ジュラシック・ワールド新作は「炎の王国」というよりは炎上案件だったッ!?/『ジュラシック・ワールド/炎の王国』

ジュラシック・ワールド/炎の王国 (監督:フアン・アントニオ・バヨナ  2018年アメリカ映画)

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恐竜テーマパーク映画ジュラシック・シリーズ第5弾である。で、のっけから言うと前作である『ジュラシック・ワールド』がオレには大変つまらない映画だった。シナリオが杜撰、設定が杜撰、描写が杜撰、という杜撰3連星のようなうんざりさせられる映画だった。しかしだ。オレは思ったのである。「ま、この映画はきょーりゅーさんたちが大暴れする様子をエシャエシャいいながら楽しめればいい映画なのであって、お話の内容にグダグダ言うのは筋違いなのかもな」と。そんな訳でオレは仕切り直しの意味を込め、大変つまらなかった『ジュラシック・ワールド』の続編『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を観に行く事にしたのだ。今度は気楽に楽しもう。そう思いながら観始めたオレなのだが、あにはからんや、ザルみたいなシナリオで大いに呆れ果てさせてくれた前作に輪を掛けて雑なお話で、オレを大いに脳死寸前にさせてくれたよ!というわけで今回は若干ネタバレあり。

そもそも今回のお話というのは前作で壊滅したテーマパーク「ジュラシック・ワールド」が存在する島で火山噴火が起き、そこに今だ生息する恐竜たちを救え!というお話である。ここで考えてほしいのは、巨額の資本と先端科学技術を投入し莫大な利益を得ようと計画されたテーマパーク施設が、実はいつ火山噴火が起こって壊滅してもおかしくないような危険な島に建立されていた、ということである。前作では安全基準が果てしなく皆無だったことによって引き起こされたバカな事件を見せつけられたけど、今作ではさらにその施設というのが危険な立地条件であることを最初っから無視されていたということになってしまう。なんつーかここの企業の連中というのは金儲けるつもりがあるのか?と思ってしまう。

で、その島に生息する恐竜を救助するってなお話も、いやいや、そもそも先端バイオ技術で恐竜生成が可能であるなら、別に救わないでまた作っちゃえばいいだけの話なんでね?と思っちゃう訳である。で、実際作ってたしな。確かに「恐竜愛護団体」みたいのも出てきて「人工であろうと生命遵守」なんて話があり、そして財団は恐竜救出に興味がある、というのが物語の端緒となる訳だが、ちょっと待て、危険種も含む恐竜救った後どうするか具体案が全く示されないまま救出に赴くって有り得ないだろ。まあこの辺りは実は陰謀絡みで、恐竜救助にはある理由が隠されているんだが、あんまり詳しいことは書かないでおく。ただこれだって、ある特殊な恐竜をたった一匹必要だっただけだし、陰謀してる連中もアメリカのラボで作れてコスト的につり合うのなら大量に恐竜を救助する必要なかったじゃない?

それと、救助した大量の恐竜をどうアメリカに持ち込むんだ、という話がある。なにしろアメリカは「私企業が人工に作った恐竜を政府が救う訳にはいかない」ということになっていて、そこに大量のコンテナに詰められた肉食獣も含む恐竜をどう水揚げしたんだ?という疑問がある。それ政府の許可取ってないよな?だから極秘裏ということなんだろうけど、あんなデカイもの、コンテナの隙間に麻薬隠して持ち込むのと訳が違うんだぞ。あの財団はコロンビアの凶悪な麻薬カルテル以上に密輸のスキルが高いって事なのか?

さて全ての大元であるロックウッド財団の総帥ベンジャミンはカリフォルニアの私邸に恐竜製作のラボを持ってたりするんだが、基本は善人でジュラシック・ワールド崩壊や人工恐竜の絶滅に心を痛めている。ただし彼の部下で実質経営者イーライというのが悪党で裏であれこれ陰謀を巡らせていたわけなんだが、そもそもベンジャミンは自分の屋敷でこれだけ大掛かりな陰謀が進行しているのを、体調が芳しくないとはいえ全く察知できなかったのか?あれ自分ちの地下にショッカー基地あるようなもんだぞ。人や物資の出入りだって相当ある筈だろ。

で、いよいよ恐竜たちがアメリカに陸揚げされた理由が分かる訳だが、アレに集まった人たち、世界の富豪とかな訳なのか。そしてそんな金出してまで闇でアレが欲しいものなのか。なんかこう「下品で趣味の悪い金持ち」の紋切型を並べてるみたいでこの辺り物凄く薄っぺらい描写にしか見えないんだよな。しかも!こいつらクライマックスでとっとと逃げ出してあんまり恐竜に殺されないんだよ!傭兵よりもこいつら皆殺しにしたほうが楽しいだろ?!前作じゃあ結構一般市民ヤってた割に今作じゃヌルいんだよな!全く使えねーヤツだよな監督のバヨナは!

そしてなにしろあのラスト!あれでいいのかよ!?ってか普通にマズイだろ!?というかあの流れを作ったある登場人物の責任はどうなっちゃうんだ?なんかゴチャゴチャ取ってつけたような理由言ってたけど言い訳になってないんだよ!?説得力皆無だぞお前!?あれじゃあ「炎の王国」じゃなくて「炎上案件」だよ!?製作者ただ単に次作に繋げたかっただけなんだろうけど、あの流れは安易すぎないか?

とはいえ前作と同じくニンゲンの皆さんが恐竜たちにバクバク食い殺されるシーンだけはやはり楽しかったです。あと次回作はもっと人が死にそうなので公開されたら文句言いつつまた観に行きます。やっぱさーこういうのは一般人が大量虐殺されてナンボですよ。以上。


『ジュラシック・ワールド/炎の王国』最新予告