シャールク&サルマーンがタッグを組んで前世の復讐を果たす怒涛のカルト・アクション『karan Arjun』!(おまけあり)

■karan Arjun (監督:ラーケーシュ・ローシャン 1995年インド映画)

〇シャールク「復讐しようぜ!」サルマーン「ああ当然さ!」


ヤヴァイ。相当ヤヴァイ。シャー・ルク・カーンとサルマーン・カーンが共演した1995年のインド映画『karan Arjun』が滅茶苦茶面白過ぎる!
冒頭25分だけでもシャールク&サルマーンがひたすらイチャイチャしまくったりとかカーリー神の鎮座する怪しい洞窟の中で乱舞するインド人とか馬で引き摺り回され切り殺された挙句転生するシャールク&サルマーンとか見所満載過ぎ。そしてこの25分でやっとタイトルバック登場!そう、この映画、悪い奴にぬっ殺されたシャールク&サルマーンが輪廻転生して復讐を遂げる、という大アクション映画なのだ!共演はカジョールとマムター・クルカルニー、監督はリティク・ローシャンの父であり『クリッシュ』シリーズを手掛けたラーケーシュ・ローシャン。

《物語》インドのとある村、仲良し兄弟カラン(サルマーン・カーン)とアルジュン(シャー・ルク・カーン)は今日もキャッキャウフフと遊びまわったり大好きなお母さんドゥルガー(ラーキー・グルザール)とベタベタ甘えまくったりして過ごしていた。そんなある日、二人が実は地主の跡取りであることを母から聞かされる。だが、かつて父を殺し、そして今も一族の遺産を狙うドルジャン・スィン(アムリーシュ・プリー)が現れ、カランとアルジュンを惨殺してしまうのだ。怒りと悲しみの中でドゥルガーは血の女神カーリーの神像に祈りを上げる。するとどうだろう、なんとカランとアルジュンは遠くの土地で二人の幼子へと生まれ変わったではないか!?17年後、アジャイとヴィジャイとして育った青年二人は奇妙な記憶に悩まされていた。そしてその記憶を辿って行き着いた村こそが、かつてカランとアルジュンが暮らした村だったのだ。二人は前世の母と涙の再会を果たし、そして、敵であるドルジャンに復讐を誓った!

〇インド製ボンクラ映画!?


もともとはこの間『Kuch Kuch Hota Hai』を観て「シャー・ルク・カーンとサルマーン・カーンの共演作って他になにかあるのかなあ?」と思っていたところ、Twitterのフォロワーさんが教えてくれて、いったいどんな映画なのかなあ、と観始めた映画だった。
しかし、最初はラブコメあたりだろう思っていたら、なんと血と殺戮の復讐劇、しかもカーリー神と輪廻転生付き!映像がチープな部分が往年の香港映画を思わせ、アクション・シーンの血生臭さはタミル映画のようであり、狂ったように何度も繰り返される前世のフラッシュ・バック・シーンはヨーロッパの古典ホラー映画を彷彿させる。カーリー神は暗い土俗の記憶と結びつき、輪廻転生というテーマはひたすらオカルティックだ。おまけにインド映画の華である筈のダンス・シーンがどことなく俗悪で下品、インド映画史上稀に見る才能の無さをうかがわせるのだ。そしてこれらいびつな要素が混沌と混じり合って生まれた作品は、どこかカルト映画作品の如き様相すら呈している。そしてもうひとつの呼び方をするならば、この作品はインド製ボンクラ映画ということもできるのだ。

〇るるる〜ららら〜


〇ここが変だよこの映画!


なにしろこの映画、所々何かがおかしく、いろんな部分が過剰だ。
・初登場時のアルジュンはアホで変態!
・アルジュンの得意技は「パチンコ」!
・カランとアルジュンが格闘するシーンでは二人の間にマンガみたいな稲妻が落ちる!
・カジョールの眉毛は相変わらず繋がったまんま!
・サントラはなんと『ターミネーター』のモロパクリ!
・効果音がデカ過ぎていつも音が割れている!
・1階でジャンプした悪漢が2階の床を突き破って現れる!
・二人を陥れた悪党一族は悪党のお約束の如くひたすら「あっはっはっはっはっはっはっ」と笑い続ける!
・踊りのシーンではなんとこの悪党どもも一緒に踊る!
・さらにそのシーンではサリーを着た5人の婆さんの踊りまでが披露される!
・コミック・リリーフが二名登場してカオスな物語をさらに引っ掻き回す!
・二人の母親はなぜか登場するたびに転んで口や額からダラダラ血を流している!
・転生した息子と出会えた母は鬼みたいな顔で悪党どもを指さして「奴らを殺っちまいな!」と指令を下す!
・転生して前世の恋人と結ばれるアルジュンだが、ちょっと待てよ…17年の月日が経ってるんだから年の差は相当なんじゃないのか?と身震いさせられる!

そんな『karan Arjun』だが、なんと後半は村を舞台とした銃撃戦がメインだ!西部劇そのもののシチュエーションの中、村に様々なトラップを用意して二人の若者が悪党を迎え撃つさまなどは、これはインド映画の古典的名作と呼ばれる『Sholay』そのままじゃないか!?

