ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にしたスチームパンクTPSゲーム『The Order: 1886』 (PS4)

舞台はビクトリアン時代 産業革命後の栄華を誇るもう一つのロンドン
この世界では、はるか昔に進化の途上で人類から分かれた“半獣”と呼ばれるモノが存在する。“半獣”は、強靭な肉体と恐るべき回復力を持ち、人類の天敵として人々から恐れられてきた。だが、あるとき戦いに生涯を捧げることを誓った勇気ある人々が騎士団を結成する。騎士団は“オーダー”と呼ばれ、以来、数世紀にわたり“半獣”との戦いを続けてきた。時は流れ、19世紀末ロンドン。産業革命と科学の発展が戦いの流れを変えた。これまでにない威力の武器を手に入れた人類は歴史上初めて優位に立つ。だが、同じ頃、新たな脅威が騎士団を襲う。大英帝国への大規模な反乱である。産業革命の影響に苦しみ、階級間の格差に憤る市民が蜂起したのだ。新旧二つの敵により、騎士団はこれまでにない苦境に陥っていた。
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19世紀ロンドンを舞台にしたスチームパンク風味のTPSゲームです。まずこのゲームの特色となるのは非常に練りこまれた世界観でしょう。衣装や武器の非常に細かいデザインにそれが顕著で、製作者側にとって一番見せたいもの、こだわりたかったものがこれだったのでしょう。物語も重厚であり、ゲーム性のために物語的な整合感をおざなりにしている、という部分を感じさせません。そしてそれを可能にしているのが精緻に渡り作りこまれたグラフィックであり、このゲームの魅力のひとつとなっています。登場人物の顔や表情もとてもリアルに作られていたなあ。
ただし、PS4ゲームでも群を抜いたグラという評判ではありますが、レトロな雰囲気を出すためでしょうか若干スモーキーな画面となっており、その精緻さをあんまり堪能できないんですよね。だからオレはそんなに凄いグラフィックとは思えなかったなあ。どうもオレはパキパキの高解像度で色彩豊かなほうが好みなんだよなあ。それにそのグラフィックも細かいところは良く作られてはいるけれども、どうもハッとする部分が無い。なんだかハッタリが無くてチマチマしてるっていうのかな。そういう部分で個人的にはグラフィック的には平均点だと思えた。あと上下の黒帯も『サイコブレイク』以来好きじゃないんだよなあ。
じゃあゲーム性はどうかというと、これもTPSとしては標準的な仕上がりかな。カバーアクションをしながらの敵との銃撃戦はギアーズあたりを髣髴させ、これはこれで楽しめる及第点の出来。ただちょっと難だったのがQTEの多さ。そんなに卑怯なQTEはないのでストレスが溜まるということもありませんが、頻繁に挿入し過ぎ。これきっと、製作者の頭の中でこのゲームがどのように進行するべきかの演出がきっかりと決まっていて、その演出こそを見てもらいたい、という意図があるからなんでしょうねえ。
煎じ詰めるとこのゲーム、実はTPS風味のアドベンチャー・ゲームってことなんですよね。ゲームの進行が一本道でプレイ時間も短く、リプレイ性がまるで無い、というのはこのゲームが1本きりのシナリオで製作されたAVGだからってことなんじゃないのかな。プレイにしてもアイテム探しやMAPコンプなどの探索要素がまるで無く、いくら作りこまれたグラフィックでもその世界をあんまり歩き回りたくならないのは、AVGの本筋から逸脱する気が無かった、という理由があるのではないでしょうか。だからねー、割と賛否両論あるゲームのようですが、TPSとして見ると物足りなく、AVGだと考えるとそれほど謎やパズルが無い、といったゲームなんですよねこれ。
ただよく言われているプレイ時間の短さはオレは逆に全然OKでね。いや残業帰りだとそんなにゲームやってる時間が無くて(まあインド映画ばかり観ているからという理由もあるが)、早く終わるゲームって結構有難かったりするんですよ。そもそもリプレイとかオンとかしないしオレ。決して満点のゲームではないのですが、そういった部分で手軽に楽しめました。なんとなく続編のあるような終わり方でしたが、雰囲気は十分にあるゲームですので、続編出たらまたプレイしてもいいかな。

http://www.youtube.com/watch?v=kFJZauFPSA8:movie:W620