最近聴いたエレクトロニック・ミュージックだのジャズだのソウルだの

■Fabric 94 / Steffi/Various

STEFFI

DJMIXの老舗シリーズ「Fabric」は常にその時々の最新の人気DJを起用し、オレもちょくちょく購入して聴いているが、今回のDJ、Stiffiによる『Fabric94』はこれまでのシリーズの最高傑作なのではないかと思っちゃうほど素晴らしい。

基本はテクノ・エレクトロニカなのだが、アルバム全体の統一感が段違いなのだ。アゲ過ぎずサゲ過ぎず、一定のテンションとムードをラストまで淀みなくキープし続け、全15曲のMIXながらあたかもトータル1曲の組曲のように完成している。DJMIXの醍醐味はまさにそこにあるのだが、ここまで高いクオリティを維持しつつMIXしている作品も珍しい。

今作は全作新作のエクスクルーシブトラックで構成されているが、調べたところStiffiがあらかじめアルバム全体のイメージを各プロデューサーに伝え、それによりこのトータル感が生まれたのらしい。そしてその「全体のイメージ」となるものがWarpのクラシックCDシリーズ『Artificial Intelligence』だったのだという。

おお、『Artificial Intelligence』!フロア向けハードコアテクノのカウンターとして生み出されたIDMの草分けとなったシリーズであり、美しく繊細で静謐で、強力に内省的な作品が数多く並ぶ画期的なシリーズだった。特にオレはカーク・ディジョージオの各名義の作品の多くに心奪われていた忘れられないシリーズである。

この『Fabric94』はその正統な血筋を持ったアルバムであり、『Artificial Intelligence』のハート&ソウルを現代に蘇らそうとした傑作なのだ。個人的には今年リリースされたエレクトロニック・ミュージック・アルバムの中でもベスト中のベストと言っても過言ではない名盤の誕生だと思う。 《試聴》

STEFFI

STEFFI

 

■ De-Lite Dance Delights / DJ Spinna/Various

DE-LITE DANCE DELIGHTS (日本独自企画)

DE-LITE DANCE DELIGHTS (日本独自企画)

 

クール&ギャングを見出したことでも知られる70~80年代の名門ファンク/ディスコ・レーベルDe-Liteの珠玉作をNYで活躍するDJ SpinnaがMix!いやなにしろディスコなんだけれども、これがもう一周回って素晴らしい!伸びやかなヴォーカル、カリッとクリスプなギター、エモーショナルなストリングス&ホーン、キャッチ―なメロディ、ファンキーなリズムはひたすら歯切れよく、そしてどことなくお茶目。どれもこれも音のクオリティが非常に高い。この心地よさはまさに極上。いやあ、ディスコ、侮りがたし!今回の強力お勧め盤。《試聴》

■Late Night Tales / Badbadnotgood/Various

Late Night Tales - BADBADNOTGOOD - [帯解説 / アンミックス音源DLコード / 国内仕様輸入盤CD] (BRALN46)

Late Night Tales - BADBADNOTGOOD - [帯解説 / アンミックス音源DLコード / 国内仕様輸入盤CD] (BRALN46)

  • アーティスト: BADBADNOTGOOD,バッドバッドノットグッド
  • 出版社/メーカー: Beat Records / Late Night Tales
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る
 

様々なアーティストがダウンテンポ曲中心のMIXをアルバムにまとめた人気シリーズ「Late Night Tales」の最新作キュレーターはヒップホップ・ジャズ・ファンク・カルテットBadbadnotgood。というかこの「Late Night Tales」ってシリーズもBadbadnotgood自体も全く知らなかったんだけど、いいわ、これ。サイコーに和むわ。よくもまあここまで和みまくる曲ばかり集めたものだなあ。これも今回の大プッシュお勧め盤。 《試聴》

■Late Night Tales / Bonobo/Various 

Late Night Tales - Bonobo - [帯解説 / 収録各曲DLコード付 / 国内仕様輸入盤] (BRALN34)

