恋の伝導師サルマン・カーンが大暴走男にタジタジになっちゃうコメディ映画『Partner』

■Partner (監督:ダヴィッド・ダーワン 2007年インド映画)


恋愛指南を仕事にする男が困った依頼人の無理目な依頼にてんてこまいさせられちゃう!?というコメディです。主演の恋愛指南の男を『ダバング 大胆不敵』のサルマン・カーン、サルマンさんひっかきまわす男をゴーヴィンダーが演じ、ヒロインを『デリーに行こう!』のラーラ・ダッタ、さらに『チェイス!(Dhoom 3)』の日本公開で盛り上がっているカトリーナ・カイフが演じます。

「ラブ・グル(恋の伝導師)」の異名を持つプレム(サルマン・カーン)は恋愛指南師。恋に悩める多くの男に助言してきた彼のもとにある日、なんとも冴えない男バスカー(ゴーヴィンダー)がやってきます。バスカーが恋した相手というのが彼の会社のボスで富豪の娘、おまけに超美人のプリヤー(カトリーナ・カイフ)でした。「無理ね。無理無理!」プレムはさすがに断りますが、バスカーはしつこく食い下がり、なんとプレムの旅行先バンコクまで追いかけてくる始末。「わーった!わーったから!」バスカーのあまりの粘着振りに音を上げて、渋々依頼を受けるプレム。そんなプレムはギャングに追われていた女性報道カメラマンのネーナー(ラーラ・ダッタ)を助け、そして彼女に恋してしまいます。

大変面白かったです。これまでサルマン・カーン主演の映画は幾つか観ましたが、サルマン映画の中では『ダバング 大胆不敵』以外で一番楽しめた作品かもしれません。今回のサルマンさん、「恋の伝導師」なんて言ってますが、要するにいつもの「胡散臭いキャラ」です。サルマン映画の主人公って割とこういう「なにやって食ってんだかよく分かんないチンピラキャラ」多いですよね。「遊び人の金さん」なんてェ人がいましたが、いうなれば「遊び人のサルマンさん」ってな所でしょうか。この遊び人のサルマンさん、いつもなら口八丁手八丁で易々と難題を乗り越えるところを、今回はとんでもない強敵(?)が登場します。それが「超美人に恋しちゃった男」バスカーさんなんです!

このバスカーさん、とんでもない【大暴走キャラ】です。ルックスはむさ苦しくて小汚いオッサンでおまけにメタボ、やたらワアワアと喋くりまくり、人の話は全く聞かず、要所要所で盛大にボケかまし、彼の通った後はペンペン草も生えません。ええ、もう【コテコテ】という言葉はこの人ために存在したとしか思えないようなキャラクターなんです。このバスカーさんを演じるゴーヴィンダー、実は今まで知らなかったんですが、こんななのにインドの大物俳優で、月一で映画に出ていたこともあったとか。ここで不勉強をお詫びさせてください。なにしろこのゴーヴィンダーが凄すぎて、あのサルマンさんもタジタジ、サルマン主演映画というよりもゴーヴィンダーと二人ペアで成り立つ映画だということができるでしょう。

サルマン+ゴーヴィンダーのコンビも光りますが今や飛ぶ鳥を落とす勢いのカトリーナ・カイフさんが共演しているのも嬉しいですね。さらに歌と踊りが物凄くいいタイミングで挿入され、その出来もとってもよくって実に心地よい。ゴーヴィンダーが身軽に踊るのを見せられるのはちょっとイラッとさせられますが。そしてこの作品、シナリオのまとまりがいい。インドのコメディは割と高度に複雑化したものが多いのですが、この『Partner』はストレートで分かり易い。珍しいな、と思ったら実はこの映画、2005年アメリカ製作のウィル・スミス主演映画『最後の恋のはじめ方』のインド版リメイクということだったんですね。公開時は評判もよく、2015年には同じキャストで続編公開が予定されているとか。いやーまたゴーヴィンダーさんの大暴走ぶりが見られるのでしょうか。楽しみですねー。