そっくりさんが3組!?インドのしょーもないドタバタ・コメディ映画『Humshakals』

■Humshakals (監督:サージド・カーン 2014年インド映画)


会社乗っ取りの陰謀を巡り、経営者とその友人のそっくりさんが3組あらわれて大騒ぎ、さらに女装までしててんやわんや、という果てしなくしょーもないドタバタ・コメディです。主演はサイフ・アリー・カーン、女装といえばこの人(?)のリテーシュ・デーシュムク。そして監督は人気コメディ・シリーズ『Housefull』のサージド・カーン。

主人公アショーク(サイフ・アリー・カーン)は心の友クマール(リテーシュ・デーシュムク)を頼りにしながら大会社を切り盛りしてました。しかしその会社を乗っ取ろうと、アショークの伯父ママジ(ラーム・カプール)は二人に「犬になる薬」を飲ませ、精神病院送りにしてしまいます。二人はなんとか退院できるようになりましたが、なんと同じ病院には二人のそっくりさんがおり、彼らが退院することになってしまうんですね。そしてそっくりさんを言いなりにして乗っ取り成功に漕ぎ着けようとするママジを阻止しようと、無理矢理病院を抜け出した本物のアショーク&クマールが迫りますが、ママジはさらにもう一組のそっくりさんを登場させアショーク&クマールを阻むんです!?

えー、インド映画といえば重力も力学もはなから無視した無茶なアクションをみせてくれちゃったりしてますが、こちらの映画『Humshakals』は「そっくりさんが3組登場!?」という思いついても普通はやらない無茶なシナリオを堂々と映画にしてしまったというある意味大胆な作品であります。粗筋紹介では「アショーク&クマールのそっくりさん」みたいな書き方しかしていませんが、実際はアショークの伯父ママジのそっくりさんまで登場し、要するに3人のそっくりさんが3組、計9名がてんやわんやの大騒ぎをする、という物語になっています。いやー、いくらなんでもそりゃありえないだろ!?…とは思いますが、ここまで無茶されると観てるこっちとしても逆に開き直って観てしまいますね。

さらにこの映画、主演3人の女装シーンを盛り込んで無理矢理お話を盛り上げます。本物の3人が偽物の3人をパーティ会場で拉致するため、本物たちがウェイトレス姿に女装して偽物たちを誘惑する…という計画だったんですね。しかし誘惑はしたものの眠り薬を嗅がせるのに失敗し、ギンギンにその気になった偽物たちに貞操を奪われそうになる!?という阿鼻叫喚の展開を見せるんですよ。いやー…ひどい…(半笑)。ここでやはり評価するべきなのはリテーシュ・デーシュムク君でしょう。リテーシュ君、『Apna Sapna Money Money』でも馨しいまでにお色気たっぷりの女装姿を見せてくれましたが、この作品でもそれに輪をかけてゴージャスな女装姿を披露してくれてます。いやん…ステキ…。

こんな具合に、この『Humshakals』はかなりベタといいますか分かり易すぎるといいますか、ちょっと安易なシナリオで進行していくんですが、こういった安易さからか一般には評価が低いようなんですね。インド映画はコメディ・ジャンルが非常に優れていて、しかも複雑なシチュエーションを堂々と成り立たせるものが多いのですが、それらと比べると確かにこの作品は力任せに過ぎる部分があるかもしれません。しかし、安易とはいえこの分かり易さというのは、ハリウッド・コメディと通じるものがあり、ある意味相当しょーもないハリウッド・コメディなんかよりも全然面白くできていますよ。これ、ハリウッド・リメイクしても面白いんじゃないかな。アダム・サンドラー、ケヴィン・ジェームズ、ロブ・シュナイダーの3人でやればきっとハマると思うんだけどなあ。

それと合せ、主演3人が3役を演じるということから、その演技の違いを見るのがまた楽しかったりします。なにしろ、いつもはニヒルな2枚目役を演じることの多いあのサイフ・アリー・カーンが、おバカなキャラクターを演じるばかりか女装姿まで見せちゃってくれてますからね。変な顔して喋っているサイフ・アリー・カーン、いい味出してたなあ。そして3組のそっくりさんが一堂に会するクライマックスは、ここはさすがのインド・コメディと頷かされる壮絶なドタバタぶりが展開しており、大いに笑わせてもらいました。

http://www.youtube.com/watch?v=4BVqi-zha2A:movie:W620