探偵ヴィディヤー・バーラン七変化!?〜映画『Bobby Jasoos』【ヴィディヤー・バーラン特集】

■Bobby Jasoos (監督:サマル・シェーク 2014年インド映画)


ヴィディヤー・バーランが女探偵となって事件を解決!という 2014年のコメディー映画『Bobby Jasoos』です。ヴィディヤー・バーランといえば日本で公開され大好評だった『女神は二度微笑む』も言ってみれば探偵物語みたいな作品でしたね。今作では初っ端からヴィディヤーがあれやこれやと変装した姿を見せつけ、「ヴィディヤー・バーラン七変化」を期待させますが、結果はどうでしょうか。

物語の舞台はインド中南部テランガーナ州の都市ハイデラバード。ここでヴィディヤー扮する女性ボビーが趣味で探偵の真似事をしていたんですが、ある日アニース(キラン・クマール)と名乗る男から高額の報酬で人探しを頼まれたことから彼女の探偵業は本格化します。アニースから要請された二人の人探しをこなし、報酬で探偵事務所まで興したボビーですが、アニースから3人目の人探しを依頼された際、ボビーはこれまで見つけた二人が行方不明になっていることを知るのです。自分はなにか大きな犯罪に巻き込まれたのではないか…。ボビーは極秘にアニースの身辺調査を開始します。

この『Bobby Jasoos』、実を言うとそんなに評判がよくなくて、収益的にも失敗作なんですが、「ヴィディヤー・バーランが変装するユルイ映画だと思ってりゃいいか」ということで観始めたんですけどね。まあ確かに食い足りない物語で、まず描かれる人探しの方法というのがどれも単なる総当たり戦だっていうのが探偵物語としてどうよ?と思えてしまったなあ。例えばシャーロック・ホームズのような鋭い観察眼や鋭利な知性や驚異的なひらめきみたいな知的な部分があるということが全く無いんですね。ホームズ並みは期待しませんが、探偵モノだっていうならもうちょっと頭使った物語にするべきだったんじゃないですかね。これじゃあホントに変装したいだけの趣味の探偵だもんなあ。その変装も冒頭だけだっていうのがまた肩透かしで。

で、事件の真相というのが、まあはっきり書けないけどやっぱり書いちゃうと「誰も悪人のいないイイ話だった」っていうのもどうなのかなあ。これだと「名探偵コナン」でも観てたほうがまだスリルとサスペンスがあるんじゃないか、って感じで。しかしこの結末を予想させないために思わせぶりに怪しげな人物を登場させている部分はちょっと頑張った、エライ、と上から目線で評価しちゃろう。確かに予想のできない結末ではあったからね。

物語は主人公ボビーの探偵活動と共に、彼女に持ち上がった結婚話、その相手男性との紆余曲折などが描かれ、この辺余計な展開と見るか物語を膨らませたものと取るかで感想も変わってくるでしょう。結婚相手タサッウルを演じるアリー・ファザルは嫌味の無いいい男で、個人的にはこの展開はそれほど悪くないなと思いました。独身女性という立場で父親と対立しながら自分の進みたい道を歩む、という部分ももう少し練りこんだら2014年にインド映画界を席巻した女性映画の一本になったかもしれないですね。

そんなことよりハイデラバードといえばビリヤーニですよ!この映画ではハイデラバード中のビリヤーニ屋を捜査するという展開があって、調理中の様子や料理された山盛りのビリヤーニがこれでもかと登場するんですね。あーいいなービリヤーニ食べたいなー。今まで一回こっきりしか食べたこと無いもんなー。またどこかに食べに行きたい!なんならハイデラバードでマトン・ビリヤーニ食べたい!・・・と物語とは全然関係ない部分で盛り上がったオレでした。

http://www.youtube.com/watch?v=PHTTNn_XEtE:movie:W620