集:その4『ラストマン(6)』

 ■ラストマン(6)/バラック、 ヴィヴェス 、サンラヴィル 

ラストマン 第6巻 (EURO MANGA COLLECTION)

バンドデシネ作品『ラストマン』は日本では現在最新刊6巻が刊行されている現在進行形のコミックである。内容はこれまで紹介した3作と大きく異なり、日本の少年漫画誌で連載されてもおかしくないメジャーど真ん中な格闘魔法SFマンガだ。それもそのはず、この作品は作者の日本のコミックへの大いなるリスペクトによって描かれたものなのだ。さらに日本のコミック『バクマン。』を参考にし、バラック、ミカエル・サンラヴィルら3人と作画チームを結成しての製作だというから念には念が入っている。

なにしろ内容は「格闘魔法SFマンガ」であり、主人公少年の成長譚だ。異世界が登場し魔法対決が行われたかと思うと現実世界風の都市が現れ筋肉と筋肉がぶつかる格闘が描かれ、さらに人体改造を施された謎の刺客が主人公を襲うというSF展開まであり、謎が謎を呼ぶ物語は興味を尽きさせることがなく、「これこそMANGAの王道!」といった部分を追求したテンコ盛りの構成なのだ。

登場人物の描画は親しみやすく内容は分かりやすく、コマ割りもテンポもスピード感も日本のコミックそのままである。 とはいえ物語のそこここにヨーロッパの匂いが横溢する部分でやはりフランス人執筆者チームという気がする。そして、簡素な描線にもかかわらず、グラフィックは非常に技巧的であり、優れている。

この6巻ではこれまでの謎が殆ど説明され、主人公の旅も一段落と思わせながら、物語始まって以来の大波乱が訪れる。こうしたクリフハンガー形式もお約束として楽しいし、なにしろ次の巻までわくわくさせられる。1冊1冊の単価も日本のコミッククラスだから、今から読み始めてもまだ懐に打撃を与えないぞ!日本のコミック以上に今オレの中で続巻が楽しみでたまらない『ラストマン』、マンガ好きな方には是非お薦めしたい。

ラストマン 第6巻 (EURO MANGA COLLECTION)

ラストマン 第6巻 (EURO MANGA COLLECTION)