悪党どもを叩き潰すため、あのスィンガムが帰ってきたッ!?ガオーッ!!〜映画『Singham Returns』

■Singham Returns (監督:ローヒト・シェッティ 2014年インド映画)


タレサン口髭の暴力デカが帰ってきたッ!?
ヤツの名はスィンガム!チュルブル・「ダバング」・バンディと並ぶインド映画界もう一人の最凶デカだッ!
スィンガムが跳ぶ!スィンガムが駆ける!
ヤツの前では全ての悪党がオシッコちびり、命乞いをしながら地べたにひれ伏す!
さあ、俺にビンタを張られたい奴はいつでもかかってこいッ!?

ガオーッ!!

というわけでインド名物暴力デカ映画、『Singham Returns』でございます。リターンズというぐらいですからコレ、映画『Singham』(2011)の続編となっているわけですね。『Singham』、大変面白い作品でしたね。詳しくは拙ブログレビュー「俺の名はスィンガム!町の正義は俺が守るッ!!(ガオーッ!)〜映画『Singham』」を読んで貰えるとその笑っちゃうような物凄さがお分かりいただけるかと存じます。

そしてこの『Singham Returns』は1作目と同じローヒト・シェッティ監督、引き続き主演をアジャイ・ディーヴガンが演じ、そしてヒロインとして新たにカリーナー・カプールが抜擢されております(ええっと…大人の事情とは思うけど、前のヒロインどうなっちゃったの?)。また、スィンガムと相対する悪党を『スタンリーのお弁当箱』の監督であり、生徒のお弁当を失敬する変な先生役も務めたアモール・グプテが演じてるんですね。だからといってこの映画は、お弁当を奪われたスィンガムの壮大な復讐劇ってわけでは決してありません!

さて今回のスィンガムの敵役は悪徳政治家と彼と手を組む怪しげな宗教家です。不正資金の出所を捜査するスィンガムを彼らの手下たちが阻むのです。前作ではスィンガムの繰り出す物理法則を全く無視した肉体派アクションがメインでしたが、今作では「これはシュワルツェネッガー映画か!?」とすら思わせる派手な銃撃戦がメインとなり、機関銃はバリバリだわRPG(対戦車擲弾ってヤツですな)は撃ち込まれるわ、人は死に車は吹っ飛び街中火の海になっちゃうじゃないですか!?遂には爆弾テロ、暴動にまで発展し、もはや舞台となるムンバイは戦場の如き有様ですよ!?

敵となる宗教家は多数の信者から膨大なお布施を巻き上げ、それを悪徳政治家の政治資金としていたんですね。宗教家が裏で操る殺し屋たちは傭兵並みの兵器を装備し、暗殺や襲撃、脅嚇を平気で行う恐ろしい相手です。彼らが宗教を隠れ蓑に行う暴力行為の数々は以前日本を騒がせたあのカルト宗教集団を思わせるものがあります。さすがのスィンガムもこれまで以上に凶悪な敵に大いに手こずらされます。しかもメディアを巧みに利用した敵の情報操作に、捜査は続行不能に追い込まれそうになります。しかし!耐えに耐えて耐え抜いたスィンガムの、マグマのように熱い怒りが遂に爆発するのです!

という今回のスィンガムですが、敵が強大で凶悪なせいか、少々お話の流れがシリアスになり過ぎてしまった部分があります。前作はチンピラとヤクザ相手に「気は優しくて力持ちな田舎警官の大活躍!」という大らかさがあったのですが、今作では大都市を舞台にしたテロ戦です。そりゃあシリアスにもなっちゃうでしょ、というのも分かるんですが、前作のバカバカしさが後退してしまったのはちょっと寂しい気がしました。肉弾戦ではなく銃撃戦がメインになった部分も、これはこれで緊張感たっぷりでしたけど「でもスィンガムの空中ビンタ見たかったんだよなあ…」とつい思ってしまうんですよ。

とまあ、「悪くはないけどコレジャナイ…」と思って観ていた所、とんでもない展開を迎えるクライマックスで全ての不満がチャラにされました!観ていたオレの反応→「わははははは!なーんじゃこりゃあ!なーんじゃこりゃあー!」…いやあもう楽しくて楽しくて笑って観てしまいましたよ。いいなあ、これでこそスィンガムだよ!ここまで法律無視していいのか!?いや、スィンガムだからいいの!あれ観て「白ランニングシャツとチノパンの時代、始まったな…」と思わせてくれましたね。と言うわけでここ日本ではそろそろ春の兆しも見え始めてきましたので、オレも白ランニング&チノパンで怖い顔しながら街を練り歩きたいと思っております!ガオーッ!!