〇カーリー神に祈っちゃうもんね!


そして輪廻転生である。輪廻転生は実にインドらしいテーマだ。同様のテーマのインド映画としては『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』などを思い出すが、この『karan Arjun』はもっと泥臭く禍々しい雰囲気を漂わせている。
なんといっても転生を聞き入れた神がカーリー神であり、そしてこのカーリー神が映画の中で何度も登場することになるからだ。破壊神シヴァの妻である女神カーリーであるが、これが、コワイ。とってもコワイ。
カーリー神は一般には黒色で3つの目と4本の腕を持ち、牙をむき出しにした口からは長い舌を垂らし、髑髏や生首をつないだ首飾りをつけ、切り取った手足で腰を飾った姿で表される。こんなカーリー神の鎮座する洞窟で村人たちが踊るシーンは、なんだかもう『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』みたいなおどろおどろしさだ。しかもこの『karan Arjun』で悪役ドルジャンを演じているのが、『インディ』で邪教の司祭やってたアムリーシュ・プリーだったりするのだ!

映画は血と殺戮を好む戦いの女神であるカーリーと、息子を殺された母ドゥルガーの怨念とを重ね合わせ、ドロドロとした雰囲気を一層高めている。そして母の名前であるドゥルガーは、女神カーリーの母型となった女神の名前でもある。女神カーリーはシヴァの妻パールヴァティーの化身だが、そのパールヴァティーにはスカンダとガネーシャという息子がいる。そうすると腕力の強いカランは軍神スカンダで、優しいアルジュンは幸運の神ガネーシャだということもできる。女神カーリーはパールヴァティーの戦闘形態で、もともとのパールヴァティーは母性溢れる女神。だから物語の中の母ドゥルガーと、カランとアルジュンとのベタベタぶりはインド映画らしい家族主義であると同時に、優しく美しいパールヴァティーの母性を強調したものであるという見方ができる。熱く固い家族愛と母性、そして輪廻転生と復讐のバイオレンス・ドラマ。映画『karan Arjun』はシャールク&サルマーン共演作として楽しめるばかりか、そのカオスと化した物語展開が超絶的に面白おかしい作品なのだ。

〇見よ!このハリウッドB級アクション映画なポスターを!?(ファン・メイドかもしんない)


〇『karan Arjun』の狂った魅力に溢れる怒涛の予告編におしっこちびらせろ!?


〇シャールク&サルマーンの日本発売されているソフトを観よう!

とりあえず日本で観られるシャールクの最新作はこれ。

チェンナイ・エクスプレス~愛と勇気のヒーロー参上~ [DVD]

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サルマーン兄貴の大傑作DVDも日本で発売中だよ!
ダバング 大胆不敵 [DVD]

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ラーケーシュ・ローシャン監督の日本で観られるヒーロー映画も是非よしなに。
クリッシュ [DVD]

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○(おまけ)シャールク&サルマーンの共演作をもう1作紹介!

■Hum Tumhare Hain Sanam (監督:K.S.アドゥヤマン 2002年インド映画)


シャー・ルク・カーンとサルマーン・カーンが共演した作品がもう1作あった!という映画『Hum Tumhare Hain Sanam』でございます(まだあるのかもしれないが特に調べて無い)。ヒロインはマードゥリー・ディークシト、80〜90年代のインドのトップ女優さんなのですが、あの『地獄曼陀羅アシュラ』にも出演を!?さらにゲストとしてアイシュワリヤー・ラーイも出演しているんですよ。この豪華な配役でいったいどんな物語が…と思って観てみたら、いやーこれが結構しょーもない作品で…。

なんといいますかこの作品、シスコン・ブラコンのお話でありましてですね。ゴバル(シャールク)という実業家とラダ(マドゥーリー)という女性が結婚するんですが、このラダさんというのが兄弟大好きっ子でありましてね。いつもサルマーン演じるスラジュら兄弟とキャッキャッウフフしまくってるわけなんですよ。しかし結婚したてのゴバルは「仲良いのは分かるけどこいつら俺無視してベタベタしすぎじゃねえか?」とブンむくれるわけです。そんなゴバルの気持ちに全く気付かずベタベタしまくるスラジュたち兄弟に、ゴバルは遂にブチ切れちゃう!というのがこの物語なんですね。

嫉妬と疑心暗鬼で頭ン中一杯にしたままイジケまくるシャールクも随分ですが、全く気を使わず能天気にベタベタしまくるサルマーンも「どんだけなんだよお前」と思わせるものがあります。その間で嫁のマドゥーリーは「え?大好きなお兄ちゃんたちと楽しくしているだけなのになんで旦那はカッカしてるの?ワタシどうしたらいいの?」とオロオロしているだけという。まあなんと言いますか、「 ず っ と や っ て ろ お 前 ら 」って感じではありますね。シスコン・ブラコンとはいえ倒錯じみた変な側面は全く無く、ただ単に度を越して仲がいいだけなんですが、それに焼き餅焼いてる旦那のドラマとか言われてもなあ。

こんな昼メロみたいな内容でインド映画安定の3時間余りの上演時間でしたが、シャールクがヒステリー起こしたり妄想しまくって悶々としている部分が見所でしょうか。