『ツインピークス:リミテッド・イベント・シリーズ』がモノスゲエ面白かった

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あのツインピークスが帰ってきたッ!?

そう、製作総指揮デヴィッド・リンチ(とマーク・フロスト)により1990年よりアメリカで放送され、日本でもカルト的な大人気を呼んだあの、あの、あのシリーズが、2017年に新シリーズとして再び帰ってきたのです!

この『ツインピークス:リミテッド・イベント・シリーズ』(以下「新シリーズ」)、日本ではWOWWOWでの限定放送で、加入していないオレは観る事が出来なかったんですが、最近ようやくソフト化販売されたので、エイヤ!とばかりにBlu-rayのボックスセットを購入し、ついこの間やっと全話観終る事が出来ました。

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ソフト購入するならヨーロッパ盤がお得

さてその感想を書く前に、発売ソフトについて触れておきましょう。

この新シリーズのソフトは日本版発売が7月4日、価格はBlu-ray BOXが定価¥21384(アマゾンで現在¥17484)、本編8DISC+特典映像1DISCの計9DISC収録、DVD BOXで定価¥13024(同¥10548)で本編のみ9DISCによる体裁の発売となります(アマゾン限定盤についは割愛)。

いやこれ高いですよね?

しかしこれが既に現在発売中のヨーロッパ盤だとほぼ3分の1の価格で買えるんですよ。しかもリージョンフリーで日本語吹き替え・字幕付き。当然特典DISCにも字幕ついてます(※注:この仕様はヨーロッパ盤のみでUS盤には吹き替え・字幕が無い模様。UK盤は確認してません)オレはドイツ盤BDをドイツのアマゾンから購入しましたが、日本円で¥6000位だった。ヨーロッパ盤はフランス・イタリア・ドイツ・スペイン盤とありますが、各国のリンクと価格はここでまとめられているので参考にして下さい。

日本語収録「ツイン・ピークス The Return」イタリア盤ブルーレイBOX:MOVIE&DRAMAメモ:So-net blog

また、ソフトは紙ケース入りとプラケース入りの2バージョンあるという話もあるんですが、これも確認していないので購入を考えている方はご注意を。紙ケース入りはこんな仕様です。

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ちなみにBlu-ray BOXの特典映像DISCには5時間余りにのぼるメイキングが収められていますが、他のDISCに収録された分も含めると全ての特典映像は8時間弱ほどもあり、結構見応えがありますよ。

脳ミソも吹っ飛ぶ超展開!?

というわけでこの新シリーズですが……ぶっちゃけて言いますと1話目からして既に訳が分かりません!しかし監督はリンチなので、これでいいんです。ネタバレ無しにしたいので詳しくは書きませんが、リンチの怪奇幻想趣味が大爆発した映像をどんよりと楽しめます。

けれどもこの1話目なんかまだ序の口、あるエピソードでは2001年宇宙の旅』のクライマックス、スターゲート・シーンをホラー風味にしてさらに1時間の長尺に伸ばしたようなとんでもない映像が延々続くというTVドラマ史上前代未聞の回があります!正直脳ミソ吹っ飛びそうになります。

しかし全18章全てが訳分かんないというお話では決してありません。そもそもこの新シリーズは前作からの25年後を描くものですが、前作ラストをきちんと引き継いだものになっているんですよ。そう、ダークサイドに堕ちたクーパーはその後どうなったのか?がこのシリーズの中心となる物語なんです。

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かつてのキャラクターと豪華な新キャラキターが総出演!

そして再び姿を現したクーパーを巡り、ツインピークス・シリーズのかつてのキャラクターたちが少しづつ画面に登場し事件に関わってくる、という展開なんですね。いやー、そりゃもう懐かしいったらありゃしませんよ!25年経って相当変わっちゃった人(誰だったっけ?と思った人もいた)、全然変わってない人、様々なんですが、まずそういった「昔のキャラと再び会える!」というお楽しみがこの新シリーズにはあります。

と同時に新キャラクターも登場します。そしてこれが、相当スゴイ映画俳優を揃えて演じられているんですよ。全部は紹介しきれませんが、ローラ・ダーンアマンダ・サイフリッドはほぼメインキャラクターだし、映画版に出演したハリー・ディーン・スタントンも出てるし、調べてみるとマイケル・セラリチャード・チェンバレンパイパー・ローリー、キャンディ・クラーク、ティム・ロスケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、さらにモニカ・ベルッチ裕木奈江まで出演してるんですよ。もちろん監督リンチも相当出張ってます!

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二つの側面を持つ物語

物語は二つの面を持ちながら進行します。暴力と超常現象に満ちたダークな側面と、素っ頓狂なユーモアとシュールな笑いに満ちたコメディタッチの側面です。そしてこの二面性は、もともとツインピークスのドラマにあった特色であり、さらにはリンチの持つセンスでもあると言えるでしょう。

この新シリーズは、前作の25年後であると同時に、その25年が空白だったかのような直に地続きな物語展開がユニークでしたね。さらに、映画版『ローラ・パーマー最後の七日間』の意味不明だった展開に、なんときちんとした説明が用意されてさえいたのでびっくりしました。

とはいえこうして全話を観終っても、お話を全部理解したとはとうてい言えません。最初に「リンチ作品は訳が分からなくて当然」みたいな書き方をしましたが、実はリンチ作品というのは一見訳の分からない構成を再構築してみると、きちんと筋道だった物語であることが分かる仕組みになっていて、難解ではあるにせよ決してメチャクチャなことをしているわけではないんです。リンチのこの謎めいた構成がまたリンチ作品を読み解く楽しみでもあるんですね。

そういった部分で、一回観て終わりでは無くて何度も観て新たな発見を楽しむことができるのがこの新シリーズということができますね。同時にリンチのダークなアート趣味に彩られた映像は何度でも観てその妖しさを堪能したくなるものですから、まさにリピートに最適な作品だと言えるでしょう。

さらにこの新シリーズでは、映画では出来ない事とこれまでTVドラマでは出来なかったことの両方を成し遂げているという点で、非常に斬新かつ優れた作品として完成しているんじゃないでしょうか。

それにしてもこの新シリーズ、無意味にエロくて艶めかしい美女が次から次に出てくるんですよ!まあリンチの趣味なんでしょうが、こういった部分でも十分楽しめたドラマでしたね!

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