Late Night Tales - Bonobo - [帯解説 / 収録各曲DLコード付 / 国内仕様輸入盤] (BRALN34)

 

で、「Late Night Tales」が相当によかったので、オレのお気にいりのアーティストBonoboによる「Late Night Tales」も聴いてみた。そしてこっちも和んだ! 《試聴》 

■Balance Presents: Natura Sonoris / Henry Saiz 

SAIZ, HENRY

SAIZ, HENRY

 

人気DJMIXシリーズBalanceの今回のDJはスペインのHenry Saiz。ドラマチックなプログレッシヴ&テックハウスが並ぶ2枚組。 《試聴》 

■Heavenly Revisited / Kevin aka E DANCER Saunderson

Heavenly Revisited

Heavenly Revisited

 

デトロイト・テクノ創始者の一人ケヴィン・サンダースが、1998年にリリースしたアルバム『Heavenly』をリマスターしさらに新曲を追加したバック・トゥ・オリジンともいえる2枚組。ゴツゴツにハードでミニマルなデトロイト・サウンドが展開。さらに彼のレーベルKMS RECORDSの30周年記念版でもあるのらしい。 《試聴》

■Ariwo / Ariwo 

Ariwo

Ariwo

 

これはテクノ?それともジャズ? ロンドンのキューバ/イラン人によるグループARIWOのデビュー作はアフロなエレクトロニック・リズムにトランペットが絶叫するおもしろアルバム。 《試聴》

■Figure / Tears Of Change

イタリアのテクノデュオTears Of Changeの2ndアルバム。ズブズブとダブテクノ。

《試聴》 

■Superlongevity Six / Various

ベルリンのレーベルPerlonからリリースされたコンピレーション。 Ricardo VillalobosFumiya Tanaka、Margaret Dygas、Binh、Melchior Productions Ltd、Spacetravel、Maayan Nidam参加で、メンツからも分かるように徹底的にミニマル。 《試聴》

■Isotach / Matthew Bourne

Isotach

Isotach

 

ジャズ・ピアニスト、マシュー・ボーンのソロ・ワークはピアノとチェロの伴奏というシンプルなものだが、その音はニュー・クラシック/コンテンポラリー・ミュージック/アンビエント・ミュージックの境界を行き来する静謐な緊張に満ち溢れた作品であり、ボリュームの大きさによって流し聴くことも聴き込むこともできるという非常に優れた演奏を楽しむことができる。良作。

■A Rift In Decorum: Live At The Village Vanguard / Ambrose Akinmusire

A Rift in Decorum: Live at the

A Rift in Decorum: Live at the

 

ジャズの事はなんも知らずに試聴だけして気持ちよかったら買っているオレだから、このアルバムのアーティスト、アンブローズ・アキンムシーレという人の事も彼がトランペット奏者であることもなーんも知らずに聴いているのである。2CDのライブでインプロビゼーションがややこしくて面白いぞ。 《試聴》

■Portrait In Jazz / Bill Evans Trio ビル・エヴァンス・トリオのアルバム『ポートレイト・イン・ジャズ』はジャズ・ファンにはお馴染みの作品なのだろうが、ちょっと待ってくれ、これは実はリイシュー版で、現行リリースされている11曲収録のアルバムにさらに3曲追加され14曲になっての新盤なんだ。それにしてもいきなりマイルスの「ブルー・イン・グリーン」が流れてきたからオレはマジ腰ぬかしたよ。 《試聴》

■Wind / Eric Roberson

Wind

Wind

 

ベテランR&Bシンガー、エリック・ロバーソンのミニアルバム。これは「Earth+Wind+Fire」という3部作の内の1作なのらしい。甘くソウルフル、エモーショナルかつ解放感に溢れた良作。《試聴》

■Earth / Eric Roberson

Earth

Earth

 

そのエリック・ロバーソンのミニアルバムシリーズ第1弾。《試聴》