アメコミ2作読んだ / 『デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション』『クァンタム&ウッディ:世界最悪のスーパーヒーロー』

デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション / ジェイソン・アーロン、マイク・ベンソ、カイル・ベイカー、ロブ・ライフェルド

デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション (MARVEL)

俺ちゃん、再々上陸!? 冗舌な傭兵デッドプール、日本語版第3弾! 記念すべき『デッドプール』誌900号と1000号を収録した読み切り作品。ハチャメチャでクールなデップーさんが所狭しと暴れまわる! 併録された「デッドプール・チームアップ」では日本の相撲部屋が登場!? 日本人女性“サザエ"との交流も描かれた本書は、日本のデップーファン必読のコミックです!

真紅のコスチュームを身にまとったぼんくら系ヒーロー、デッドプールがまたまた帰ってきた!?という『デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション』でございます。いやあ、デッドプール、好きなんですよ、アホアホで。日本初登場の『デッドプール マーク・ウィズ・ア・マウス』ではダイナミックでシリアスなアクションや物語をちょっとばかりうかがわせていたデップーですが、この『デッド・ヘッド』はひたすら下らなくて、実はこっちが本分なんだろ?と思えてしまいました。なにしろ今回は「真紅のコメディアン傑作短編集!」と銘打たれているように、中編数作の他は10ページ前後のショートストーリーがぎっちりと詰め込まれた構成になっているんです。アメコミではライターとペンシラーが毎回違ったりしますが、これだけの数が詰め込まれると、作画のバラエティの多さがまた楽しさの一つになっていますね。また、作品数が多い分お得感も満載です。デップーのようなキャラはこういった短めの構成のほうが合っているのかもしれません。他のマーベル・ヒーローを茶化した作品や楽屋落ちが多かったりもしますが、アメコミにたいした詳しくないオレでも十分楽しめたな。

デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション (MARVEL)

デッドプール:デッド・ヘッド・リデンプション (MARVEL)

■クァンタム&ウッディ:世界最悪のスーパーヒーロー / ジェームズ・アスムス、トム・ファウラー、ジョーディ・べレア

クァンタム&ウッディ:世界最悪のスーパーヒーロー (ShoPro Books)

真面目で堅物な黒人エリックと陽気で軟派な白人ウッディは、血の繋がらない兄弟だった。ある日、彼らの父親が何者かに殺された。父親の死を解明する途中、アクシデントに見舞われた二人は不思議なパワーを手に入れるのだが……と、シリアスな物語が始まるかのように見えるが、謎の山羊ビンセントも加わり、対照的な二人の絶妙な掛け合いと、コントさながらのテンポの良さが爆笑を誘う。今までにない“笑撃"的なスーパーヒーローコミックを目撃せよ!

この『クァンタム&ウッディ』、どんなキャラでどんな物語なのか全く知らなかったんですが、なにやら楽しげな雰囲気が漂っていたので「えいやあ!」とばかりに購入してしまいました。するとこれがびっくりするぐらい面白い。冒険ってしてみるもんですね。主人公はガチムチのガタイした硬派の黒人エリックとヘラヘラした軟派白人ウッディ。この二人、血の繋がらない兄弟なんですが、ある日父親を殺され、父親の研究所で偶然にもスーパーパワーを身に着けてしまいます。そして二人は父を殺したと思われる秘密組織に戦いを挑む…という訳なんですが、なにしろ水と油みたいなこの二人、しょっちゅう喧嘩しては仲違い、物語は秘密結社との戦いと共に二人の掛け合い漫才みたいな罵声と拳の応酬を描いていく、というものなんですね。設定それ自体はそれほど珍しいものではないにしろ、絶対の危機ともいえるような状況ですら言い争いを繰り広げる二人のドタバタの様子が可笑しくてたまらないんです。そしてそんな大喧嘩の合間にふと見せる、彼ら同士や死んだ父への強い絆や愛情が、とってもいい具合にエモーショナルなんですよ。対する敵役も十分に不気味で気持ち悪い連中で、相手に不足無しなんですね。それと、なんだかやたら強力みたいなヤギが出てきて…。そしてこの『クァンタム&ウッディ』、マーベルやDCといった大手コミックではなく、バリアント・エンターテインメントという中小規模のコミック出版社からの作品である、といった部分も珍しいですね。続きが出たらまた是非読んでみたいです。

クァンタム&ウッディ:世界最悪のスーパーヒーロー (ShoPro Books)

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