俺の名はスィンガム!町の正義は俺が守るッ!!(ガオーッ!)〜映画『Singham』

■Singham (監督:ローヒト・シェッティ2011年インド映画)


俺の名はスィンガム!村の警察署長を務めている俺にとって、守るべきものはもちろん正義!そして人々の平和な生活!それを乱す者は絶対に許さない!もしも悪を成すものがいるならば、この俺がビンタと張り手で制裁だッ!ベルトで鞭打ちもあるからなッ!それでも逆らいたい奴はかかってこいッ!いついかなる時でも、どんな戦いでも受けて立つッ!ガオーッ!!

「正義の警察官」スィンガムの活躍を描くインドのアクション映画『Singham』であります。この『Singham』、もう笑っちゃうぐらい臆面の無い正義一本槍・直球ど真ん中の勧善懲悪映画として仕上がっております。今時ここまで真っ直ぐなキャラクターはギャグにしかならない筈なのですが、あえてそんなキャラを主人公に据え堂々と描いちゃってる部分に、一周回った面白さがある作品なんですよ。また、こういったキャラが主人公として万人に受け入れられる部分にインド映画らしい懐の深さを感じます。

物語の舞台はインド西部マハーラーシュトラ州とゴアの州境にある農村シヴガード。ここの警察署長が主人公スィンガムさんなんです。正義を愛し情に篤く、誰にも尽くすスィンガムは、村中の人々から愛され尊敬される男の中の男です。物語前半はそんなスィンガムさんと村の娘カヴィヤ(カージャル・アガルワール)との微笑ましいラブコメ展開なども盛り込まれます。しかしそんな平和な村がある日、ゴアの悪徳実業家ジャイカント・シクレ(プラカーシュ・ラージ)の登場により暗雲が垂れ込みます。ジャイカントは表向き実業家ですが、裏では誘拐や殺人も行う暗黒街のドンだったのです。そんなジャイカントの鼻っ柱をへし折ったスィンガムですが、恨みを持ったジャイカントは裏から手を回しスィンガムを自らの拠点ゴアに呼び寄せます。ゴアの警察はジャイカントの息が掛かっており、ここではスィンガムの正義が通用しないのです。ジャイカントの嫌がらせによりスィンガムは窮地に立たせられますが、男スィンガムは遂に立ち上がるのです!「正義は俺の側にある!ガオーッ!」

この『Singham』の面白さのひとつは、正義一直線のスィンガムが繰り出すド派手なアクションです。ワイヤーアクションとスローモーションを多用し、人はクルクル宙を舞うわ車はボンボン吹っ飛ぶわ、まるで重力なんか存在しないかのような奇想天外なアクションが描かれます。この限りなく誇張の甚だしいアクションが実にマンガチックで、爽快感たっぷりであると同時になんだか思わず「ぷっ」と笑ってしまいそうな馬鹿馬鹿しさがあり、そこがまたよかったりするんですよ。

敵と戦うスィンガムの強さは殆ど無敵、並み居る敵をバッタバッタとなぎ倒すさまは一騎当千の無双ぶりです。スィンガムの基本戦闘形はまず「スィンガム・ビンタ」!これでまず相手の気勢を削ぎます!そして走行する車にすら追い付く「スィンガム加速」で相手を追いつめ、獣のように跳躍し指を鍵爪のように曲げた掌で相手の頭をひっぱたく「スィンガム張り手」!倒れた相手に最後の成敗を下すのは、ベルトを使った「スィンガム鞭」!さらにこれらの決め技が入るたびに、「ガオーッ!」という吠え声のSEが入ります!なぜってスィンガムの名前の意味は「獅子」だから!そう、戦う正義の獅子、それがスィンガムなんですね!映画の冒頭では鍵爪にした手を交差させ指をわきわき動かすという「スィンガム・ポーズ」も観られます!いやあ、楽しいなあ!楽しいなあ!

そんな無敵のスィンガムを追いつめるのが敵役ジャイカント。ガマガエルみたいな醜い顔をして、闇の権力を使い限りなくイヤラシイ手でスィンガムを陥れます。警察上層部まで浸透したジャイカントの魔の手は警察官としてのスィンガムに捜査するすべを与えません。警察上層部の命令と正義の間で板挟みになるスィンガム!映画後半はジャイカントにより苦渋を強いられ憤怒を抱えたまま耐え忍ぶスィンガムの姿が描かれます。そしてクライマックス、マグマのように煮えたぎるスィンガムの怒りは遂に大噴火を起こすのです!やったれ!やったれスィンガム!ワルモノどもに目にモノ見せたれや!こんな具合に王道のB級アクション路線を突っ走る映画『Singham』、とってもお勧めですよ!

http://www.youtube.com/watch?v=mp-XqCrCi6I:movie:W620

(追記)
サムライクンフーさんのタレコミで続編公開決定とのこと!この予告編もなんだか凄まじそう!楽しみじゃのう!楽しみじゃのう!