なんと富山ロケもあり!インドのドタバタ・ラブコメディ映画『Theeya Velai Seiyyanum Kumaru』

■Theeya Velai Seiyyanum Kumaru (監督:スンダル・C 2013年インド映画)


冴えない地味目の青年が、職場の女子新入社員に一目惚れ、彼女の気を惹くために目を付けたのが怪しい恋愛コンサルタント!そしてこの恋愛コンサルタントと主人公の、二人三脚のあの手この手がドタバタを生む、というタミル語のラブコメディ映画です。

主人公の名はクマール(シッダールタ)、IT企業で働く彼は三人並みの冴えない青年。そんな彼の職場に超絶美人サンジャナー(ハンシカー・モトワニ)が入社してきたからさあ大変!サンジャナーに一目惚れしたクマールは、彼女を何とか落そうとしますが自信が無い。そこで見つけたのが怪しい恋愛コンサルタントのモキア(サンターナム)。お金にガメついモキアに料金を毟り取られながら、熾烈なカリキュラムをこなしてゆくクマール!そして貧相なのびた君並みだったクマールは、EXILEの一番後ろで踊ってるヤツぐらいまでかっこよくなります!水を得た魚のようにナンパ野郎になったクマール!しかーし!そんなクマールの前に、会社一のイケメンのキザ男、ジョージが立ちはだかり、なんと衆目の中サンジャナーに結婚を申し込む!絶対の危機をクマールは乗り越えることが出来るのか!?恋愛コンサルタント、モキアの繰り出す次の一手は!?…というお話です。

この映画、なにしろ主人公クマール君が、恋を成就させる為にひたすら精進するする姿が楽しい作品となっています。愛する人の気持ちを掴むためなら、たとえ火の中水の中!ってな感じで、胡散臭い恋愛コンサルタントが指導する無理難題に果敢に挑戦してゆくんです。どこか斜め上っぽくもあるんですが、クマール君、決してメゲたり投げ出したり、自分にゃ無理と諦めたりしない!変なプライド持ち出したり自分を卑下したりもしない!この辺の、恋愛に対するアグレッシブさがある意味清々しくさえあるんですよ。まあお話としては相当コテコテではありますが!しかしそれと同時に、モキアのアドバイスが無いと何もできない「アドバイス中毒」になってしまい、モキアが出張でいなくなった時、自分で何も決められず半狂乱になってしまう!というあまりに情けない姿も見せたりしますが!まあこの辺、聞きかじりでいっぱしになったつもりのヒヨッコによくあることですな!映画はこの辺のドタバタを、様々な映像効果を使ってテンポよく進めてゆくんです。ただしテンポがよく台詞も多いため字幕追うのが大変でありました!

さてこの作品、タミル語映画、ということなのですが、ざっくり「南インド映画」ということにしておきましょう。ヒンドゥー語が主となるボリウッドに対してコリウッドと呼ばれることもあるらしい。言語は違うけれども字幕で観てしまうし、インド映画に馴染がないと意識しなければ分からないかもしれないですね。ラジニカーントがタミル映画の人、というのは知ってはいたけど、あの傑作ハエ映画『マッキ―』が、実はタミル映画ということは調べて初めて知りました。このタミル語映画の他にもカンナダ、テルグ、マルヤラム語映画などがあるらしいのだけれど、ええともうついていけません…。しかしタミル映画ということを意識してみると、まず登場人物たちの顔つき・体つきが北インドヒンディー語族のそれとは結構違う、南インドのドラヴィダ語族らしいポリネシア系を思わせる色黒でふっくらしたものであることに気づきます。また、この映画では主人公がIT関係の職業となっていますが、南インドのチェンナイはバンガロール、ハイデラバードと並ぶソフトウェア産業が盛んな土地で、舞台に取り入れられるのもうなずけました。個人的には『チェンナイ・エクスプレス』で結局出てこなかったチェンナイ駅が見られたのがよかったなあ。

そしてなんと言っても注目すべきところは、一部日本の富山でロケを敢行しているというところでしょう!富山の観光スポット、海王丸パークや富山城址公園、立山の雪の大谷や五箇山の合掌造りの日本家屋などなどをバックに主人公二人が歌い踊るんですッ!しかもバックダンサーは日本人のみなさん!全くキレの無い動きでやる気無さそうに踊ってるように見えますが、きっとこれも演出なのでありましょう!しかし日本の伝統的な家屋の前で濃いい顔のインド人男女がひたすら濃いくラブラブに踊る姿は必見です!この富山ロケは撮影当時割と話題になったらしく、検索したらいろいろと記事が出てきて面白かったですね。「呉羽山公園(富山市)で行われた撮影では、桜が咲き誇る中、主演のシッダールタさんとヒロイン役のハンシカ・モトワーニさんが音楽に合わせ情熱的なダンスを披露」なんて書かれていた記事もありました*1。いやー確かに情熱的なダンスだった!実際の所、物語の内容と富山とは全然関係が無くて、単なる主人公の妄想シーンとして2曲分のダンスシーンが描かれるだけなんですが、なんで富山なのか、というのはよく分かりません!

↓これが噂の富山ロケシーンだッ!?



こちらは予告編。