兄貴の婚約者に惚れちゃった!?〜映画『Mere Brother Ki Dulhan』

■Mere Brother Ki Dulhan (監督:アリー・アッバース・ザファル 2011年インド映画)


兄貴の言いつけで結婚相手を世話してあげたら、その女の子に惚れてしまってさあ大変!というラブ・コメディです。主演はアーミル・カーンの甥っ子イムラーン・カーン、ヒロインを『Doom:3』のカトリーナ・カイフが演じています。

主人公の名前はクシュ(イムラーン・カーン)。ムンバイに住む彼の元にある日ロンドン在住の兄貴ラヴ(アリー・ザファル)から電話が掛かってきます。「よークシュ、元気ィー?俺だけど。あのさー、こっちで付き合ってた女と別れちゃってさーいやーもう散々だよーこっちの女は懲り懲りだよーやっぱ女はインド!インドに限る!でさあ、一つお願いがあるんだけど、俺これからインド帰るから、俺の嫁さん探しといてくれる?んじゃヨロシクッ!」…なんじゃいな、と思ったクシュですが兄貴の言いつけには逆らえません。

そこで散々苦労に苦労を重ね、やっと見つけた女性の家へ訪ねてみると、現われたのは5年前旅行で知り合った娘ディンプル(カトリーナ・カイフ)。「いやーあんときはぶっ飛んだ女だったけどすっかり大人っぽくなったなー」と思うクシュ。そんなこんなで結婚も決まり、式も迫ったある夜、「最後だからハメはずしたーい」というディンプルの願いを聞き入れ夜遊びに繰り出す二人。さんざん遊び回り笑い合い、ふと目を見かわす二人は、お互いを好きになっていることに気づきます。「じゃあ、この結婚式、ぶっ壊しちゃいましょ!」かくして二人の、破談大作戦が始まってしまいます!

えー、兄貴の婚約相手を奪っちゃう、という考えようによっちゃとんでもないお話ではありますが、この作品ではそんな物語を軽やかなテンポでカラッと明るくユーモアたっぷりに描いてみせてくれるんですね。これはヒロインであるディンプルさんのはっちゃけたキャラクターが功を奏しているからではないでしょうか。活発で屈託がなく、自由奔放で勝手気儘、周りのみんなを盛り上げ楽しくさせ、ちょっとハジケ過ぎかな?なんてことがあっても、彼女ならしょうがないか、と思わせる可愛らしさがあるんですね。なんだか無敵キャラですね。このディンプルさんを演じるカトリーナ・カイフナチュラルな魅力がこの作品の楽しさを底上げしていますね。

今回の「婚約破談作戦」も、このディンプルさんが率先して進行させてゆきます。行動力ありまくりですよね。一方クシュ君はといえば、その気はたっぷりあるにせよ「いやでも駆け落ちとかはできないし」なんてグジグジ言ってディンプルさんをイラッとさせるんです。この積極的な女性とそれに引っ張られる腰の重い男性といった、一般的に考えると逆転している男女関係の構図もお話を面白くしています。どことなくマザコン気味の顏をしたイムラーン・カーンはこの少々頼りないキャラにぴったりでしたね。いつも目ん玉ひん剥いてる実際の伯父アーミル・カーンと比べたら大違いですよねえ。映画でも「僕はアーミル・カーンじゃない!」なんて自虐ギャグっぽいこと言って笑かせてくれていました。

そしていよいよ作戦決行!となるわけなんですが、これが「あ、こうきたわけね」と思わずニヤリとさせられるものでした。そして二人の計画は思惑通りに進むのか!?とワクワクさせながら映画は大団円を迎えます。この物語で素晴らしいと思った所は、この婚約破談作戦が、最終的に誰も悪者にならず、誰も傷付かず、そして誰もがハッピーで丸く収まる、そういった描かれ方をしている部分なんですね。大甘といえば大甘ですが、ラブ・コメディの楽しさというのはこういった「なにがなんでもハッピーにしちゃおう!」という気概のある部分じゃないでしょうか。個人的には『ダバング』ネタがあちこちに散りばめられていて楽しかったですね。

http://www.youtube.com/watch?v=rMik81wiDcc:movie:W620