大地震のひとつやふたつ、ロック様の力こぶでイチコロだ!?〜映画『カルフォルニア・ダウン』

カリフォルニア・ダウン (監督ブラッド・ペイトン 2015年アメリカ映画)


ビルがぶっ壊れる光景が好きである。ダイナマイト一発でのビル解体映像とかゾクゾクする。大友克洋のコミック『AKIRA』でネオ東京の高層ビル群がバラバラにぶっ壊れてゆく様子を克明に描写したシーンなんかも最高だよね。ローランド・エメリッヒ監督の映画『2012』とかもそのぶっ壊れ具合が凄くて途中ゲラゲラ笑いながら観てたもんなあ。『クローバーフィールド』とか『マン・オブ・スティール』とかも、ビルの壊れっぷりが堪らなかったなあ。

本当は、好き、というよりも、その破壊の強大さに、その恐怖に、思考が麻痺してしまうのが楽しいのかもしれない。原水爆爆発の記録映像が、それがどんなに禍々しく非人道的なものであろうとも、その圧倒的な破壊力に、思わず見入ってしまい、あまつさえ美しく感じてしまう、という、倒錯した感覚と似ているかもしれない。

カリフォルニア・ダウン』は人類史上稀に見る巨大地震に見舞われ崩壊してゆくアメリカ西海岸を描いたパニック映画である。ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスが、そこに建つ巨大建築物が轟音と共に瓦礫と化し、人々は逃げ惑いながらも次々と命を落としてゆく。しばらくインド映画ばかりでハリウッド映画にご無沙汰だったオレだが、「こりゃ観るしかないだろ!」と思いましたね。いやあ、破壊!死!破滅!楽しいなあ!楽しいなあ!

というわけで「グヂャグヂャに崩壊してゆく現代建築(「アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン」ってことな)」の様子を堪能しに劇場に足を運んだオレであるが、いやこれが、破壊だけにとどまらない面白さを兼ね備えた作品で正直感心した。まあなにしろ、最新VFXでこれでもかこれでもかと描写される破壊映像はホントに最高でね、「スッゲエ!スッゲエ!コエエ!コエエ!」と小学生みたいな感想漏らしながら手に汗握って観ておりましたが、まあ実際、物語がちゃんとしてないと、「まあでもそこだけだったよね」てな感想で終わっちゃうんだよね。しかしこの作品、意外とシナリオが誠実に作ってあって、また、飽きさせないような様々な見せ場を作っていて、そういった堅実さも印象良かったんだよな。

物語の主人公はドウェイン・ジョンソンことロック様演じるレスキュー隊員で、これが冒頭から「俺はどんな危険な現場でも必ず被災者を救助する凄腕だぜ」とアピールしまくるシーンが入って、ここで既にロック様の筋肉とカリスマ振りを見せつけられちゃうわけですよ。で、大地震が発生し、「妻と娘が巻き込まれた!すわ救出!俺にできねえ救出はねえ!」と八面六臂の大活躍を披露しちゃうんですね。そうさ!ロック様ならきっとやってくれるさ!地割れの一個や二個ぐらいならあの筋肉で閉じたりもできちゃうよね!(いやそれはない)

ここで、いやちょっと待てお前レスキュー隊員なんだから家族大変なのも分かるけど一般市民救出しろよ、という御意見が出るのも分かる。大変わかる。ここでこの映画の好き嫌いが出ると思う。ただ、「家族愛」という紋切型を持ち込むことで、話をシンプルで理解し易くて、より感情に訴えかけるものになっているのも確かなのよ。物語の持つある種の紋切型って、うんざりすることもあるが、容易く無視もできないもんだとも思うんだよね。そもそも主人公が「あー、俺っち家族救出したいんっすけど?」と本部に連絡したら本部も「いんでね?」とか言ってたしな。なんでいいのか?だって、ロック様だからに決まってるじゃないですか!?

で、その後あれこれあるわけだが、オレが一番感心したのは、地震の生み出した災害が映画の進行に合わせてどんどん破滅的になって行き、きちんと難易度が上がってゆくってとこだな。もう畳み掛けるように見せ場の連続なんでありますよ。そしてもう一つは、最初ヘリで救出に向かっていたロック様が、ヘリだけじゃなくその後いろんな移動手段を用いて果敢に家族の元へ向かう、という部分だったな。確かにヘリが出ずっぱりだと救助簡単だし絵的に飽きちゃうからね。さらに移動手段が違うと直面する危機もまた様々なバリエーションを見せることになるんだ。そういった見せ方の工夫が上手いと思った。

それとやはりロック様の娘役を演じているアレクサンドラ・ダダリオとかいうダダ漏れみたいな名前の女子がだな、これがキョヌーで堪らんかったわ!なんか地震でもないのにユッサユッサ揺れてるもんがあって「なんだなんだ!?」と固唾を飲んで注視したらダダリオ嬢のオチチだったもんだからオジサン魂消たよ!多分今回の地震の原因はこのダダリオ嬢のオチチの揺れのせいだったんじゃないのかな!すいません最後まで下品で!