自然体なディーピカー・パードゥコーンがとっても素敵なロードムービー『Finding Fanny』

■Finding Fanny (監督:ホーミー・アダジャーニヤー 2014年インド映画)


返還された手紙をきっかけに、大昔の恋人の元を訪ねようとする老人と、その知り合いの老若男女とが織りなす奇妙なひと時を描いたのがこの『Finding Fanny』です。主演がディーピカー・パードゥコーン、そのお相手役にアルジュン・カプール。不憫な老人役を『Ishqiya』のナスィールッディーン・シャーが演じております。ちなみにこの作品、ヒンディー語版と英語版があってそれぞれ編集が違うそうですが、自分はヒンディー語版を観てみました。

《物語》インド西海岸、風光明媚で知られるゴアの小さな町。ここに住む老人ファーディ(ナスィールッディーン・シャー)は投函された手紙に驚愕します。なんとそれは47年前に恋人に出したプロポーズの手紙。返事が無いから断られたと思っていたら、そもそも届いてすらいなかったは…悲嘆に暮れるファーディでしたが、その恋人が今どうやって過ごしているのか訪ねてみようと決心します。彼は知り合いのアンジー(ディーピカー・パードゥコーン)にそれを打ち明け、さらに整備工のサヴィオ(アルジュン・カプール)、変わり者の老人ロージーとドン・ペドロを引き連れて、かつての恋人探しの旅に出掛けるのです。

この作品の見所はまず、舞台となるゴアの豊かな自然と明るい陽光、開放的な家々の佇まいでしょう。リゾート地としても知られるゴアはあたかも南欧を思わせるような柔らかな色彩と爽やかさに満ち溢れ、このロケーションを眺めるだけでも心が和らぎます。最近日本公開された『インド・オブ・ザ・デッド』もゴアが舞台でしたね。こんなゴアの土地で繰り広げられる物語もどこかゆるくてノホホンとしたお気楽さを醸し出しています。

もう一つの見所はなんといっても主演であり語り部であるディーピカー・パードゥコーン様の美しさでありましょう。今回のディーピカー様はどこにでもいる町娘といった風情で、その伸び伸びとした自然体の健やかさは、これまでのディーピカー様主演作品とはまた違う非常にリラックスした演技を見せ、ディーピカー様の新たな魅力を引き出しております。もう薄物着てシャナリシャナリ歩いているディーピカー様の素敵さといったらありません。オレは映画の間中ディーピカー様の肩甲骨とか二の腕とかふくらはぎとか顎の下のぷっくりした脂肪とかお臍のあたりとか存分に眺め回しておりました(なんかヤラシイ書き方でスマン…)。というかこの作品、ある意味ディーピカー様のアイドル映画、イメージビデオといってもいいぐらいディーピカー様の美しさを存分に堪能できる作品として仕上がっているのですよ。

それとこの映画、なんとランヴィール・シンがチョイ役で出演しているんです。ディーピカー様とランヴィール・シンといえば、そう!あの『ラムリーラ』でのコンビじゃないですか!『ラムリーラ』の素晴らしさでインド映画にハマったオレとしては結構盛り上がりましたね。しかも今回のランヴィール・シン、ディーピカー様と結婚したのはいいけど結婚式で食ったウェディングケーキを喉に詰まらせてさっさと死んじゃう!というしょーもない役回りで、「ランヴィール・シンらしいアホアホぶりだよな…」と妙に納得しておりました。

実はこの物語、さっさと死んじゃうランヴィール・シンに代表されるように、どことなく不条理でブラックなユーモアがそこここに横溢しているのも特徴です。そしてそれがドタバタではなくどこか淡々と描かれてゆくのです。物語には特に事件らしい事件は起こらず、車で旅を続ける老若男女の心に去来するちょっとした変化が描かれる程度ですが、この「特筆すべきことがなにも起こらないまま淡々と語られてゆく乾いた抒情」からはどこかジム・ジャームッシュ映画を思わせるような匂いを感じました。ただ逆に、その淡白さと事件の無さが退屈に感じられる部分があるのも否めず、この辺は好みが分かれる作品ではないかと思いましたね。ま、その辺はディーピカー様の美しさに免じて勘弁してあげればよろしいんじゃないでしょうか。