『クローバーフィールド』フランチャイズの低予算SFパニック映画『10クローバーフィールド・レーン』

■10クローバーフィールド・レーン (監督:ダン・トラクテンバーグ 2016年アメリカ映画)


怪獣POV映画『クローバーフィールド』の続編とか言われている映画『10クローバーフィールド・レーン』を観てきました。しかしゴロの悪いタイトルですな。Twitterあたりではもうすっかり「テンクロ」なんていう「ももクロ」のバッタもんみたいな呼び方されておりますな。
内容のほうはと言うと、予告編だけからネタバレしない限りに申しますと、核シェルターの中にいる3人の男女の疑心暗鬼な心理劇ということになってます。シェルター作ったおっさんは「世界が大変なことになった!」と息巻いているけど、事故で意識不明のまま連れ込まれた女は「こいつ嘘言ってんじゃない?」と思ってるし、もう一人いる男は「おっさんの言ってる通りなんじゃないんすか?あれ?」という優柔不断だし、じゃあホントの所どうなの?というのがザックリした内容です。
で、まあ続編か?と言われると、いやあ別に続編だって言われなきゃあなんにも関係ない映画で通っちゃうよなあ、という内容だし、世界観も繋がっているようで繋がってないような気がするし、一体何なんだ?とは思うんですが、これはきっと誰か事情通の方がどこかで説明してくれてるのでしょう。個人的に思ったのは『クローバーフィールド』のフランチャイズで低予算のSFパニック物を作る、というのが製作のJ・J・エイブラムスの頭にあったのかな?ということです。
これは1作目が2500万ドル(約27億円)というハリウッドでは比較的低予算の製作費で1億7千万ドルという物凄い興行収入を上げたのにならい、この2作目は1500万ドル(約16億円)というさらに低い製作費で作られている所から感じたんですよね。『クローバーフィールド』のフランチャイズなら1作目以上の製作費を掛けてあの作品の物語的な続編を作ったほうが、話題性も併せてより高い収益を見込めそうに思うじゃないですか。そうじゃなくてあくまで低予算にこだわったのがこの作品なんじゃないかと思うんですよ。
でまあ、映画としてどうだったかというと、楽しめたことは楽しめたけどまあフツーかな、という出来ではあったんですけど、そこには『クローバーフィールド』の続編だっていうなら何かあるんじゃないか、という期待が肩透かし食らった、という部分もありますね。監禁サスペンスパートにしてもSFパートにしても悪くないとはいえ同様のジャンルの中で比べるなら特別新しいことをしているわけでもない。あと予告編で殆ど内容見せすぎていて、あれ以上でも以下でもなかった、というのもある。予想の範疇を超えるものが無くて、もっと「え、こんな展開だったの!?」と思わせてくれる部分が欲しかったというか。オレはあの予告編は実はフェイクで、ホントは全然違う話が展開するんじゃないか、とすら思ってたんですよ。
とはいえ、良いか悪いか、上手いか下手かは別として、J・J・エイブラムスにはコロッと騙された、という気は十分しましたね。意外とこのパターンで『クローバーフィールドフランチャイズの作品をまた作っちゃうんじゃないか?という気すらしますね。次回がまた低予算かどうかはわかんないですが。あとは主演のメアリー・エリザベス・ウィンステッドがよかったかな、7人の邪悪な元カレがいる上にジョン・マクレーンの娘なのでやっぱり強いですが、やっぱりあの下着な姿に一番グッときましたね。