映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル 』はやっぱりひたすらお気楽なB級SF作品だった

メン・イン・ブラック:インターナショナル (監督:F・ゲイリー・グレイ 2019年アメリカ映画)

f:id:globalhead:20190623111641j:plain

『M.I.B.(メン・イン・ブラック)』シリーズ第4弾『M.I.B.:インターナショナル』が公開されたというので観に行ったのだ。

シリーズは1作目が1997年公開(もう20年以上前じゃないか)、2作目が2002年公開、3作目が2012年公開。3作通してウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズが主演していたけどこの4作目ではこれを刷新し『マイティ・ソー』を始めとするMCUシリーズや『ゴースト・バスターズ(2016)』出演のクリス・ヘムズワースと、『クリード』シリーズや『アベンジャーズ/エンドゲーム』出演のテッサ・トンプソンの二人が主演を勤めている。あとリーアム・ニーソンやエマ・トンプソンも出演してるよ。

監督は『ストレイト・アウタ・コンプトン』『ワイルド・スピード ICE BRAKE』のF・ゲイリー・グレイ、脚本は『アイアンマン』『トランスフォーマー 最後の騎士王』のウォルター・F・パークス&ローリー・マクドナルドだ。まあ「揃えてきたな」って感じはするよね。

物語は特に改めて書くようなもんじゃない。異星人の地球侵略と戦うM.I.B.の皆さんの活躍をとぼけた雰囲気で描くといったいつものヤツだ。ユルいノリもいっしょ、M.I.B.基地やSFガジェットのレトロフューチャーなビジュアルもいっしょ、エイリアンの皆さんのふざけた容姿もいっしょ。

違うのは主演が「男女二人コンビの新キャラ」といった部分と多様なロケーション。今作ではこれまでアメリカが主要舞台だったものをイギリス・フランス・モロッコと世界各地を経巡ることになり、それでタイトルが「インターナショナル」ってことなんだろうね。それ以外に新しいものは何もない。永遠のマンネリズム。要するに「いつものM.I.B.です。安心して楽しんでください」と言ってるようなもんだ。だから「いつもと変わんないじゃないか」とクサすんじゃなくて「いつもといっしょで安心だー」とリラックスして観るべき作品なんだ。

だいたいこのシリーズには1作目からそれほど愛着は無いのだが、かといって悪し様に批評やら批判やらするようなシリーズでもなく、まあお気楽に作られている映画なんだから観るほうもお気楽に観りゃあいいんじゃないかと思うんだ。

なんていうか豪華料理のフルコースみたいな映画じゃなくちょっと小腹の空いた時に食べるファーストフードみたいな映画ね。しかし小腹の空いた時はファーストフードでもそれはそれで大切だし充分に役割を果たしていると思うんだよ。とはいえ作品的にギャラの高そうな有名俳優が出てたり制作費も結構な金額が掛かってたり世界興行成績ウン億!とか喧伝されたりするから一瞬豪華料理かと思わされ期待値も上がってしまうかもしれないけどそうじゃないんだ、これはちょっと宣伝費の掛かった誰もが目にしやすく手にしやすいファーストフードには変わりないんだ。

とはいえ、そんなこんなで特に期待せずに観に行ったわけなんだが、実はあろうことか、オレはこれまでのシリーズで一番楽しんで観てしまった。

例のいつもの「M.I.B.基地やSFガジェットのレトロフューチャーなビジュアル」や「エイリアンの皆さんのふざけた容姿」も、お馴染みの「判で押したような黒眼鏡黒スーツ」も、一周回ってとても楽しかったんだ。久しぶりのシリーズ作だったんで、前作までのノリを忘れていた、だからなんだか新鮮に目に映った、というのもあるかもしれない(オレもトシなんで忘れっぽいんだよ)。

それとやっぱり、クリス・ヘムズワーステッサ・トンプソンの新キャラ男女コンビが普通に新鮮だった。実のところこれまでの『M.I.B.』って、良くも悪くもウィル・スミスの「俺様映画」で、そんなウィル・スミスのキャラでなんだかゴージャスな作品と勘違いさせられていたけど、結構なハリボテ感もしていたんだよね。しかしそのウィル・スミスがいなくなったお陰で「チープな古典B級SF映画設定を逆手に取って現代風にアレンジしたお気楽B級SF映画」といった物語本来の味わいが生かされていたんじゃないかとオレなんかは思うんだよね。

それと併せ、オレはクリヘムの「バカっぽいイイ男」っぷりが好きで、それは例のMCU諸作や『ゴーストバスターズ(2016)』で存分に生かされてたけど、本作でもその辺が踏襲されていて、しみじみとクリヘムの「バカっぽいイイ男」っぷりを堪能出来たんだよな。そしてそんなクリヘムのバカをきちんとフォローするテッサ・トンプソンの几帳面さやチャーミングさがオレには心地よかったんだよ。物語もさあ、「いつも通り」とは言いつつ、「インターナショナル」にすることによって、ちょっとしたスパイ娯楽作品の雰囲気を出せていたんじゃないかな。

そんな訳で、オレはこの作品、好きだね。まあ3日もしたら忘れてしまいそうなセンスの映画ではあるけど、「観終わった後に何も残らない」程度の面白さのあり方ってェのも、実は逆に娯楽作品としては重要なものなんじゃないかと思えるんだけどね。


映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル』予告編

メン・イン・ブラック トリロジー Blu-ray BOX

メン・イン・ブラック トリロジー Blu-ray BOX